768 :第三帝国:2013/09/24(火) 18:43:24
『衝号抜きの太平洋戦争』

序章「開戦」

1942年8月、大日本帝国は中華民国ならびにアメリカに対してついに宣戦を布告した。
開戦に至るまでの原因は今日では中華民国の陰謀、アメリカの余計な欲望が招いたものであると言われている。
特に軍事基地の視察、現政権の退陣、暗号情報の開示を要求したハルノート最終通告書は近代主権国家に対してあるまじき行為であり。

それが、日本側に先制攻撃による戦争を決断させるに至ったのは疑いの余地はない。
が史実を知る憑依、逆行者は先制攻撃で「リメンバー・パールハーバー」と史実のアメリカは団結したように、
先制攻撃は自殺行為だと考えたが、史実と違いフィリピンだけでなく中国大陸にアメリカの拠点が存在していたため、

さらには、史実では対ドイツに向けられた戦力が一点に集中されることが明らかであったため、
受け身よりも積極的な攻勢、つまりは中国、フィリピン、太平洋と分散している間に各個撃破を目標とした。

この時夢幻会の対米戦略は、

第一段階:フィリピン及び中国に展開する米軍の撃滅。
第二段階:ハワイの真珠湾基地の破壊と無力化及び米艦隊の撃滅。
第三段階:アラスカへの侵攻とミサイルによるアメリカ政府への脅迫。

であり、理想は短期決戦で和平を結ぶことであったが、
史実を知る夢幻会としていくら短期決戦に持ち込んでもアメリカは根を挙げないことを知っていたので、
アメリカ本土を直接叩き、二度と戦争ができないようにアメリカを叩きつぶす覚悟を決めた。

それを可能としたのはかろうじて間に合った原爆の開発と、
射程5000キロにも及ぶ日本版A10とも言えるミサイルが手札としてあったからだ。
もし、第三段階でアメリカが屈服しなかった場合は、手持ちのミサイルすべてを五大湖周辺に叩き込み、
さらには、原爆で東海岸を焦土化させる腹積もりであった。

史実を知る人間としては壮大、というより正に火葬戦記の世界としか言いようがない世界だが、
原爆の開発が幾ら先を知る人間たちが居たとはいえさすがに手間がかかり、後に昭和の妖怪と恐れられた大蔵省の辻が提案した、
本来の計画ならば、原爆を用いて意図的な津波を発生した挙句、アメリカを水没させる水葬戦記が繰り広げられるはずであった。

そして、日本で普及したばかりのTV放送で天皇陛下自らが嶋田繁太郎に政治的主導権を委ねる旨を表明することで、
もしも戦争に負けたさいに天皇陛下に害が及ばないように、またゆるぎない挙国一致体制を完成させたことで、
国内政治における最後の仕事を終えると8月16日ついに日本はアメリカ合衆国ならびに中華民国に宣戦を布告した。

さて、開戦の第一撃はフィリピン、上海、青島、奉天に存在する米中連合軍への空爆から始まった。
合計2000機近く、と規模はかのバトル・オブ・ブリテンの次に匹敵する数の航空機が空を舞い上がった

単純に先手攻撃と戦力差もあるが、夢幻会が推し進めた富国強兵政策によって数世代先の航空機に、
未来知識によって生み出された最先端のドクトリンによって連合軍に致命的ともいえる大打撃をあげることに成功した。

青島にあった中華民国海軍は陸上攻撃機のたったの一撃で壊滅。
上海の米軍拠点は陸軍第3飛行集団、そして空母5隻を擁する遣支艦隊の攻撃により制空権は完全に日本のものとなり、
杭州湾から東条英機率いる第25軍、第11軍が上陸を開始した。

769 :第三帝国:2013/09/24(火) 18:44:04
フィリピンに対しては第12航空艦隊、
第3艦隊によって米アジア艦隊の撃破をもくろんだがそれは肩透かしを食らう。
偵察の結果、キャビデ軍港からは既にその姿を消していることが判明したからだ。

戦艦
『アリゾナ』
『オクラホマ』
『ペンシルべニア』
『ネバタ』

空母
『ヨークタウン』

を中心とした
戦艦4
空母1
巡洋艦5
駆逐艦24

のアジア艦隊は何が何でも撃破せねばならない相手であったが、
フィリピンへの航空殲滅戦を展開すると同時に軍港施設への攻撃を敢行し軍港は甚大な被害を被った。

特に戦時には日本への通商破壊のために保管していた、
潜水艦の魚雷が丸ごと吹き飛んだため、史実のように魚雷の不調も合わさり低調なものとなる。

アメリカの各潜水艦艦長は海の男らしく果敢であったが、
その努力は報われることはなく、対ドイツ戦で鍛えられた日本の対潜部隊によって、
そのことごとくが冷たい海の底へと沈んで行った。

