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392 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/01/30(月) 23:53:20.31 発信元:221.30.151.167

シベリアにブーン系専門の図書館が設立されて早2年になろうとしている。

( ^ω^)

おなじみの館長のブーンは大好きな連載の最新作を読み終えたところだ。
完結まであともうひと息であり、大きく展開してみせた物語世界も収束していく。
まるで一つの糸に撚り合わされるように。


ブーンは考える。

( ^ω^)(いままで僕は・・・いくつの作品を読み終えたんだお?)

( ^ω^)(物語が無事完結する時に抱く安堵感や幸福感は格別だお・・・)

( ^ω^)(だけどもそれは一抹の寂しさも内包してるお・・・)

( ^ω^)(楽しい夢や旅の終に似てるお・・・)

( ^ω^)(いずれお別れすることがわかってても、何故物語をもとめるのかお?)

( ^ω^)(わからんお)



393 :( ^ω^)図書館で会いましょう のようです :2012/01/30(月) 23:54:44.54 発信元:221.30.151.167

窓の外の雪は止み、雲間から太陽が銀世界をまばゆく照らしていた。
ブーンは立ち上がって給湯室に行き、一杯のお湯を飲んだ。

そして閲覧室へ行き、読者たちに声をかける。
物語の受信者達を見るために。





 ・・・つくづく迷惑な男だ。


( ^ω^)図書館で会いましょう のようです




394 :( ^ω^)図書館で会いましょう のようです :2012/01/30(月) 23:56:34.36 発信元:221.30.151.167

閲覧室はいつもの賑わいを見せていた。
賑わい、といっても勿論皆無言だ。

だが、確かに感じる。
何かに熱中している人間の気迫のようなものを。
音声にはならない「対話」がそこにはあるのだ・・・


そんな事を考えながら本を読む人の背中を眺めて歩く。
その中で異質の熱気を放つ閲覧者がいた。

(・∀ ・)

見たところ、10代なかばの少年だ。執拗に何かを書いている。

(・∀ ・) <カリカリカリカリカリカリカリカリ

( ^ω^)(何を・・・書いているのかお?)

やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
つまらないつまらないつまらないつまらないつまらない
つまらないつまらないつまらないつまらないつまらない

手紙を書いているらしかった。が、内容はアンチのそれであった。



395 :( ^ω^)図書館で会いましょう のようです :2012/01/30(月) 23:58:23.51 発信元:221.30.151.167

( ^ω^)「・・・・・・」

∑(・∀ ・;)ビクッ

( ^ω^)「・・・・・・」

(・∀ ・;)

( ^ω^)「・・・そういうのはやめた方がいいと思うお」

少年は気恥ずかしさからか、もぞもぞと足を動かした。
が、急に立ち上がり、書いたものをつかんで逃げ出した。


( ^ω^)「おや、これは・・・・・・」

テーブルの上にはブーンも先ほど読んでいた、完結間近の作品が置かれていた。





396 :( ^ω^)図書館で会いましょう のようです :2012/01/30(月) 23:59:37.26 発信元:221.30.151.167

それから数ヶ月のちのこと。


ブーンはいまだ閲覧室を歩きまわっては、読者にちょっかいを出していた。

(,,゚Д゚) 「おめえも暇なやつだな」

( ^ω^)「これも館長の務めですお」

(,,゚Д゚) 「おめえ最近評判悪いぞ。人が読んでるところ邪魔しやがるとか、ニヤニヤしながら
     覗き込んでくるとか。自重しろ」

( ^ω^)「でもこれがやめられないんですおね」

(,,゚Д゚) 「でもよお、プライバシーってもんがあらあ」



( ^ω^)「あ」

(・∀ ・)



397 :( ^ω^)図書館で会いましょう のようです :2012/01/31(火) 00:01:15.39 発信元:221.30.151.167

視線の先にはいつかの少年がいた。

(・∀ ・)

特徴的な顔なのでよく憶えていた。

あの時と同じように、何かを書いている。
ブーンは少年にそっと近づく。
手紙の内容が見えた。

完結乙。
本当に楽しませてもらいました。
心から感謝します

( ^ω^)「・・・君」

∑(・∀ ・;)ビクッ

( ^ω^)「僕もその作品読んだお。完結してよかったおね」

(・∀ ・)「う・・・うん・・・」

(・∀ ・)「ちょっと・・・いや、すごく寂しいけど」





399 :( ^ω^)図書館で会いましょう のようです :2012/01/31(火) 00:04:13.07 発信元:221.30.151.167

( ^ω^)「物語の終わりはいつもそうだおね。

      僕は君を荒らしだと思っていたけど、純粋な読者だったんだおね・・・」

(・∀ ・)「い、いや・・・荒らしは荒らしだけどさ」

(・∀ ・)「終わって欲しくなかったんだ。だから、作者の気を削ごうとして」

( ^ω^)「そうかお・・・
      終わって欲しくないって気持ちはわかるような気がするお。

      でも、物語でも人生でも、いつか開けた扉を閉めるときが来るんだお・・・
      それを受け入れて大人になるんだおね・・・」

(・∀ ・)「そ・・・そうなんだ。それなんだ

     だから、もう、あんなことはしないさ。
     もうあの話は終わっちまったけど、これから読むどんな話にも」

( ^ω^)「なんで君はそう思うようになったんだお?」

(・∀ ・)「・・・じいちゃんが、死んだんだ。つい最近。大好きだった。
     どこにも行ってほしくなかった。

     でもじいちゃんが言ったんだ、死ぬ間際に、枕元で、俺に」




400 :( ^ω^)図書館で会いましょう のようです :2012/01/31(火) 00:09:00.88 発信元:221.30.151.167

( ^ω^)「なんて言ったんだお?」

(・∀ ・)「『いい人生だった。お前に会えて、人生は素晴らしい物になった』、って」

(・∀ ・)「どうせさよならするんだから、物語も、人生も・・・

     だからいいお別れをしたい、ってその時思ったんだ。
     きっと作者も、最高のお別れをしたいと思って物語を書いてる、そう思ったんだ」

( ^ω^)「まだまだたくさん出会うべきものがあるお、本も、人も」

(・∀ ・)「うん・・・・そうだよな」

( ^ω^)「最近は新刊が目白押しだお。新しい扉を開く時だお」

(・∀ ・)「なんかオススメはある?」

( ^ω^)「ウンコ侍ドックンのようです、だお。オススメは」

(・∀ ・)「悪いけどスカトロはNG」

( ^ω^)


( ^ω^)「本は人なり、人は本なり・・・だお」

 (^ω^)「図書館で会いましょう」











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最終更新:2012年02月01日 23:43