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銀河連合日本×神崎島 ネタ 神崎島の復活祭


日本国内某所

「曾祖母ちゃんいつ神崎島に帰るのさ?」

「うーん、あの子達(性別女性の曾孫全員)に家事を一通り仕込んでからかしらねえ。」

春のお彼岸も過ぎたのにご先祖様、曾祖母はゴールデンウィークになっても未だ帰らなかった。
曾祖母はもう十年以上前に死んだのに妖精さんという摩訶不思議極まる存在と成り果てて帰宅したのだが。

あの時の理不尽は今でも忘れない。
久々に地元に帰ってきて友人と自宅へ帰ったら死んだ曾祖母が家にいたのだしかも若返って。

そしてゴールデンウィークとなり実家に戻ったらまだいたのである。
しかもその理由が姉妹、従姉妹や再従姉妹共に家事を仕込むからと来ている。


「で、曾祖母ちゃん何作ってるのさ?」

「んー?ああ、もう復活大祭だからねえ。そこで神棚と仏壇に上げるクリーチとパスハというお菓子を作ってるんだよ。」

「復活大祭ってなんじゃそりゃって、このカラフルな卵、もしかしてイースターのことか?」

「最近じゃ英語で呼ぶのかい?日本語じゃ復活祭だったと思うけど。」

「なんで曾祖母ちゃんそんなに詳しいのさ?後何で日本の神様に仏様がイースターと関連が!?」

曾祖母曰く色々あって神崎島のイースターは完全に年中行事の一つとして取り入れられているそうである。
そして近代に正教会を信奉するロシア系妖精が増えために正教会形式のイースター、復活大祭が多いそうだ。
神崎島ではキリスト教というよりも日々の生活を神仏に感謝するお祭りとしての側面の方が大きいそうである。
それで曾祖母もイースターのお菓子を神棚や仏壇にお供えするそうだ。

近現代史が好きな自分としてはどうして復活大祭が浸透したのか気になった。

「曾祖母ちゃん、どうしてそんな事になったんだよ?」

「少し長い話になるけどいい?」



1918年ロシア エカテリンブルク

一人の少女が兵士に連れられ夜の街を走っていた。

「皇女殿下!急いで下さい!」

その兵士は赤軍に潜伏していた皇帝派の兵士であり皇帝一家殺害の混乱の中で彼女をなんとか連れだすことに成功した。
少女の名はアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ、ロシア帝国皇女である。いやあったと言った方が正解か。
ロシア帝国は既に崩壊しているのだから。

なんとか連れ出された彼女は粗末な服へと着替えさせられて兵士に連れられて駅へと急いだ。
そして駅へと着くと兵士は仲間たちと合流、アナスタシアと共にシベリア鉄道に乗り込み一路極東へと向かった。

彼女は道中その身分を明かす事は許されずただのアナスタシアとして扱われた。
当然だろうどこに赤軍の目があるのか分からないのだから。

極東ハバロフスクへと着くと何とか一息着くことが出来た。
当時のハバロフスクは日本の占領下にあり赤軍の手が届かなかったからである。
それでもアナスタシアはただのアナスタシアであった。
当時の日本はロシアでの権益確保の為に出兵していたために担ぎ出される危険性があったためである。

958: 635 :2019/05/01(水) 07:40:57 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp

