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支援2_名無し三流さま_ドイツ空軍の改革・その始まり
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取得中です。
712.
名無し三流
2011/12/28(水) 23:12:34
今回のSSは、頑張るルフトバッフェです。
とりあえずなにがしたいのかと言うと……
・ドイツ空軍にまともな大型爆撃機を持ってほしい
・いつまでも急降下爆撃厨じゃないルフトバッフェが見たい
He−177は、素質が良いだけにもっと活躍してほしい機体でしたね。
工業力は史実程じゃないっぽいけど、ドイツなら出来るはず……
713.
名無し三流
2011/12/28(水) 23:13:04
1940年代も半ばに差し掛かろうかという頃、ドイツ第三帝国の空軍であるルフトヴァッフェは、
遅まきながら自分達が変革しなくてはならないという事を知ろうとしていた。
バトルオブブリテンでは大きな損害を出し、ソ連にはなかなか止めを刺せず、
その一方ではるか彼方の極東にいる仮想敵軍は彼らを鼻で笑うような戦果を挙げている。
この現実から、ドイツ空軍再建の立役者の1人であったエアハルト・ミルヒは1つの結論を出した。
「ルフトバッフェの戦略空軍化が急務である」
と。
提督たちの憂鬱 支援SS 〜ドイツ空軍の改革・その始まり〜
元々、ルフトヴァッフェは戦術空軍である。
コンドル軍団の時代から、彼らの任務は地上部隊の支援が中心だった。
この種の任務に求められるのは広域を破壊するような絨毯爆撃ではなく、
航空機にとっては非常に小さな目標である戦車などを確実に破壊できる精密爆撃(=急降下爆撃)で、
またこれに要求されるのはペイロードの大きい大型機ではなく小回りの利く小型機だ。
当然、小型機は航続距離が短くなるので遠隔地にある敵工場を破壊するような事はできず、
これがバトルオブブリテンでの苦戦や独ソ戦の長期化に繋がっている。さらに、
航続距離が短いと戦線が前進するにつれ新たな飛行場が必要になるという問題も出て来る。
これは独ソ戦や北米侵攻の際に特に顕著になったものだ。
そして問題は"戦術空軍すぎる"事だけではない。"陸軍寄りすぎる"事もである。
新たな仮想敵国として日本が加わると、万が一の場合に大規模な海戦の発生は避けられない。
その時、空母を持たないドイツ海軍が沿岸から離れすぎる事は日本の機動部隊に一方的に叩かれる事を意味し、
沿岸に近くてもドイツ空軍が海軍へ効果的援護を行えるかどうかは怪しかった。
714.
名無し三流
2011/12/28(水) 23:13:42
最終的に、エアハルト・ミルヒはルフトヴァッフェの問題点を次のようにまとめた。
? 長距離を飛行し、敵工場地帯を効率よく破壊できる高性能大型爆撃機の不在。
? ?に関連して、航続力が長く、かつそこそこの戦闘能力を持つ戦闘機の不在。
? 大洋上における対艦攻撃の経験不足と、そこから来る関連技術の遅れ。
これらの問題は共に空軍の再建に取り組んだ盟友であるアルベルト・シュペーア、
そして日本軍の脅威を最も痛切に感じていた1人であるエーリヒ・レーダーとの協議の上、
3人の苗字の頭を取った『MSR提言』として第三帝国の指導部内で提示された。
この提言はこれまでのドイツ空軍の急降下爆撃偏重を痛烈に批判するものであり、
具体的にではないがこの流れを作った1人であるヘルマン・ゲーリングをも暗に非難するものだった。
勿論ゲーリングは慌ててこの提言を潰しにかかったが、海軍・軍需省との共同戦線を張られていたため、
彼の影響力の及ぶ範囲ではこれを揉み消す事はできなかった。
そうこうしている内にMSR提言は総統であるヒトラーの目にも留まる事になる。
説明を求められたゲーリングは「急降下爆撃は対艦攻撃にも有効であり、日本人は実際にそれで戦果を挙げている」
などと苦しい言い訳を余儀なくされた。後にこの釈明を聞いたレーダーは苦笑しながら、
「急降下爆撃で破壊できるのは艦上構造物だけであり、そもそもこの戦法は対空砲火に晒され易い。どう考えてもペイしない」
と部下に語ったという(ゲーリングはこれに対し、「工業力が旧来の米国以下である日本には、それでも十分打撃だ」と再反論している)。
こうしてゲーリングの反対もむなしくルフトヴァッフェ内では改革の機運が高まっていくのだが、
機運だけでは改革は動かない。ミルヒはこの機運を機運だけで終わらせないために、空軍外の人間とも協力し、
数少ない戦略爆撃機の卵だったHe−177の設計をより洗練されたものにすべく、同機の強化計画を実行に移した。
計画の内容は史実におけるHe−177Bと似たようなもので、
エンジンをDB606からより信頼性の高いものへと換装すること、
急降下爆撃能力の撤廃、防御機銃の強化、この3つが最優先目標とされた。
果たしてHe−177強化計画は某国家元帥が抵抗を諦めたからか十分な成功を収め、
ドイツ空軍内では最もペイロードに優れ、そして機械的信頼性も高い爆撃機となった。
その性能たるや北米侵攻のドサクサで確保した元米空軍の重爆撃機パイロットに、
「もしこれが(日本との)開戦時にあったなら」と言わしめる程だった。
715.
名無し三流(これで投下終了)
2011/12/28(水) 23:14:20
さて、この改良型爆撃機は、計画の成功を内心疑っていたヒトラーを、
そして急降下爆撃に拘っていたゲーリングをも唸らせた。
ヒトラーは「これがあればソ連を屈服させられる」と大いに喜ぶと、
この爆撃機に『フリューゲンドラッヘ(Fluegen Drache)=飛竜』という愛称をつけた。
ドイツ週刊ニュースでも彼の機の存在は格別に大きく取り沙汰され、
そこで放映された試験飛行の現場にはエアハルト・ミルヒらと共に、
何故かヘルマン・ゲーリングまでいた事は国内でちょっとした語り草になったという。
このように、ドイツ空軍史上に残る傑作機として扱われたHe−177F(FはFluegen Dracheより)だが、
その裏でエアハルト・ミルヒとアルベルト・シュペーアは予測可能・回避不可能な問題に直面していた。
予算である。
急降下爆撃をしなくてもよいので機体強度を適切にする事ができ、
これでHe−177Fの生産コストは旧来のHe−177に比べむしろカットできたのだが、
開発コストを下げる事はできなかった。そして、大型機のパイロット育成もタダではできない。
戦略爆撃機隊を編成するだけでも大変なコストがかる。
そして、そのコストを費やした上でそれを護衛する部隊まで育てるのは、非常に難しかった。
ドイツ空軍パイロットはこれまでの任務上、目と鼻の先でドツき合うような戦いが多かったので、
これを長距離作戦に適応させるだけでどれぐらいの労力がかかるかは想像もしたくないくらいだ。
また、極東ではBf109やFw190をあらゆる面で上回る超性能戦闘機(しかも艦載可)の開発が進んでいるという、
ミルヒやシュペーア、レーダーでなくても通常の3倍の頭痛がしてきそうな恐ろしい噂が立っているのだ。
旧来の体質、予算不足、不気味な程に技術力のある仮想敵国……
ドイツ空軍の改革への道は、かくも苦難の多い中で始まったのだった……
〜To be continued……?〜
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最終更新:2011年12月31日 17:06
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