412: リラックス :2019/02/11(月) 21:10:09 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
乙です。私も便乗してネタを……

アトランティカ(仮称)級戦艦
基準 42,300トン
全長 251.0m
全幅 36.0m
機関 統合電源方式(integrated power system, IPS)
兵装:42cm連装ガンランチャー 4基
   OTO 127mm速射砲 8基
   RAM発射機 2基
   30mm機関砲 4基

装甲 舷側装甲:310mm(水線面上部)
100mm(第一甲板舷側部)
130mm(水線面下部)
甲板装甲:110mm


ドイツは戦艦経済により次々に竣工していく現代型戦艦の重装甲化により、将来的にA・D・M級に搭載される283mm砲ではそれらの戦艦に対して威力不足となり、撃破できなくなるとの危惧を抱き、より強力な戦艦の建造に着手することになった。

より強力な戦艦とは何か?という命題に関しては、様々な考え方が存在するだろう。

しかし、今回は重装甲な戦艦を撃破する能力を求めるということで、またかと言われながらも主砲の強化に焦点を当てて構想がスタートすることになる。

まず注目された成形炸薬弾は、弾頭口径の大きさに比例して装甲貫徹力が増す傾向があるため、大口径であるほど破壊力が増加するが通常の砲弾では口径が大きくなれば弾体重量が増加するため、遠距離まで通常の砲で打ち出すには問題が多かった上に、戦艦砲に対応した巨大な砲弾を大量に生産することは難しいという問題は前級の時点でも付きまとっていた。

このことから、(何をトチ狂ったのか)なら量より質で一発あたりの値段が高くなっても良いから、その分効果を高める方がいいんじゃない?という意見が支持を集め、自己推進力を持ち長射程を得やすい対艦ミサイルを戦艦の主砲から撃ち出すガンランチャーが俄かに注目されることとなった。

ガンランチャーという兵器は1960年代にアメリカで152mm口径のM81 ガンランチャーと専用のMGM-51 シレイラ対戦車ミサイルが開発され、M551シェリダン空挺戦車に採用されてベトナム戦争に実戦投入され、さらに、当時の主力戦車であるM60パットンに搭載したM60A2が少数生産されたのが有名だろうか。

(しかし、ベトナム戦争では、誘導ミサイルの技術が共産陣営に渡ることが危惧されたため、ミサイルの運用は行われなかった。

また、西ドイツとアメリカで進められた主力戦車の共同開発計画であるMBT-70においても、西ドイツ側が120mm滑腔砲の搭載を求めたのに対し、アメリカ側はガンランチャーの採用を主張したということもある。

なお、開発費用が高騰したことなどにより、MBT-70計画は頓挫している。

また、APFSDSなどの強力な戦車砲弾が出現したことなどから、ガンランチャーは廃れることとなり、アメリカでその後に開発されたMBTであるM1エイブラムスには120mm滑腔砲が採用された。

余談だが、現在では戦車砲の大口径化やミサイルの小型化技術により、イスラエルのLAHATやロシアの9M119のように、逆に通常の戦車砲から発射可能な対戦車ミサイルが登場していることを付記しておく。)

兎にも角にも、アトランティカ級には420mm口径のガンランチャーを搭載し、専用の対戦艦ミサイルを新たに開発して撃ち出すことが計画された。

これにより、イタリアのナポリ級や日本のふじ型、イギリスのロイヤル・ソブリン級の装甲を食い破ることが出来るとされていた。

また、ナポリ級をパク……参考にVLSを廃する代わりにOTO127mm速射砲を多数配置することで弾幕を形成し、ミサイル飽和攻撃に対応するという戦法を再現することでA・D・M級で散々に言われていた「砲戦まで辿り着けない」という問題に対応できるとされていた。

413: リラックス :2019/02/11(月) 21:10:57 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
概要
アトランティカ級は計画通りに完成していれば現代の戦艦として新たなステージを生み出していた可能性はある。
しかし、その道の人は名前に仮称とついている段階で色々と何となく察したと思われる。
そして、残念なことに……その予想は外れることはなかった。

まず、現代の戦艦として主砲を運用する為に決して欠かせない装備であるFCS、ガンランチャー として必須となる誘導装置だが、例によって開発の遅れとコストの高騰を引き起こすことになった。

しかもここまで大型のガンランチャーの開発など前例がなく、試作に漕ぎ着けた砲塔もその煩雑性から機械的な信用性に疑問符がつくものだった。

更に、というか案の定、専用の対戦艦ミサイルの開発も難航。

FCSや誘導装置の開発の目処も立たないのにこんなもん開発してもどうにもならないだろう!という意見から、通常砲弾のみの開発に絞るべきという一派が現れ、しかも開発費の低減が可能という主張に、上層部が色気を出したことで開発方針が二転三転するというグダグダ具合を発揮。

他にも省人員化と省力化の為、A・D・M級で失敗した艦の戦闘システムから機関制御システム、さらには自動消火システムまで担うコンピュータシステムを改良して導入すべきと主張する一派と、いい加減諦めろというか懲りろと反対する一派の対立が深刻化、それを仲裁し調整すべき政府は朝令暮改な指示を出して混乱を煽る有様。

予算超過に伴う搭載兵器のリストラを今回は絶対に認めないという姿勢もそれに拍車をかけることになった。

最終的に副砲であるオートメラーラ127 mm 砲の入手にも問題が発生し、ストレスで関係者が胃をやられる頃には予算不足で建造中止が正式に決定。

幻の戦艦となってしまった。

余談

本艦が完成した暁にはアトランティカという名前が与えられることが決定していたという話が存在する。

関係者の独白によると計画段階ではアル=マディーナ・アル=ムナウワラとかマッカ・アル=ムカッラマ(それぞれメディナとメッカ)、アル=クドゥス(イスラム語でエルサレム)、サラーフ・アッディーンなど、『これ、何処の戦艦だよ?』と真顔で突っ込まれそうな候補が本当に存在しており、

これに耐えきれないと動いた有志によりドイツの戦艦としてギリギリ可笑しくない名前と言えなくもない大西洋を意味するアトランティカで妥協させるという、各国の関係者が涙を禁じ得ない苦労があったとされるが、本級の建造自体が中止となった今となっては本級を巡って起きた一連のゴタゴタの中で生まれた笑い話の一つとして扱われることの方が多い。

415: リラックス :2019/02/11(月) 21:11:58 HOST:119-228-10-186f1.hyg1.eonet.ne.jp
以上、予算と上層部のグダグダぶりには勝てなかったよ……

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最終更新:2019年02月16日 00:18