78. 攻龍 ◆KjSC6/6g5M 2009/04/24(金) 23:59:39
冬戦争…ここに日本から売却され、フィンランド空軍戦闘機部隊の主力機となった93式戦闘機の姿があった。
ここで93式はI-15.16を中心としたソ連航空機部隊を相手に奮戦し、自国の空を守りきったと言われた(情報統制により、日本機の活躍よりも大きく宣伝された)。

この戦争で各国の上層部は「複葉機でもまだいけるんじゃないか?」と思い、自国の戦闘機整備計画を少々見直すことになった。
本来ならこのような馬鹿げた事はすべきではないのだが、各国ともに予算面でのとっても厳しい制約からこの甘い諫言に乗ってしまったのであった。

このとき、各国の情報部に指示された命令、それは「93式の性能を調べよ」であった。
すでに実機がフィンランドにあるので、各国情報部が調べだすのも簡単であった。

九三式戦闘機(フィンランド売却仕様)
全長  8.3 m
全幅  9.7 m
全高  3.6 m
空虚重量  1,800 kg
エンジン  寿 (1段2速SC装備)
対応オクタン価  85
離昇出力  880 hp(戦闘出力980 hp)
最大速度  400 km/h / 4,500 m
航続距離  800 / 1,250(増槽) km
最大運用高度  9,000 m
上昇率  720 m/min
固定武装  7.7mm機関銃×4 / 60kg爆弾×3

補足説明
  原型イメージが不明な為ここではCR.42をイメージした(何も無いと分からない為)。
  対応オクタン価が85と低品質燃料に対応したデチューン版エンジン(試作原型機のエンジン)を搭載している。
  対7.7mm防弾を燃料タンク、操縦席周りに施したため、少々重くなったが被弾には強くなった。

以上のスペックが判明した結果、現行の複葉機でもある程度は使用できると思われた。
もちろん、新型機の開発が順調であれば複葉機などには出番などなかったのだが、その新型機は96式に対抗するべく再設計が行われていた為、すぐには実用化できる見込みがなかった。
つまり、つなぎ機として今しばらくは複葉機が空を飛ぶ必要があったのである。

これはどの空軍も同じ事情であった。
そのため手持ちの機体の性能向上を図ることになった。

イギリスの場合。
イギリス空軍はグラディエーターの性能向上版を出すことになったが、スピッツやハリケーンの改良作業で手一杯であった。
そこに売り込みにきたのは日本の三菱であった。
ここのところ新型機の開発で遅れをとっていた為、他国ではあるがツテだのみで売り込みに行ったのであった。
本来なら国防産業に他国の企業はあまり喜ばれなかったが、この際であった。それに旧式複葉機の改良工事と思われたのも三菱にとっては良かった。イギリス空軍もエンジンの性能向上ですむと言うのも魅力であった。

こうしてグラディエーターのエンジン性能向上仕様が製作された。
グロスター/三菱 グラディエーターkai
全長 8.4 m
全幅 9.8 m
全高 3.2 m
空虚重量 1,680 kg
エンジン ブリストル・マーキュリーkai 空冷星形9気筒  (1段2速SC装備)
離昇出力 970 hp(戦闘出力1,120 hp)
最大速度 435 km/h / 4,500 m
航続距離 800 / 1,250(増槽) km
最大運用高度 10,200 m
上昇率 780 m/min
固定武装 7.7mm機関銃×4 / 60kg爆弾×3

補足説明
  外観からは原型機とkaiとの差はあまり見られないが、オリジナルに比べ戦闘出力で25%UPのエンジンのおかげで複葉機としては世界最高レベルの性能を示した。
  また可変ピッチプロペラの採用により、原型機よりも長い航続力と高い上昇力を得ることに成功した。
  新型機の生産が遅れている為、海軍用のシーグラディエーターも生産され、一時は海軍戦闘機部隊の主力機となった。
  上記の理由により、輸出用も含めて多数の量産が行われた。

これにより当座の戦闘機を入手したイギリス空/海軍は新型単葉戦闘機の登場を待つことが出来た。
さらに亡命パイロットや自由軍の主力戦闘機として使用されることになった。
79. 攻龍 ◆KjSC6/6g5M 2009/04/25(土) 00:02:06
ドイツの場合。
ドイツ空軍は複葉機の活躍に喜んだ(開発費が安く済む)が、絶対的な予算不足から複葉機の性能向上に回せれる予算がなかった。
それでもなんとかゴネた結果、ユンカース・ユモの改良費用を出してもらえた。

アラド  Ar.68戦闘機
全長 9.5 m
全幅 11.0 m
全高 3.3 m
空虚重量 1,850 kg
エンジン ユンカース「ユモ」液冷倒立V型12気筒  燃料噴射装置つき
離昇出力 750 hp
最大速度 330 km/h / 海面高度
航続距離 415 km
最大運用高度 8,100 m
上昇率  不明
固定武装  7.92mm機関銃×2 / 10kg爆弾×6

補足説明
  どう見ても練習機レベルの機体であったが、数の確保のため生産された。
  この機体での見所は、エンジンに燃料噴射装置を採用した点であった。
  またパイロット達からは「戦える練習機」と呼ばれたが、皆この機体から育っていった。

何とか確保した予算は、エンジン開発に使われた。ここでの開発は後に生きていった。
ただし、性能向上仕様でも2流国相手が精一杯であった。


イタリアの場合。
イタリア空軍はフィンランドでの顛末を聞いて、予想通りとほくそ笑んだ。
彼らは「スペイン内乱参戦の実績からまだ格闘戦性能に優れた複葉戦闘機の出番は残されている」と考えていたのだった。
事実、彼らの手元にあった複葉機は93式戦闘機相手に優勢に戦うことが出来ると考えられた。

