157: 加賀 :2019/06/30(日) 13:47:16 HOST:softbank126094209144.bbtec.net
「キスカは史実通りに奇跡を起こしたか」
「名前は?」
「海軍水兵長山下平八郎!!」
「渾名は?」
「司令官であります!!」
「うん先輩、宜しく頼む」
「はい!!」

 ソロモン方面は撤退作戦が順調だった。また、アリューシャン方面も撤退作戦を開始していた。ただアッツ島に関しては艦船が揃わなかった事もあり史実通りの玉砕をしてしまっていた。そのため五艦隊は一水戦に全てを託したのである。そして歴史は史実通りとなりキスカの将兵5200名は撤退に成功するのであった。
 それはさておき、ソロモン方面でも米軍に動きがあった。8月15日、米軍はベララベラ島に上陸をしたのである。だがベララベラ島を含むニュージョージア諸島から日本軍は撤退しており米軍は無血でニュージョージア諸島を占領した。(ベラ湾夜戦は発生しておらず、駆逐艦『萩風』『嵐』『江風』は戦没していない)
 だがある程度は叩いておく必要があるという事でショートランド水上基地の第634空の瑞雲18機が夜間に爆撃を敢行してPTボート等10艇余り撃沈している。

「引き続いてブーゲンヴィル島からも撤退する」

 ブーゲンヴィル島には第6師団の四万、海軍陸戦隊と設営隊等二万の計六万が配備されていた。またブインには海軍航空隊、南端のショートランド諸島には水上機基地もありラバウル攻撃のために米軍が上陸する事は必然だった。しかし、日本軍は逃げる事を選択した。
 米軍がブーゲンヴィル島に上陸したのは史実通りの11月1日、上陸した米軍は相変わらず逃げていた日本軍を笑っていた。

「ジャップは逃げ足だけは速いものだ」
「ラバウルも逃げているんじゃないか?」

 兵達は口々に言い合うがそれは夜中に勃発した。11月2日0130、エンプレス・オーガスタ湾に停泊していた第39任務部隊の各艦艇の対空レーダーはラバウル方面から接近してくる数機の航空機を捉えた。

「夜襲だ!?」

 襲ってきたのは連合襲撃部隊に在籍する航巡『最上』に臨時編成された第634空の瑞雲9機と『妙高』『羽黒』から発艦した零観4機だった。

 連合襲撃部隊
 本隊 甲巡『妙高』『羽黒』『最上』 駆逐艦『初風』『天霧』
 第一警戒隊 乙巡『川内』 駆逐艦『時雨』『嵐』『萩風』『江風』
 第二警戒隊 乙巡『阿賀野』 駆逐艦『長波』『五月雨』『白露』『若月』

 これを率いたのは五戦隊司令官の橋本である。

「瑞雲隊より電文!! 『奇襲成功セリ』」
「突撃するぞ!!」

 襲撃部隊は第一警戒隊を先頭に突撃を開始した。第一警戒隊が最初に接し方したのはアーレイ・バーク大佐率いる第45駆逐群だった。

「飛んで火に入るなんとやらは貴様らだジャップ!!」

 『モントピリア』のレーダーは襲撃部隊を探知しておりメリル少将は二個駆逐群を左右に散らせて多少の混乱から立ち直りながらも迎撃態勢を整えた。だがこの時、第12巡洋艦群は『コロンビア』が250キロ爆弾の命中で炎上しており襲撃部隊もこれを確認していた。

「照明弾撃て!! 上空にいる水偵隊にも吊光弾を投下させろ!!」

 水偵隊から吊光弾が投下されて第39任務部隊を闇夜から照らし出す。

「撃ちまくれェ!!」

 『妙高』『羽黒』『最上』は『モントピリア』に砲撃を集中させ炎上させた。しかし、第一警戒隊の『川内』は第45駆逐群から放たれた魚雷二本が命中して傾斜していた。更に砲弾が集中し『川内』は瞬く間に炎上したのである。

158: 加賀 :2019/06/30(日) 13:47:49 HOST:softbank126094209144.bbtec.net
「『川内』炎上!!」
「クソ……」

 炎上した『川内』は漂流を開始した。曳航しようにも今は海戦の真っ最中である。

「………」

 炎上し漂流する『川内』に橋本は無言の敬礼をするのみだった。

「奴等を逃がすな!!」

 襲撃部隊は第45駆逐群に砲撃を叩き込み『ダイソン』『スタンリー』が撃沈、『クラクストン』が大破する。更に砲撃を混乱から立ち直りかけていた第12巡洋艦群へ集中、『デンバー』『クリーブランド』が大破し戦線を離脱。第46駆逐群は不利を悟り煙幕を展開しつつ退避に成功するのであった。
 海戦は日本側の勝利に終わった。炎上漂流していた『川内』は『初風』が消火に当たるも手の付けられない状況であり乗員を救出後の0530、橋本自らの願いにより『妙高』の魚雷で介錯するのであった。

「海戦は勝ったが『川内』喪失か……」
「はっ、自分のミスです」
「君のミスではない。最善を尽くした結果なのだよ。それに『初風』は生き残っている」

 ラバウル視察のために訪れた軍令部次長の栗田中将と橋本は『妙高』の作戦室で面会をしていた。

「君らのおかげで駆逐艦の大量喪失は回避しているのだ。むしろ誇ってほしい」
「は……それでは松型の生産は……?」
「大量生産とまではいかんが来年予定のレイテ沖までには10隻が揃う予定だ」
「……レイテ沖で負けたら……」
「沖縄でやるしかあるまい。ま、マリアナでまずは空母を叩く事を優先せんとな……」

 一方で米軍はラバウル空襲を機動部隊で企図していた。空母『サラトガ』軽空母『プリンストン』の二隻で構成された第38任務部隊はラバウルの南東230海里の地点で攻撃隊97機を発艦させた。しかし、ラバウルには対空電探が配備されており対空電探で探知したラバウル航空隊と陸軍航空隊は戦闘機の全力出撃を展開、それぞれ零戦96機、隼73機、飛燕19機が上空を警戒して敵攻撃隊を待ち受けたのである。

「クソッタレ、ラバウルは強力過ぎるぞ!!」

 落ちていくF6Fの操縦席で米パイロットはそう言ってパラシュート脱出するのである。なお、第38任務部隊に戻ってこれたのは僅か20機だけであった。ラバウルの被害は軽傷でありパウナル少将は被害の大きさに驚愕し即座に撤退するのであった。

159: 加賀 :2019/06/30(日) 13:56:07 HOST:softbank126094209144.bbtec.net
  • キスカ!キスカ!キスカ!(完全に出すのを忘れていた)
  • 撤退作戦をしているのでクラ湾やベラ湾夜戦がほぼ無い
  • 最上に634空を臨時編成

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最終更新:2019年07月09日 10:43