466: 陣龍 :2018/07/26(木) 22:39:39
「Shit!shit、shit、shit、shiiit!!」

 有り得ない、こんな事は有り得ない!

「Help!Help!!ZEKE、ZEKE Coming!」
「Captain!Check six Enemy plane!」
「Where is it? The enemy plane disappeared wherever! ?」

 相手は此方のF8Fより二世代程度旧式のZeroだ!武装も防弾も大体俺達の方が性能が上!なのに何故こんなに一方的に俺達は狩られるんだ!?

 「spear!It is the top!」

 しまっ……!



「spear。You were shot down。Leave the air boundary promptly」
「……Yes sir」




「何と言うか……」
「凄い戦いでしたネ、マサトサン……」


 神崎島主催、日本政府、アメリカ合衆国協賛にて開催された『神崎島空戦模擬演習大会』に主賓として招待された柏木とフェル。抽選にて日米のみならず宇宙や一部欧州からも招待された一般客とは別に賓客として招かれたアメリカ人らが唖然としているのを横目に見ながら、二人はそんな素朴な感想を漏らしていた。


『夏の納涼大空戦祭り!飛び交う飛行機ビュンビュンビュン!艦娘も深海棲艦も蒼穹に行こう!』

 日本本土で酷暑が何日も継続していたり、北半球でも異常な高温が猛威を振るって居たりするのがニュースを騒がせている今夏。神崎島では季節に一度の『イベント』と称して上記を合言葉?にしてこんな企画が持ち上がっていた。深海棲艦との戦争も無くなって基本的に武働きの必要性がゼロに等しくなっていたので、血の気の多い者達へのガス抜きの為でもある。因みにポスターは秋雲監修、電デフォルメキャラクターデザイン、空母棲姫イメージキャラクター、加賀航空隊機体、神崎提督
チェック体制で制作されている。

 そしてこんな企画が持ち上がっている事を関係者、特に発展途上文明の姿に興味津々なティエルクマスカ連合や、第二次世界大戦におけるアメリカ軍の活躍を一種神聖視している節のあるアメリカ人が知れば、怒涛の如く見学申請が出て来るのは必然であった。既に資料映像や博物館の中にしか存在しない『生きた機体』が縦横無尽に蒼穹を駆け巡る上に演習弾を用いて実戦さながらの演習も執り行うのだから、尚更であった。欧州諸国やロシア、東南アジア等からも一応それなりに来ては居るが、存在感に関してはアメリカ人とティ連人の方が他を圧倒している。


「お陰でこんなに大掛かりなイベントになりましたが、皆楽しんでますよ」
「大和サン!」
「はい、ラムネをどうぞ。柏木さんも」
「ああ、はい。有難うございます」

 可愛らしい大人の笑みでラムネを二人へ渡す、ウェイトレス姿に身を包んだ戦艦娘の大和。アメリカ海軍や日本政府等の要人たちを相手にすると言う事も有り選出されたと言う彼女の働きは素晴らしく、一部の男共は見惚れて鼻の下を伸ばしている始末である。何とか誤魔化そうとする素振りが有るだけ多少は救いが有るが正直に言って完全にバレバレである。


「トコロデ、何時の間にこれだけの設備を建築されたのデスカ?」
「この『イベント』を開催する許可が下りてからですので……大体十日位ですね」
「たった十日ですか?洋上にこの施設を建造するのに?」
「はい。そこは工廠に努める明石さん達が頑張ってくれました」


 大和や柏木たちが居る、そして今回の『納涼空戦祭り』が開催されている場所は、実は神崎島本島では無い。神崎島から産出される各種資源を贅沢に使用し、明石率いる工廠妖精さん等が神崎島特有の時間経過の歪みを利用し建築した『洋上飛行要塞』である。……要塞と言っても、民間技術を全力使用して出来上がった洋上飛行場の本体は兎も角としても肝心の武装は全部第二次世界大戦レベルで有る為に、実際の脅威度はそんなに無いのだが。寧ろ観光資源の様な扱いで見学や射撃体験の為の対象になってる物もある位である。そして発展途上文明の産物であるそれらには例外無くティ連人が長蛇の列を作っている。


「しかし……マサトサン」
「どうした、フェル」
「先程の模擬空戦で負けたアメリカ軍人の皆サン、大丈夫デショウカ?」

 ラムネをチビチビ飲みながら先程の空戦の様子を見てそんな感想を漏らす、世が世なら皇族となっていたであろう愛妻の姿を見て苦笑する銀河突撃バカこと柏木。実際自信満々に勝利宣言していたアメリカ軍人の姿も見ていたので、男のプライドを根本からバッキリ叩き壊されたで有ろうことを考えると、何も言うべき言葉は思い浮かばなかった。

