48 :パトラッシュ:2013/12/14(土) 09:34:51

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART35

アメリカ合衆国国務長官SIDE

 ホワイトハウス、ウエストウイングの大統領執務室オーバルオフィス。政府・議会・軍部の主要メンバーを前に、大統領は私をにらみつけた。

「国務長官、わが国からの留学生派遣と技術移転要求に対する『地球連邦』側の返答はどうなのだね?」
「……変わりません。アメリカの要求を受け入れるつもりはなく、早く派遣者が決まるよう希望するとのことでした」
「あちらへの大使館開設については?」
「同じです。現在、日本に置く代表部だけで外交活動に支障はなく、設置の必要はないと」
「例の男性IS操縦者、オリムラ大尉によるIS改修技術の開示要求も拒否すると?」
「はい、閣下……」
「あれもNO、これもNO、すべてNOかね。彼らは外交をわかっているのか? わがアメリカと友好を結んでこそ、地球における向こうの政治的立場も高まるのだぞ。それを外交官も留学生も受け入れない、わが国と国交を結ぶつもりもない、IS技術も渡さないだと? 連中は何を考えているのだ!」

 最後はほとんど絶叫だった。無理もない話ではある。地球連邦が途方もない技術を保有していると判明するや、ほぼすべての国が一斉に留学生派遣や技術移転を要求した。すべては無理でも、わが国など主要国の求めは受け入れられるものと楽観していたが、何と彼らは「当方からはIS学園に織斑一夏大尉だけを留学させるので、そちら側も派遣者はひとりに絞ってもらいたい。こちらの技術を供与するつもりもない」と回答してきたのだ。無論、各国は猛反発し強硬に再考を求めたが、連中は「嫌なら結構ですが」と返してきた。
 また各国はこぞって地球連邦との国交樹立と外交使節の派遣を望んだが、「織斑大尉の留学に伴って日本に開設した代表部ですべての業務を行う。各国公館も受け入れない」と一方的に通告してきた。地球連邦に外交的・軍事的圧力をかける手段がないのを思い知らされた各国は、歯ぎしりしながら優秀な人材を駐日外交官に送り込んで代表部に日参し、あるいは代表部員の外出をとらえて情報を得るか抜け駆けで自国に有利な取り決めを結ぼうと必死になっているが、まともに交渉すらできない有様だ。


 ようやく大統領の興奮が収まると、国家安全保障担当補佐官が腕を組んで唸った。

「考えたくないが、彼らは地球における政治的立場など興味がないのでは」
「どういう意味だね、補佐官?」
「たとえばアフリカのある国の、大した領土や資源も持たない少数部族が独立を望みアメリカに接触してきたら、我々は真面目に対応するでしょうか。地球連邦にとってこちらの世界は、その程度なのでは」
「――わが国がアフリカの少数部族並みの存在だと? 不愉快だ!」
「しかし下院議長、彼らは太陽系すべてを領有し、外宇宙の惑星にもテラフォーミングを行って植民地を広げているとか。しかも銀河系には異星人の巨大な星間国家が複数存在し、覇権を賭けて争っていると聞きます。そんな国が統一政権もない一惑星上での勢力争いに関わるなど、面倒なだけでしょう」
「そ、それは彼らの一方的な言い分だ! 外交官や報道関係者の入国も認めない連中の主張など信用できるか!」


 議論を聞いていた私は口を挟んだ。

「上院議員、私も補佐官の意見に賛成します。アメリカが次元回廊に宇宙船や人員を送り込めず、逆に地球連邦が圧倒的な軍事力で我々を支配するのも可能だとCIA(中央情報局)も分析しております。そのような相手との友好的な交流を進めねばならない以上、連中を怒らせるわけにはいきません」
「では国務省としては、地球連邦とどう付き合えと?」
「不愉快なのは私もですが、耐えるしかないでしょう。時間をかけてアメリカとの友好が彼らにとって役立つと認識させれば、政治的な利益を得られるかと。現に日本政府などは、自国に代表部が置かれたのを幸いと、すり寄らんばかりに権益提供を申し出ております……」

※「防衛軍世界と遭遇して四苦八苦するIS世界首脳の物語」第二弾です。アメリカの立場は、突然強い奴が近所に引っ越してきて悔し涙を流すジャ○アンでしょうか。Wiki9お掲載は自由です。

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最終更新:2014年01月12日 13:35