478. 名無しさん 2010/10/02(土) 01:03:17
初の書き込みです
攻龍さんの作品に感化され書いてみました
旧軍並み無為無策で書いてしまいましたので内容についてはご容赦のほどを


戦闘を開始してからどれほど時が経っただろうか
体の彼方此方から煙を吐き左舷に集中した死棘は確実に私を蝕んでゆく
喫水をどっぷり沈め既に纏わりつく蚊蜻蛉を振り払うこともできない
最強の矛で在れと造られ突き出すそれは何時も空を切った
ズーン
今度は何処に被弾したのか
艦橋での被害報告に耳を澄ます
「注排水装置全損、復元不能」
最早自分の足で立つことも叶わない
急速に平衡感覚が失われていく
「総員退艦」
それが私が聞いた最後の言葉
その後には怒号や悲鳴
私には最早ノイズにしか聞こえない
灰色の雲が低く垂れ下がった空を見上げ思った
空が遠い
次の瞬間私の体は倒れた
そして幾度かの爆発のち海底へと引きずり込まれていく
苦痛は無かった体が泡となり弾けていくような感覚
そして私の意識も底へ底へと沈んでく
私の名は「大和」大日本帝国海軍最強の矛

それからいくほど時が経っただろう
私には1分後も100年後とも感じられる曖昧な体感時間を経て急速に意識が浮き上がっていく
懐かしい音が聞こえる
ドックの騒音
私にとって母親の心音にも等しいその音で私は目を覚ました
周りの状況を確認する
見えるものは呉の港ドック町並み先輩方の勇姿
そして自分の竣工式
一瞬過去に戻ったのかと思ったが違う
元より二周りは小さくなった自分の体
記憶より立派な造船所や町並み
この身に刻まれた名前
そして自分の建造意図も理解した
それは空母機動艦隊の盾となれ
なんと意地の悪い世界の矛盾
誰も守ることの出来なかった私への中て付けなのだろうか
しかしそれはそれでいいと思った
明らかに目減りした主砲の口径と門数
排水量は言うに及ばず
それ故に得た快速
標準装備となった電子の目は昼夜を問わず遥か彼方の水平線と空を見渡す
少し空が近く感じた
己の身が盾ならば正に矢面
しかしそれこそ私の望むべきものに相違ない
私の名は「伊吹」大日本帝国海軍最強の盾

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最終更新:2011年12月31日 00:35