第3艦隊は目的のアジア艦隊の撃破はできなかったが、
制空権の確保と施設の破壊に成功したことに満足しつつ一度フィリピンから離れ再編成をしている間。
たまたまスコールを避けるため大きく迂回した偵察機が逃げるように南下するアジア艦隊を捕捉、ここに第二試合が開始された。

後に『フィリピン沖海戦』と称される戦いは、
航空機で戦艦を沈めることが可能であることを証明し、全世界を驚愕せしめた。

日本側は偵察機が艦隊を発見したとの報告を受けると迷わず直ちに攻撃に移った。
対してアメリカ側も偵察機を送り込み、
日本側の艦隊を捕捉すると日本側からやや遅れて航空機を送り込み、
開戦初日にして史上初の空母決戦が実現された。

が、結果は戦車を集中運用したドイツ装甲師団と同じように空母を6隻も集中運用した日本側に軍配が上がった。
3派総数500機近くの航空機による波状攻撃によってアジア艦隊は駆逐艦5隻を残して文字通り全滅してしまった。

空母『ヨークタウン』は15分の間に800キロ爆弾を6発、さらに魚雷8発の飽和攻撃で轟沈。
戦艦『アリゾナ』は5発の800キロ爆弾の直撃を受けて弾薬庫が誘爆、爆沈。

第一波が引き揚げた後に浮いている艦は戦艦3、巡洋艦2、駆逐艦15にまで落ち込んでいた。
悪い事にさらに悲劇はここで終わらず、アメリカが送り込んだ攻撃隊は先に日本のレーダーに誘導された戦闘機の歓迎に見舞われる。
雷撃機はレーダーを日本が使用しているのを知っていたので末期の日本軍よろしく低空で侵攻していたが、艦隊に辿りつく前に全滅してしまう。
かろうじて艦隊に辿りついた急降下爆撃機は勇敢であったが、史実アメリカをモデルとした防空体制前にやはり全滅してしまった。

夕方まで続けられた海戦の結果。
先に述べたようにアメリカ側は駆逐艦5隻を残してアジア艦隊は消滅してしまった。
日本側の損害はアメリカ側に史実でその威力を発揮したシステムマチックな防空システムがなかったこともあり、
航空機の損害約20数機、しかも流星は頑丈な機体であったため実際に未帰還となった数はすくなく、
ひとまず胸をなで下ろした夢幻会と裏腹に日本本土ではお祭り騒ぎとなる。

かくして開戦初日にして制空権、制海権は完全に日本のものとなり計画の第一段階はほぼ達成された。
翻ってアメリカは航空機で戦艦が、しかも黄色人種が操るもので沈められたことに衝撃を覚えると同時に、
アジア艦隊による牽制さらに太平洋艦隊と合流しての中部太平洋侵攻計画が開戦初日にしてとん挫したことを思い知らされた。

また、人的損害もハート大将以下の高級将校が軒並み戦死したことに加え、
日本の尋常でない攻撃力のせいで大型艦の轟沈、
爆沈が相次いだために死者は開戦一日目にして8000人近くの水兵を永遠に失ってしまう。
しかも艦船は洋上で沈められたために真珠湾のように再度戦力化されることはなく、この悲劇は始まりに過ぎなかった。

771 :第三帝国:2013/09/24(火) 18:57:05
まずはこのような駄作につきあって頂きありがとうございます。
そしてウィキで兵器体系、各話を纏めた有志の方々には百万の感謝を。
このSSを書く際に大変参考になりました。

さて、このSSの目標は『衝号抜きで勝てる太平洋戦争』です。
いつもネタなSSしか書いてこなかった自分にとって初のガチな架空戦記ものとなりますので、
色々と突っこみどころがありますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

序章でいきなりアジア艦隊を抹殺したのは、
とにかく米帝様の戦力を削ぎ落さねば日本に勝機がないからです。
本編のようにアジア艦隊がフィリピンでウロウロしていたら時間に余裕がない日本が不利です。
どうせ、本編でも(31話、32話)でアジア艦隊は全滅するのですから思い切ってやってしまいました。

では


次話:第1章「大陸戦線」目次

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2014年03月23日 13:45