138 :名無しさん:2012/09/16(日) 16:25:09
[外交格差]


福建某所
「クソッ! あのゲテモノ食いの変態の守銭奴めが(*1)」
酒場で、一人の男が身なりに似合わぬ暴言を吐きながら荒れていた。
「親爺、あの人どうしたの?」
「ああ趙さんか、外交員をやっているらしいけど、交渉で手玉に取られたんだって。今日は何にす
る」
「そんな事くらい、外交では日常茶飯事だろ。その度にああなられちゃこっちはかなわないよ。焼
酎ロックでおくれ、つまみは任す」
「クソゥ……」
 趙にとって外交が成熟していない自分たちがやりこめられるのは何時もの事であり、むしろ相手
から外交技術を盗もうとしてきた。だが今回はこちらのミスで徹底的に譲歩させられた時、向こう
の外交官についてきた男の発言を思い出す。
「こんなに譲歩させたら環太平洋の経済バランスが崩れちゃうよ。(*2)7:3いや6:4位にと
どめよう。こちらもそれで充分採算は合う」
相手国は世界的に見ればそれほど外交に強い訳ではない。(*3)
「何時になったら……我が国は……世界レベルの外交ができるのか……」
(現在外交において大勝利を得ているイタリア、古豪イギリスなどと福建は外交で渡り合えるのだろ
うか?)
 男は胡乱になりながらも、アルコールの為かそのような妄想が浮かぶ。 
(周辺国との外交では、一種のローカルールがある。(*4)条約や誠意を尊ぶ気風だ、彼の国に習
った外交ルールそれを意識しているうちは福建、そのた環太平洋国家の外交としての独立は難しいだ
ろう(*5))
「ZZZ」
酔って眠りにつく男の心中は誰も知らない。
「親爺、肉饅頭お代わり」
「はいよ」
酒場では何時も通りの時が流れる。

139 :名無しさん:2012/09/16(日) 16:25:51
補足
※1 憂鬱世界での日本人の蔑称。
※2 日本としては自国の勢力下にある国々は搾取するのではなく育てていく方針を当時取っており
この発言もその為と思われる。
※3 イギリスの裏切りや対米戦の回避失敗など列強平均でみれば日本の外交能力はそれほど強化さ
れていなかった。
※4 日本によって近代化された国々はその過程で制度を日本にならったものとなり、結果そのよう
な外交ルールができた。
※5 当時のジョークで「アジアの外交はジュニアルール、世界の外交はシニアルール」と言ったも
のがあった出所不明。

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最終更新:2012年11月14日 20:27