353: 635 :2019/01/03(木) 20:45:53 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
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こんな感じですかね?

イゼイラ星間共和国議長公邸

「ディスカール大使、マリヘイル緊急で集まってもらって申し訳ない。」
「どうしたのですか?サイヴァル。」
「そうです。ファーダマリヘイルだけなら分かりますが私もだなんて。」
「ヤルマルティアで起きたことについてな。」

緊張した面持ちのサイヴァル。

「まさかヤルバーンが攻撃を受けた!?」
「いやそういうことではないのだが、ティエルクマスカとディスカールにとって見過ごせないことが起きたのでね。」
「ディスカールにとって?」

ディスカール大使は怪訝な顔を浮かべた。

「ああ、二人共ヤルマルティアのカンザキ島については知っているな?」
「ええ、ティエルクマスカでも聞いたことのない現象で出現した島ですもの。島の文化も発達過程文明研究の為に有益ですからね。」
「では妖精という種族については?」
「確かカンザキ島独自の種族で死んだヤルマルティア人らが変化した存在だと聞きましたが。」
「その通りだ。死んだヤルマルティア人以外からの発生もあるようなのだ。」
「なんとも不思議な種族ですわね。」

マリヘイルは感心した表情をした。
サイヴァルはゼルモニターを造成する。

「そのヤルマルティア人以外から発生した妖精の一種エルフという種族の画像を見せるが、二人共心を落ち着けて見て欲しい。」

サイヴァルは真剣な面持ちだ。
そしてゼルモニターに映し出されたのは長い金髪に笹穂耳地球で一般的に思い浮かべるエルフの画像である。

「なっ!?」
「ディ、ディスカール人?」

マリヘイルは隣のディスカール大使と画像のエルフを何度も見比べる。
細部に違いはあるが同じ種族と言われれば信じてしまいそうな程そっくりだ。

「二人共落ち着け!先程言った通り彼らはエルフというディスカール人と全く異なる種族だ。」
「これ程そっくりなのに!?」
「ああ、ヤルバーンの生物学者はディスカール人と似たような環境で収斂進化した種族ではないかと推測している。」
「なんと!?」
「それにだ。彼らがトラールの影響を受けていないことも確認済みだ。」
「では!」
「そう、彼らとディスカール人を比べれば発達過程文明の研究に大きな進展が見込めるのだがな。」

サイヴァルは溜息をついた。

「彼らはEUという地域国家連合の内部対立に巻き込まれ難民として元の居住地を追われたそうだ。」
「なんですと!?直ぐに本国に伝え救助部隊を編成しなければ!!」
「まてまて!彼らは同じ妖精の住むカンザキ島に保護されたから問題はない。」
「なるほど。ティエルクマスカ、イゼイラとカンザキ島自体と帰属するヤルマルティアは国交を結んでいますから
 その線で彼らに援助したいということですね?サイヴァル?」
「そういうことだ。援助の内容についてディスカールとも協議をしたい。大使頼めるか?」
「お任せを!直ぐに本国に伝えます。」

ディスカール大使は走って公邸を出て行く。
それを見送った二人は公邸の窓からイゼイラの空中都市と旧大地を見る。

「ヤルマルティアだけではなく別の側面からも発達過程文明を調べられる絶好の機会だ。
 彼らの協力を得るためにも今回の件は成功させなければ!!」
「サイヴァル。イゼイラとディスカールだけでなく今回の件はティエルクマスカ全体で対応しましょう!」

ドイツの難癖を躱した結果なんかとんでもないこととなりました

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最終更新:2019年01月06日 19:11