467: 陣龍 :2018/07/26(木) 22:40:12




 所は変わってその『空戦模擬演習』が終了した開催会場の着陸地点側。其処には開戦前にはサラトガやイントレピッド等に軽口や冗談、そして大口を叩いて飛び立って置きながらものの見事に玉砕したアメリカ空軍、海軍パイロット達が集まっていた。
正座した状態で。

「……Hey guy's。What have you got to say for yourself?」
「……I cannot make any excuse」

 一応笑ってはいるが目は一切笑ってい無い上に米神にありありと浮かび上がった血管が彼女……航空母艦娘のサラトガが怒りの感情を明確に物を言っている以上、男共は何一つとして抗弁する事は出来なかった。そもそも抗弁出来るだけの材料等何処にも存在して居ないのだからどうしようもない。

 頑丈な機体構造と優速を活かして一撃離脱を仕掛けても空に浮かぶ葉を殴るかのようにひらりひらりと交わされ、業を煮やして少しでも直線的な機動や速度を落とした機体には視覚外から出現したZeroの7.7㎜機銃で操縦席を狙撃され、乱戦となり偶々Zeroの背後を取ったとしてもまるで瞬間移動したかのようなクイックループで反対に背後を取られ返されて20㎜により撃ち抜かれ、Zeroの苦手領域である高速機動で抗おうとしたらその場で止まって振り返ったかの如き一瞬の切り返しやヘッドオンで逆に撃墜判定を喰らう。清々しいまでの完敗だった。


「……あー、サラトガー?あんまキツイ事言わんといてやれへん?今日はお祭りなんやし、な?」
「そうですね。今回は私達が勝ちを拾わせて頂きましたけど、勝負と言うのは時の運でも有りますから。余り責め立てるのも……」
「……リュウジョウ、ホウショウ」


 そして何処か哀れな男達に助け舟を出したのは、当の戦闘機パイロットの操るF8FやP-51Hを零式艦上戦闘機二一型にて纏めて敗北へと追いやった二隻の軽空母艦娘。ガタイの良いアメリカ人から見れば娘の様に小さい身体で有りながら、その見た目とは裏腹な底知れぬ技量を誇る歴戦の猛者である龍驤と鳳翔。開戦前はアメリカ人らしく相当フランクな言葉を二隻にかけていたりしたのだが、今そんな事を出来るだけの無謀な輩は居ない。空に生きる男達にとって、空戦技量に優れた者に対しては無条件で敬意と尊敬の感情と態度を向ける物なのだ。


「……それもそうですネ。デハ、今回は赦免しましょう。ステイツに戻ったら修練を積み直すヨウニ」
「Yes, Ma'am!!」


 サラトガの言葉に一糸乱れぬ立位と敬礼を三者へ向けるアメリカ空海軍パイロット一同。サラトガに言われずとも流石に此処まで一方的にボコられれば男として、パイロットとしてのメンツにかけて再訓練をしない訳にはいかない。しかも同レベルの機体なら兎も角、此方はF8FやP-51Hと言った終末期型レシプロ戦闘機なのに対して相手は零戦二一型である。寧ろ心が折れなかっただけ相当な根性が有る。



「うんうん、男っちゅうのは元気が無きゃアカンなーホンマ。そんじゃ、腹減ってるやろし皆で食いにいこか!ウチがお好み焼き作ってやるで!」
「そうですね。では僭越ながら、私もお料理を振る舞わさせて頂きますね?」
「Is it true!?」
「I did it! I lived and was good!」
「It is God like that。 I thank for this day far away!」
「……調子良いんだから、モウ」


 ちんまりで有っても紛れもない美少女である二人より手料理が振る舞われるとあって分かり易くテンションがアゲアゲな男共。単純明快過ぎていっそ清々しいまでの姿に、先程まで頭に血が上っていたサラトガも、呆れながらに微笑むしか無かった。

468: 陣龍 :2018/07/26(木) 22:46:28
以前言っていた『現役アメリカ軍戦闘機パイロットwith終末期型レシプロ戦闘機vs龍驤・鳳翔航空隊with零式艦上戦闘機二一型』の小話。本島に入れると防諜とか大変そうだからいっその事として洋上に隔離させる為航空要塞作らせてみた。武装はWW2式だから見た目より脅威はそんなに無いから実際安心()


因みに一般客とかはティ連技術とか各国の協力を元に色々やる事()はやってます。なので特に事件なんかも起こって居りません。
白露型のウェイトレス接客とか吹雪型の各地補助員とかの写真撮影とか提督共によるそっち方面で騒動起きるかも知れないけど(適当)

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最終更新:2018年07月30日 12:23