416 :デン:2012/05/03(木) 18:29:41
      • 「憂鬱日本転移伝」---(改定2話)

1945年4月15日 午前5時45分 大日本帝国とその友邦は異世界転移したがその転移は生易しいものではなかった。

ガガガガガガガガガ!!!

どこからか聞こえる地鳴りか噴火とも言えそうな激しい音。
様々な色に変わる空。
とてつもない空間の揺れの為、怯える者。
全身に伴う激しい痛み。

それらは何と5分も続いたのだが不思議と苦しいと感じたものは誰一人いなかったのである。
が、それでも列強1位・全勝無敗・無敵最強大日本帝国と浮かれていた国民の肝を冷やすには十分なことであったし、何かしら体に違和感を覚える者も少なくなかったのである。




アレリア歴3745年 3月15日 ファルジア王国 首都ファルジア

直径1km、高さ500mはある神殿兼城であるファルジア城の奥にある神殿で一人の人が立っていた。

「あと少し…あと少しの辛抱だ…」

この人物…ファルジア王国のトップに君臨して世界有数の大司祭であるファルジア・オフークトは呟いていた。

「我々の計画もほとんど進んでいる。わが国が世界最強となり、この大陸を我が物にする日も近いか」

このファルジア王国は空前の景気に満ちている。というのも計画の一つである『聖戦』によって亜人から略奪した技術と有用な奴隷にわんさか取れる各種の魔法資源で国力の伸びは右肩上がりである。
さらにわざとなかなか強い魔物の発生地帯を残したおかげで冒険者も大勢きて、重工業も上々、兵の訓練にも使えるし強い魔物の素材は高値で売れる。
代償として近くの農村の被害は依然として多いがそんな事はどうでもいい。代わりの土地なんていくらでもある。強権を発動して移住させればいいだろう。ただ、評判は落とすのは少々不味いのでそれなりのアメは与えておくが。

(軍関係もそれなりに整ったし、わが国の発展を見た途端、尻尾を振って擦り寄ってきた忌々しい小国どもに散々横槍を入れてきた老いぼれ王国に目にもの見せてやる)
「…その為にはまずは、忌々しい亜人共の完全な撲滅と『最終兵器』の錬度向上が必要か」
「先にやるなら未だ立てこもるフェリノア島の制圧が先だな」

聖戦によって亜人は各地で敗退し、大陸から追い出された。まだ大陸に残っている者もいるが、見つかるのは時間の問題。途中で国力増強計画の為、一時は停止していたが、それもほぼ完了し余力が出た今、止めを刺しても良いだろうと考えていた。

「第一艦隊を動かして制圧するのがいいか…最新兵器のより詳細な記録は欲しいし、亜人は油断ならんからな…」

亜人は基本能力が人間より高い傾向がある。ただし、その分代償として劣る部分もあるがそれを補う為に結束されている今、確実に潰すにも記録を取る為にも正規軍の中でもエリート軍を使用することにしたのだ。

「ふふふ…我が軍を見て精々絶望するが良いさ」


大日本帝国が転移する前…異世界のファルジア王国はこうして亜人に止めを刺すべく行動を開始した。
だが全然遠くない日にファルジア国最大の危機を招くとは思いもしなかったのである。

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最終更新:2012年05月19日 22:31