1920年極東共和国 ウラジオストク

「もはやこれまでですね…。皆も良く着いて来てくれました。」

小さな船の前でアナスタシアは悲しそうな顔をした。

「皇女殿下…。」

かつてアナスタシアをイパチェフ館から連れ出した兵士は未だアナスタシアの元にいた。
この場にいるのは彼を含めて二十人にも満たない数だ。

日本が撤退を決定し、この緩衝国家極東共和国のウラジオストクへ赤軍の手が伸びるのも時間の問題であった。

「貴方達はここで去りなさい。ここから先は私一人で十分です。」

これからアナスタシアが何をしようとしているのか、それは一人でこの船に乗り沖合へさらにその先の外洋を目指すこと、
自殺と言えるがなぜそのような事をするのか。

それはロシア皇帝家ロマノフ最後の生き残りとしてその死体すらもロシア帝国以外の何者にも利用させない為だ。


「我らも着いて参ります。」

エカテリンブルクからの忠臣は言った。

「なぜ…、私はもう皇女ではないのですよ。」

「我々の主君は貴女様を置いて他にありません。」

別の兵士が応える。
アナスタシアは顔を背けた。

「貴方達…、好きになさい。」

その頬からは流れる物があった。


「殿下、波の下にも帝都がございます。」

昔父に読んでもらった日本の物語の一説だ。
彼は教養もあるのだろうか?

「忠臣よ、私を連れて行こうとするのか。」

「殿下は前世の善行によって皇女としてお生まれになられましたが、悪縁に引かれ、御運はもはや尽きてしまわれました。
 この世は辛く厭わしいところですから、キーテジという結構なところにお連れ申すのです。」

「ふふ、皇帝家の私をキーテジに連れて行こうとするの?」

初めてアナスタシアは笑った。

「では参りましょうか。キーテジ、ロシア正教の理想郷へ。」

アナスタシア達はロシアの大地を後にした。
そしてアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァが再びロシアの大地を踏むことはなかった。

959: 635 :2019/05/01(水) 07:42:09 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp


「で、曾祖母ちゃんその話がどこで神崎島とイースターの話に繋がるのさ?」

「そうそう、良くあるアナスタシア皇女生存伝説の一つじゃないの?」

いつの間にかこの場で一緒に話を聞いていた妹も疑問を呈する。
最近妹はゲームで偉大な聖杯探求やらをしていてその登場人物に詳しくなっている。
アナスタシア皇女もその一人だ。
押しはプーサーとか言ってた。

「その話には続きがあってね。アナスタシア皇女はどういう訳か神崎島にたどり着いたのよ。」

「「なっなんだってー!!」」

「そして第一、第二次世界大戦で亡くなったたくさんロシア人が妖精として神崎島へとながれついたのよ。」

「へえー。」

「そこで先に神崎島にいたアナスタシア皇女は彼らの纏め役と象徴となっていったの。」

「それでロシア人としてのアイデンティティが構築され神崎島でイースターが根付いたって訳か…。」

「ほへー、でもさいくら昭和天皇がいると言っても問題にならなかったの別の皇帝家の人がいるなんて。」

「あら大丈夫よ。だってアナスタシア皇女は神崎提督に嫁いだんだから。臣籍降下に近いものね。」

「「へっ!?」」

「それでも皇女の伴侶である提督をツァーリ、皇帝の代理として見なす人も多いのよ。だからロシア人達は神崎提督の元で纏まっているのよ。」

「はー、成る程。」

妹と二人して関心した。

「そうそう、そういえば貴女がしている聖杯がなんとかってゲームなんて言ったかしら?」

「あのゲームがどうかしたの?」

曾祖母は何やらさらに言いたいことが妹にあるらしい。

「あのゲームのアナスタシア皇女の絵、本当にそっくりに描いてあるわねえ。曾祖母ちゃん驚いちゃった。」

「「なっなんだってー!?」」

本日二度目の絶叫が実家に木霊した。
神様、艦これ以外もあるってマジですか?
あ!神崎島にはストパンにリリカルもあったわ。



アナ「というちみつなせっていはどうかしら?」

神崎「アナスタシアよ。それで良いのか(汗)」

元兵士「皇女殿下、相も変わらずいたずら好きですな。」

吹雪「御本人が納得されてるのなら良いのでは?」

大淀「あまり複雑過ぎるのも問題ですしね。」

960: 635 :2019/05/01(水) 07:44:21 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
以上になります。
このちみつなせっていで復活祭が神崎島で土着融合を果たしたぞ。
なお現代のキリスト教徒からは非常に微妙な視線を向けられる模様。
転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2019年05月05日 14:40