よって、この複葉機改良競争に参加する気はなかったのだった。


ソビエト連邦の場合。
フィンランド相手に93式にボロにたたかれた(と思っていた)彼らはI-15では役不足と考えた。
そこに提出されたのがI-207であった。これは以前に提出されていたが、その時は試作機のみでボツになっていたが、この事態になったため再提出されたのだった。

全長 6.4 m
全幅 7.0 m
全高 3.5 m
空虚重量 1,550 kg
エンジン シュベツォフ  M-63  空冷星形9気筒
離昇出力 1,000 hp
最大速度 486km/h / 5,300 m
航続距離 640 km
最大運用高度 10,200 m
上昇率  不明
固定武装  7.62mm機関銃×4

補足説明
  引込脚を採用し、I-15の機動性とI-16の高速性能を併せ持つ機体として複葉機で単葉機なみの速度性能を発揮できた。
  
ボツになっていた戦闘機を採用してまでも93式に対抗しようとした。
冷静になれば他の機体を採用すればいいのに、在るからといって…とパイロットには嫌われた。


日本の場合。
各国のこれら一連の動きを大爆笑しながら見ていた夢幻会の面々だった。
彼らにすれば旧式機の現金化に過ぎなかったフィンランド売却だったが、まさかこのような事態を巻き起こすとは思っていなかったのであった。
彼らにしてみれば正直なところ少しだけ待てば新型機が入手できるし、旧式機に予算を投入するなんて…であったのだ。

最期に辻〜んが一言。「ふっ、シナリオどおりだな…」と○ンド●ポーズでつぶやいたとたん、「ウソつき〜!」との大合唱で終わった。

九三式戦闘機二型(日本制式仕様)
全長  8.3 m
全幅  9.7 m
全高  3.6 m
空虚重量  1,800 kg
エンジン  寿 (1段2速SC+水噴射装置+増速排気管装備)
対応オクタン価  96
離昇出力  950 hp(戦闘出力1,200 hp)
最大速度  470 km/h / 4,500 m(水噴射使用・緊急時5分間)
航続距離  900 / 1,380(増槽) km
最大運用高度  9,500 m
上昇率  820 m/min
固定武装  7.7mm機関銃×4 / 60kg爆弾×3

補足説明
  公表されているのは一型(対応オクタン価87仕様)のスペックであり、後期型の二型は以上のような高スペックである。
  フィンランド仕様は一型よりもさらに低下したモデルであったが、現地で高オクタンガソリンの入手が出来なかった為やむをえない処置であった。
101. 攻龍 ◆KjSC6/6g5M 2009/04/27(月) 21:03:28
>>78-79

複葉機開発競争のときに考えていたヘタリア裏ルート…ちょっと書いてみました。
繰り返しますが、「読みにくいです」。

ヘタリア裏ルートの場合
イタリア空軍はフィンランドでの顛末を聞いて、予想通りとほくそ笑んだ。
彼らは「スペイン内乱参戦の実績からまだ格闘戦性能に優れた複葉戦闘機の出番は残されている」と考えていたのだった。
事実、彼らの手元にあった複葉機は93式戦闘機相手に優勢に戦うことが出来ると考えられた。

そしてドイツからもたらされたエンジン販売の話…「DB600エンジンを買わないか」と言う話だった。
ドイツ空軍の戦闘機向けに製作されたものの、要求性能が引き上げられた為に宙に浮いていたエンジンだったが、不良在庫の処分と現金化をかねてイタリアに売却話を持ちかけたのだった。
燃料噴射装置を搭載したDB601を製作していたため、よしんばライセンス生産も取れれば…との考えもあったことは確かだった。
イタリアにしても、将来の発展余裕のある新型エンジンのライセンスが取れれば、自国のエンジン事情も少しは改善されるし、比較的安価で販売されるDB600も一応1,000馬力級エンジンだ。強力であることに間違いは無い。

こうして両国の思惑が一致して、DB600の購入とDB601のライセンス生産権の取得が成立したのであった。

イタリアではこの大出力エンジンの搭載機候補を探したが、母機にロクなのが無いことが判明した。
このままではせっかくの機会が失われる…別に焦っていた訳じゃないんだからね…と思ったのか否か、ここでヘタリアなことを考えた。

高性能単葉機の改良は結局時間がかかる。これはどこの国も条件はいっしょだ。
そうだった。われわれの手元には複葉機としてはとても高性能な機体があるではないか。CR.42がある。

こうしてナニをトチ狂ったか、DB600を装備したCR.42という摩訶不思議な機体が出来上がったのであった。
こうして出来上がった試作機を渡されたパイロットの反応がまた・・・。
「500kmと言う高速でも風が感じれる!」「格闘戦が出来る、高速戦闘にも対応できる。すばらしい機体だ!」「思ったところに機体を持っていける」等と言う非常に高い評価が得られたのだった。
もちろん、一部のパイロットからは「このエンジンを単葉機につければもっと高速が出せるのに…」「何て時代遅れな機体を持ってきたんだ」という辛辣(常識的)な評価が下されたものの、それは少数意見だった。

こうして一時とはいえ世界最高性能の複葉機として大戦初期のイタリア戦線にその姿を見せたのであった。

CR.42B (DB600搭載型)
全長  8.3 m
全幅  9.7 m
全高  3.3 m
空虚重量  1,800 kg
エンジン  DB600 (1段1速遠心型過給機装備)
対応オクタン価  87
離昇出力  1100 hp
最大速度  520 km/h / 4,500 m
航続距離  1,100 km
最大運用高度  9,000 m
固定武装  12.7mm機関銃×4

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最終更新:2011年12月31日 16:25