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銀河連合日本×神崎島 ネタ 恨より恐ろしい怨


星一つない闇夜の山道を一人の男が登る。

―――この先、この先だ!!―――

―――この先の岩を砕けば復活し怒り狂い日帝に害を成すに違いない!!―――

その男の手には爆薬やライターが…。


しかし行けども行けども目的地に付くことはない。

男はそれに気づかない振りをし、義士となる自分を奮い立たせ歩き続ける。


尻尾の生えたナニかが嗤った。




日本国内閣総理大臣官邸 柏木真人政府特務交渉官執務室


柏木真人は報告書を読み唸っていた。

「那須湯本で韓国人の変死体か…。」

「正確には韓国籍の所謂在日らしいな。」

友人である陸自の大見が柏木の情報を補足する。
その話へ他の人間たちも加わる。

「南コリア国ではニホンに殺されたと騒いでいるようデスネ。」

「シカシナゼ南コリア国籍ノ人間ガ爆薬持ッテ栃木ノ山ノ中ニ?」

フェルは朝のニュースで見た情報を上げ、シエは疑問を呈する。

「それだけじゃねえぜ。茨城の鹿島神宮や香川坂出の寺でも同様の外国人の変死体が発見されてる。」

「なんでもそれらの死体は恐ろしいものでも見たかのような形相で死んでいたとか…。」

同席している副総理の三島とティ連国内通商活性化担当大臣の春日も加わる。
そこへ白木が駆け込んでくる。

「柏木いるか!?テレビ見ろ!」

「白木どうしたんだよ?」

「白木サンどうしマシタ?」

「いいからテレビをつけろ!!」

『テレビの前の皆様見えるでしょうか!?ここ大手町に大勢の警察官と消防隊員が集まっています!!』

テレビには何台ものパトカー、消防車両と規制線のロープに阻まれた大勢の人々が映し出される。

「なんだこりゃ…?」

「大手町で数十人の人間が突如として倒れたそうだ。」

そこへ空自の多川が駆け込んで来る。

「柏木さんここにいたか!三島副総理にフェルさんとサラトガさんまでいるとは丁度いい!安全保障会議が招集されたから急いでくれ!」

「なんだって!?」

「何かあったのデスカ!?」

「そのニュースみたいに福岡の太宰府天満宮を始め変死体や突如として倒れる人間が多発している。BCテロの可能性もあるとかいう話だ。」

「「「なっ!?」」」

ただ一人を除き全員が絶句する。

20: 635 :2019/07/16(火) 00:05:46 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp


「その件なら恐らくはBC兵器ではありませんよ。」

全員がその声に振り向く。
そのただ一人、在日本神崎島大使館付武官サラトガはフェルが入れた緑茶を静かに飲んでいた。
その様子になぜか全員が息を呑む。

「…サラトガさん、どういうことだ?」

三島が意を決してサラトガに問う。

「Um…、なんと言えば良いのか、私達艦娘や妖精には分かりますがティ連の科学でも分からないことですねえ。」

「我々ノ科学デモ分カラナイコトダト…?」

シエが静かに驚く。

「多分日本人の皆さんは私の言葉を聞けば納得しますよ?というか太宰府天満宮で分かりそうなものですが…。」

「つまりどういうことです…?」

柏木は続きを促す。

「白面…。」

「あっ!!」

「そっちか…!!」

偏った知識の柏木と以外と良い所の血を引く三島が声を上げる。
サラトガはそのたおやかな指を折りながら続ける。

「蝦夷…。」

「朝廷に帰順しなかった!!」

「確か首が…!!」

大見と白木も声を上げた。

「そして讃岐院…。」

「ちょ、ちょっとサラトガさん。その御方は…!!」

春日は慌てだした。

「「???」」

フェルとシエはハテナマークばかりだ。


「ちょっと待ってくれ!?」

多川が声を荒げる。

「じゃあこの大手町のはまさか平「そのお名前を出さない方が良いですよ。」!?」

サラトガは多川の言葉に割り込んだ。

「公は大陸の悪さで少々気が立っているご様子ですから目を付けられるかもしれません。」

その言葉に多川は鳥肌が立った。
そしてサラトガは妖艶に微笑む。
その姿にこの場にいる人間達は後ずさる。
異星人であるフェルやシエもだ。
サラトガに見えるナニかは嘲笑う。

「恐らくは伝承からこの日ノ本に害を成すと踏んだのでしょうね…。この國を何も知らないくせに…。」

「荒ぶり流離う『『『私(ワタシ)わたし』』』が鎮まった未だ古き匂いの残るこの國を穢させるものか…。」

彼女の声に男性の稚児の老人の令嬢の人外のナニかの声が重なり、サラトガに白い『彼女』が重なって見える。

21: 635 :2019/07/16(火) 00:07:01 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp

誰かが唾を飲み込む音がする。

「フフ、脅かせ過ぎましたかね。」

サラトガの雰囲気がいつもの彼女に戻る。

「サラトガサン、脅かさないで下サイ。」

「ソウダ。冗談ガ過ギルゾ。」

サラトガの雰囲気が戻って来たことで異星人二名は今の話を冗談と判断したようだ。


「サラトガさんよお、今の話は…。」

「副総理、ストップです。」

柏木はさらに聞こうとする三島を止める。

「ああいった方々に手を出さん方が良いのは先生達の方が良くご存知でしょう。」

「確かにそうだがよう…。」

三島の声が小さくなる。

「それにサラトガさんとか考えると九段の方の御方ですよ。ねえ?」

「確かにな。」

「否定出来んぞ。だがアメリカのに当てはめて良いものか?」

多川と大見も同意する。

「そんな方々が日本に害を成すわけないじゃないですか、それからあの方々はきちんと祀れば我々を助けてくれますよ。多分!」

「多分てなんですか、多分て。」

春日は笑う。

「確かになあ…。俺の考え過ぎか?」

「そうですよポジティブに行きましょうよ、閣下。」

三島は頭をかいた。

「では皆さん、総理がお待ちでしょうから参りましょうか。」

「そうだな。」

「じゃ、行きますか…。

サラトガが全員を促した。


「そうそう。」

サラトガは歩き始めようとした全員に振り返る。

「妖精は妖精(あやかし)でもありますが妖精(Fairy)でもあります。」

「何を…。」

「そして大陸外縁に位置し、大洋という異界に面するこの國には様々なマレビトが流れ着きます。」

「少彦名命とみたいな?」

「海から来た我々常世の存在もそうですが、大陸からも様々な存在が来ますよ。」

「渡来人とかか?でもそれは…。」

「追われたモノ、妖精へと堕ちたモノ、深海棲艦の様に現し國へと戻れなかったもの…。」

「まさか…!」

「もしかしたら…ですよ。本気にしないで下さいね。」

華やかな笑顔を残しサラトガは扉の方へと歩いていく。


「柏木先生よ、アレが本当なら…。」

「三島先生何も言わんで下さい。オランダ人とか英国百鬼夜行とか色んなのが頭に浮かんでるんですから。」

「「???」」

柏木と三島達が頭を抱える中ティ連人コンビの頭にはハテナマークが浮かび続けていた。

22: 635 :2019/07/16(火) 00:11:48 HOST:119-171-231-231.rev.home.ne.jp
以上になります。
転載はご自由にどうぞ。

恨なぞ怨の前ではゴミみたいなもの怨は災害みたいなものです。
大陸外縁の國に流れ着くのは以前あるSSで読んだ話です。
最果ての地は敗れた者達の流刑地か安住の地かどちらなのでしょうね?

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最終更新:2019年07月19日 21:54