466. 攻龍 ◆KjSC6/6g5M 2010/09/20(月) 23:22:52
なんか電波らしきものが流れてきた。出来の不出来は言わないで。

閃光と共に隣人は瞬時に消え果て、周りにいたものがその身を粉砕されるなか、私は何故倒れようとしなかったのでしょう。
仲間たちの思いを一人継いだものの、すでにどうにもならぬこの身。
私なりの"意地"なのでしょうか…その考えももはや纒まりません。
最後の瞬間、元気だった頃の妹の姿が何も見えない眼に浮かんだ気がしました。
そして私は蒼かったはずのどす黒い空と海に身を沈め、無念の思いを気泡とともに吐き出しながら、その意識を暗転していった…

はずでした。
気がつけば周りは満艦飾。とても華やかな雰囲気に包まれ、まるでお祭りのよう。
私はまだ状態をつかめれていませんでした…その"名"を呼ばれるまでは。
絶対に聞き違えることのない"私"の名前。だがその名を付けられたのは26年も前のあの日。"今"ではないはずです。

取り乱しかけた私でしたが、周りにいる"一族"や人たちの顔ぶれを見て、なぜか頭の中の一部が非常に冷静になっていきました。
私が最後に彼らに別れを告げた時よりも、明らかに"若い"のです。
そして何より自分自身が"若かった"のですから。

どうやらお祭りの主役は私のようです(最も、皆楽しめれれば主役なんてほっとくのだから…全く!)。
冷静に周りや自分の姿を確認していくと、明らかに色々とおかしかったのです。
記憶の街はこれほど大きくはなかったはずです(でも山や空は変わってはいませんでした)し、一族の姿もまた異なっていました(あの明らかにいてはいけない人は…イヤ私ハ見テハイナイサ)。
そして自分の姿が…大きく異なっていました。
その身に纏う鎧はかつての鎧よりも一回り大きく、重厚でしたし、武器もより強力になっていました。
明らかに違うのに…妙にしっくりと馴染んでいます。

この世に神様と呼ばれる存在があるのなら、なんて意地悪で…お節介なのでしょう。

一年後、私は妹と"再会"しました。
あの子もまた、私と同じようにその姿を変えていました。
でも、一目でわかりました。どんなに姿を変えたとしても、たとえ私を知らなくても、"あの子"は変わらずに…私の妹だと。

かつての世界と同じように、この世界もまた戦争へと突き進んでいます。
でも、かつての破滅の空気はソコにはありません。
皆、同じ合言葉を胸に懸命に生きようとしています(夢幻会?  なんですかそれは)。
戦うことしかできないこの身ですが、彼らの思いは私も共感していたのです。

やがて姉様達と同じように、私も身に纏う鎧を、武器を"ぐれーどあっぷ"することとなりました。
今日まで使っていた武具は愛着はあったけれど、少し古くなっていました。使えないわけではないのですが、物足りなくなっていました。
記憶の彼方の"私"は…「お金が無い」とかいう理由もあって、念入りに仕込まれた、でも継ぎ接ぎの感のある、少しだけ強力になった武具を使っていたのですが…"今度"はどうなるのでしょう。こと自分のことなのでワクワクしますね。

やっぱり「お金が無い」は共通した合言葉だったようです…泣いていいですか。

なんか皆さんが必死になって工面してくださったようで、私は泣かなくて済みました(笑ってもいのですよ)。
それどころか、かつてのそれとは比べものにならないほど贅沢な仕様になっちゃったようです。
…これで、かつて戦場に立つことすらできなくて流した悔し涙や、隣に立っていた戦友を守れなくて流した血涙を少しは流さなくても済むのでしょうか。
それとも、地獄のような戦場を渡り歩くことになるのでしょうか。
…何を弱気になっているのです!  私はかつて"地獄すら生ぬるい"場にいたのです。今更地獄程度ならむしろサービスではないですか!!

私は『帝国海軍  戦艦  長門』。
あの地獄の戦場を戦い抜き、最後に"地獄すら生ぬるい"時代を見た『魂』…です。
あ、でも具現化はしませんよ…色々危険な気がするので(主に貞操面で…なんですか「萌え」って。「長門は俺の嫁」って。どうせ私は(この年でまだ)独"神"ですよ!)

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最終更新:2011年12月31日 16:43