631 :KY:2012/06/28(木) 22:58:46

銀河憂鬱伝説IFネタSS 『日銀同盟』

「あのヤンキーモドキもバカな事をしたもんです」
「まったくだ。いくら衆愚政治でもあれはないだろう」
と夢幻会の者達は自由惑星同盟のバカさ加減に呆れていた。

宇宙暦791(帝国暦482)年
自由惑星同盟の愚行により、銀河帝国と大日本帝国が手を結ぶことになり、その結果二国に挟撃されて自由惑星同盟は滅亡した。

そもそもの切欠は、同盟と日本が接触してある程度時間が経った時期に、大日本帝国は立憲君主制国家で、当然議会は存在していたが、賢人機関である夢幻会が議会を牛耳っており、実質的に民主主義とはいえない状態であることが同盟に知れ渡った事だ。
それは元々秘匿していたわけでもないので伝わるのは当然だったが、同盟の世論はこれに暴走した。

世論の突き上げを受けた最高評議会は、後に同盟の滅亡を決定づけたトニューリヒト・ノートを日本に突き付けることになった。
これは非民主的な夢幻会の廃止、天皇制の廃止、華族制の廃止、国名変更などを盛り込んだものであった。
普通に考えればこれは愚行以外の何者でもない。
しかし、同盟の政治家の腐敗は著しいものであり、この世論の暴走に対して政治生命をかけてまで諫めるべき本当の意味での政治家はほとんど存在せず、選挙や支持率しか興味のない政治業者たちは日本の富を身が眩みこれに同調した。
軍部でも実戦経験が乏しく六個艦隊しか保有していない日本を侮って便乗した。
勿論、現実を理解している者はそれに反対したが、最早この流れを止めることはできなかった。

元々、同盟は反ルドルフに対するアンチテーゼとしての民主共和制を採用していたが、この時期になると、民衆はアンチの域にたっしていた極端な反帝国主義を掲げ、民主共和制を狂信していた。
つまり帝国や非民主的な物=悪、民主共和制=正義という極めて偏った価値観となっていたのだ。

当然ながら、かつてのハル・ノート以上の屈辱的要求を突き付けられた日本は朝野を問わず自由惑星同盟に激怒した。
そして要求を拒絶された同盟軍がサジタリウス回廊に攻め込むにいたって、自由惑星同盟がかつてのアメリカ合衆国によく似た共和制国家であることから、「あのヤンキーモドキをぶっつぶせ!」と怒りの声を上げる意見すら飛び出した。
ちなみにその戦いで同盟軍は日本軍の強力極まりない要塞陣地を突破することができずに敗退した。

632 :KY:2012/06/28(木) 22:59:40

そして、この状況に狂喜乱舞したのが銀河帝国であった。
帝国にとって日本はルドルフ大帝ですら認めた歴史ある国家だ。
確かに同盟の扱いに関しては意見の相違があったが、状況の変化によってそれも問題にならなくなった。
特にフリードリヒ・ジッキンゲン大公は精力的に日本と接触し、結果として大日本帝国と銀河帝国が手を結び共に自由惑星同盟と戦うことになった。
これが後にいう日銀同盟である。

この際の話し合いで、銀河帝国がオリオン腕とサジタリウス腕を領有し、日本帝国を初めとする銀河系内郭国家連合が定規・白鳥座腕、南十字・盾腕、ペルセウス腕を領有するという取り決めが成された。

この様な取り決めがされたのは、日本を含めた内郭国家連合は同盟領を支配する意志がなかったからだ。
彼らからすれば同盟人など不良民族でしかない。
同盟領を征服して、そんなお荷物を抱え込むぐらいなら無人のペルセウス腕を一から開拓したほうがマシであり、サジタリウス腕を同盟人ごと銀河帝国に譲り(押しつけ)変わりにベルセウス腕の領有を帝国に認めさせたのだった。
また同盟を国家として認めていない銀河帝国としても反乱軍を征服してサジタリウス腕を領有するのは魅力的であった。
それによって多くの農奴が確保できるし、面目が立つ。

かくして宇宙暦790(帝国暦481)年、サジタリウス回廊から40個艦隊60万隻もの日本軍が同盟領に攻め寄せ、イゼルローン回廊からはミッケンベルガー元帥率いる帝国軍10個艦隊が攻め込んだ。

この事態に同盟はパニック状態となった。
大慌てで10個艦隊を日本軍に当てる一方で、星系警備隊などをかき集めて、更に退役間近の旧式艦やテストも終えていない新造艦などで編成した3個艦隊を帝国軍の対処に当てたものの対抗できるわけもなく惨敗してしまう。

ちなみに日本軍と同盟軍の戦いは呆気なく終了した。
そもそも日本軍と同盟軍では艦艇の性能差が隔絶しすぎていた。
同盟軍のレーザー砲はまったく日本艦隊の防御障壁を破ることができない上に、日本艦隊が打ち込む重力波砲は同盟の攻撃をねじ曲げられてしまい、一方的に叩きのめされていた。
その有様は夢幻会派の軍人が「なんかナデ○コの地球連合宇宙軍みたいだな」といったり、「じゃあ俺達は木○かよ」と突っ込んだりするほどであった。
こんな戦いにすらならない状況の上に、10隻の要塞級巨大戦艦に同盟の四倍もの数の艦隊と戦うのだ。
同盟軍の将兵が実戦経験で勝っているとはいえ、とてもじゃないが補えるわけもなく、同盟軍は正に瞬殺された。

一方、帝国軍も同盟軍を順調に撃破した。
これは同盟軍の主力が日本軍に向けられており、帝国軍が戦ったのは俄仕込みの混成艦隊で兵力にも大差があったという理由の他に、帝国軍が異様なまでに気合いをいれていたのもあった。
帝国上層部は、大日本帝国の異常なまで高い国力からとてもではないが日本に対抗できないと理解していた。
だからこそここで日本に舐められるような不甲斐ない戦いはできず、少なくとも”帝国軍侮りが足し”と認識させる必要があった。
それ故に軍部の気合いは凄まじいものだった。

こうして首都星ハイネセンは帝国軍に占領され、同盟は滅亡した。

633 :KY:2012/06/28(木) 23:00:31

宇宙暦792(帝国暦483)年
同盟は帝国に併合されて同盟人の多くは農奴階級に落とされた。
そして多くの農奴達は門閥貴族に提供された。
更に新領地(旧同盟領)を与えられた貴族達は圧政を敷いて、反発した同盟人が抵抗するも圧倒的な帝国の軍事力を前に踏みつぶされた。

この状況に同盟人達は内郭連合に亡命を希望したり助けを求めたりしたが、内郭連合の対応は冷たかった。
日本人は自業自得だと吐き捨て、彼らの亡命を拒絶し、警告を無視して侵入しようとする難民船を撃沈した。
イギリスやロシアといった国々も同盟人のバカさかげんに呆れ果てており、事実上の盟主たる大日本帝国の不興を買ってまで彼らを庇うことはなかった。(つまり無視した)
また、内郭連合は民族国家であり、異民族にはあまり寛容ではなかった。
つまり難民を大々的に受け入れて不良民族を抱えるのを嫌ったのだ。
彼らから言わせれば難民なんか受け入れるよりも多産と子育てを推奨して人口を増やす方が面倒がなくていい。

こうして自由惑星同盟は誰からも相手にされず、かつてのアメリカ合衆国と同じく暴走した民主主義によって滅亡したと歴史に記された。

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最終更新:2012年07月01日 17:02