939 :パトラッシュ:2013/11/09(土) 09:49:25

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART30

ダリル・ケイシーSIDE

「ではデュノア社が倉持傘下に入ったのは、織斑一夏にハニートラップを仕掛けようとした報復だと?」
「そうだ。素人が下手に手を出して大やけどしたな」
「で、わが合衆国はどうなのです。CIA(中央情報局)かDIA(国防情報局)が何かたくらんでますか?」
「知るか。だが海軍としては、何としても織斑大尉の所属する『地球防衛軍』に直接接触したい。貴官らはIS操縦者として織斑と友好関係を保ち、相手の考えを探れ。少なくともイギリスやフランスの代表候補生並みにな」

 在日米軍IS担当官との会話を思い出しながら、私はIS学園学年別トーナメントでの織斑とドイツ軍IS部隊隊長ラウラ・ボーデヴィッヒの戦いぶりを眺めていた。といっても、それぞれのパートナーであるフランス代表候補生シャルロット・デュノアと篠ノ之箒が激闘を繰り広げている傍らで、互いの切り札である『零落白夜』と『AIC(慣性停止能力)』を発動可能にしたまま睨み合って動こうとしない。先日、データ採集用の第一世代機を実質的な専用機として供与された篠ノ之は打鉄よりも数段動きがよくなり、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡを駆るデュノアと対等に渡り合っている。そこへ同僚のフォルテ・サファイアがアイスキャンデーをかじりながら尋ねた。
「なあダリル、あいつらやる気あるんかいな」
「あるさ。相手を強いと思っているから、慎重に間合いを測っているんだ」
「織斑はともかく、ドイツ人もか?」
「シュヴァルツェア・レーゲンのAICは、特に一対一では驚くほどの力だ。例の中国製ISの衝撃砲≪龍咆≫も効果がないと聞くぞ」
「ほなら零落白夜を発動しても捕らえられるだけやんか。そこでレールカノンを食らえば、いくら織斑でも」
「そうだな……動くぞ!」
 白式が瞬間加速で正面からシュヴァルツェア・レーゲンに突っ込んでいった。あれではAICの網に捕まるだけ――いや、零落白夜のエネルギー刃が急激に膨らんでいく。大きさが倍以上になったかと思えた次の瞬間、ボーデヴィッヒの腹部に刃が叩き込まれていた。強烈な衝撃にアイパッチをつけた表情が苦悶に歪む。とっさに後退したが、今の一撃で相当なシールドエネルギーを消耗しただろう。一方の織斑は、余裕で『雪片弐型』を構え直している。
「ダ、ダリル、AICはどうしたんや? まるで効果あらへんぞ!」
「信じられないが零落白夜のエネルギー刃が数倍に膨らんだようだった。あれだけやればエネルギー切れを起こしてもおかしくないのに、白式は変化なしだ」
「あり得ねえ! 零落白夜ってのは、日本製自動車みたいにスーパー省エネ型の武器やったんか?」
「わからん。しかし、そうとでも考えなくては」

 後付武装も拡張領域もない白式の超高燃費攻撃を目撃したアリーナの観衆は、各国軍関係者から学園生徒まで驚愕の渦に叩き込まれていた。第一形態でワンオフ・アビリティーがあるだけでも異常事態なのに、ここまでくると化け物じみてくる。ようやく態勢を立て直そうとしたシュヴァルツェア・レーゲンに、篠ノ之を倒したデュノア機が連装ショットガンを発射する。ボーデヴィッヒが必死の形相で何とか耐え切った刹那、再び瞬間加速で雪片弐型を振りかぶった織斑が、零落白夜でシュヴァルツェア・レーゲンを抉った。
「おおおおおっ!」
 激痛に見舞われたボーデヴィッヒが絶叫する間に、巨大なエネルギー刃が二撃、三撃と斬り込む。見ている私が思わず痛みを感じたほど容赦ない攻撃に、ボーデヴィッヒの機体が膝をついて全身に紫電が走る。IS強制解除の兆候だ。
「うわあ、えげつねえ……紳士の風上にも置けん男やな、織斑は」
「いや、敵にかける情けなどない戦士には当然のやり方だ。向こうの世界で織斑がエースパイロットだったのなら、むしろ遅すぎたぞ。ボーデヴィッヒは彼の敵ではなかったな」

 ――だが次の瞬間、異変が起きた。

 ※イメージは「エヴァンゲリオン」映画版で串刺しにされるアスカの弐号機です。wiki掲載は自由です。

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最終更新:2013年11月09日 18:00