563: 加賀 :2019/05/17(金) 11:18:57 HOST:om126133245211.21.openmobile.ne.jp



2010、輸送隊はタサファロング泊地へ到達して重火器類の揚陸を開始した。一方で米艦隊もスコット少将の第64.2任務部隊を出して警戒していた。その任務部隊のSGレーダーが反応を示したのは2130だった。

「ジャップの艦隊だ。直ちに戦闘配置!」

第64.2任務部隊は直ちに戦闘態勢へ移行した。だが先に仕掛けたのは空からだった。

「対空レーダーに反応!十数機の敵機です!」
「何!?」

爆音を響かせながら第64.2任務部隊の上空に十数機の水上機が浸入してきた。

「対空砲火開け!」

スコットはそう叫ぶが突如、目映い閃光が任務部隊を照らした。

「吊光弾!? シット、やられた!」

スコットはそう叫ぶ。そして旗艦『サンフランシスコ』が揺れた。

「砲撃です!敵艦隊からの砲撃です!」

嵌められた、スコットはそう認識した。

「レカタの水上機は上手くやってくれたな」

橋本は双眼鏡を見ながらニヤリと笑う。レカタの水上基地から吊光弾を搭載した零水偵6機と零観4機、250キロ爆弾を搭載した瑞雲3機(試作一号機の他に下部に20ミリを搭載した試作二・三号機)が発進してスコット艦隊上空に到達していたのだ。既に『川内』以下の水雷戦隊は砲身を第64.2任務部隊に向けていた。

「照準良ろし!」
「撃ちぃ方始めェ!」

『川内』の14サンチ砲が砲撃を開始した。それに続いて駆逐隊も砲撃を開始する。その様子を六戦隊も見ていた。

(橋本……)

五藤は橋本の意図に直ぐに気付いた。

(俺の運命を変える気か……済まない)

五藤は内心、謝りつつも命令を下した。

「目標、先の吊光弾に映し出された敵艦隊!準備出来次第砲撃始めェ!」

六戦隊も砲撃を開始し第64.2任務部隊に砲弾を叩き込む。第64.2任務部隊司令官のスコット少将は頭を抱えていた。
敵を奇襲する筈が敵に見破られて任務部隊に砲弾の雨が降り注いでいたからだ。

「兎に角撃ちまくれ!」

スコット少将はそう指示を出すが旗艦『サンフランシスコ』上空にまた吊光弾が投下された。『サンフランシスコ』は瞬く間に砲撃が集中し『サンフランシスコ』は炎上した。
スコット少将は態勢を建て直そうとするも低空で浸入した瑞雲が投下した250キロ爆弾三発が艦橋付近に命中、窓付近にいたスコット少将は破片等をモロに浴びてしまい重体、海戦終了間際に息を引き取ってしまう。
第64.2任務部隊は大混乱に陥りながらも六戦隊の『古鷹』を大破させて退避に成功する。更に一発の砲弾が『青葉』の艦橋に直撃した。

「まさか!?」

『川内』の艦橋で報告を聞いた橋本は顔を歪めた。砲弾は不発弾だったものの戦隊司令部がやられていた。

「五藤司令官は負傷、橋本少将に指揮権を委譲するとの事です」

幸いにも五藤は両足切断の重体にはならなかったものの負傷しており橋本に指揮権を委譲したのである。橋本は艦隊を纏めて損傷艦艇を退避させた。そして残存艦艇はそのまま輸送隊を護衛するためにタサファロング泊地へ向かったのである。

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最終更新:2019年05月20日 21:43