232 :ハニワ一号:2013/02/10(日) 17:01:45
1840年代後半 樺太奉行所にて

日本大陸の北に位置する樺太島に設置された樺太奉行所で幕府から派遣された二人の転生者が会話していた。

「樺太も10倍になっているかと思っていたがそうなっていなかったな。」
「ただでさえ苦労しているというのに10倍になったら、警備や探索、開拓の手間が増えて過労で死んでしまいますよ。」

転生者である二人は樺太奉行と樺太方面の幕府軍司令官の地位にあり、当時の蝦夷や樺太、ロシアなどの北方の地理や軍備などの知識に詳しい事を買われて樺太奉行と樺太方面の幕府軍司令官を任されていた。

アヘン戦争による清国の敗北に衝撃を受けた幕府の改革の一つとして、将来の開国に伴う国境線の策定や欧米列強の侵入に備えて日本の国境地帯の警備と実効支配を強化することが決定された。
幕府の決定を受けて樺太や千島列島、小笠原などの国境地帯に警備のための兵と実効支配のための植民が急ピッチで進められた。

「本格的に樺太の開拓が始まって数年以上が経った、今の樺太の植民状況はどうなっているのだ。」
「ロシアに樺太を獲られないように、樺太の日本人人口を増やして樺太開拓を進めている。金はかかるが人を集めるためにも産業を興して軌道に乗せているところだ。また優遇措置を設けて人を呼び寄せている。それよりも今の樺太の防衛状況はどうなっているのか聞かせろ。」
「樺太にいるのは幕府軍を主力に寒さになれた寒冷地帯の藩の藩兵で編成された混成軍だ。指揮系統は幕府軍司令官の元に一本化され指揮系統で混乱する事がない様に整備しているから指揮系統の問題は大丈夫だ。幕府も国境防衛の重要性を理解して樺太の幕府軍に西洋式の部隊と装備を優先的に配備してくれている。国境地帯の警備やロシア軍を想定した演習や訓練をして万一のロシア帝国との有事に備えている。また屯田兵の整備も進めている。」

その後も2人は情報交換を続け、その過程で発見した疑問点や改善点を議論し合った。こうしてまとめられた幕府に送る報告書が作成されて幕府に送られるのだ。

仕事が終わった二人は打ち上げの席を設けて酒を交わしあったのだが

「はあ、それにしても剣虎兵がいればな~。剣虎兵でロシアを相手に無双してやるんだ。」
「しつこいぞ、もういい加減に諦めろ。その愚痴は聞き飽きたぞ。」

「剣虎兵の創設を目指す会」の会員であった司令官は夢破れた後も剣虎兵創設の夢を捨てきれず、酔っぱらうと同じ転生者仲間である樺太奉行を相手に愚痴を漏らすのだった。

(これさえなければ有能な軍司令官なのに・・・。どんな人物にも欠点はあるし公私混同しないだけましか。)
俺も付き合いがいいよなとため息をつきながらあきらめて樺太奉行は同僚の愚痴に付き合うのだった。

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最終更新:2013年03月06日 21:14