372 :パトラッシュ:2014/02/01(土) 08:46:22

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART41

五反田蘭SIDE(2)

「やあ、蘭じゃないか」
「え? い、一夏さん?」
 ああ、この世に神も仏もいないのか。よ、よ、よりによって一夏さんに、ぱ、ぱ、パンツ選んでるところを見られちゃうなんて! さりげなく三枚千円の縞パンツを棚に戻しながら、頬が熱くなるのを必死にこらえる。しかも一夏さん、女性連れじゃないの。
(うわ……白髪に緋色の目なんて,あり得ない綺麗な人。しかも明らかに年上の……IS学園の先輩かしら? いえ、一夏さんのとは違う制服だし、このオーラには圧倒されそう……で、でも声かけられたんだから……)
 聖マリアンヌ女学園中等部生徒会長のプライドにかけて、少女純度百パーセントで対抗する。挨拶しながら連れの女性をチラ見すると、気付いた相手が余裕の笑みを返してきた。わああっ! 微笑むとすっごい美人さんだよ! う、う、負けるな私!
「俺の軍の先輩の山本玲少佐だ。今こっちに来ているので、いろいろ案内してるのさ」
「ご、五反田蘭です。一夏さんの友達の妹です」
 そうか、向こう側の軍人さんならこのオーラも納得できるわ。何となく千冬さんを連想させる人だ。こんな大人の魅力あふれる人には、年下属性で対抗するしかない。
「今日はひとり?」
「あ、はい、ぶらっと買い物に……あの、せっかくお会いできたし、一緒に回ってもいいですか?」
「うん」
 精一杯の勇気を振り絞ったのに、あっさりOK。拍子抜けと脱力でよろけた私を、山本さんが素早く支えてくれる。
「大丈夫か?」
「は、はひ……」
 うわあああ、この人、宝塚で見たレット・バトラーみたい! 一夏さんじゃなくて、こちらに惚れちゃいそう……て、私は何を考えてるんだ? 目標はあくまでも一夏さんのみ。がんばれ蘭!

「ところで、弾は一緒じゃないのか?」
「さ、さあ、どこかで自爆ナンパでもしてるんでしょう」
 私は一夏さんと山本さんを案内して、ショッピングセンター内を歩き回った。最初に酒販店へ行ってお酒を注文するのには面食らっけど、向こう側へのお土産に欠かせないらしい。断片的に聞いていたけど、一夏さんの転移した世界は宇宙戦争のため人口が数億人程度まで減ってしまったとか。おかげで食糧事情は厳しく、こちらの食品や嗜好品を輸入するようになってようやく余裕ができたそうだ。そんな大変な世界で生き抜いてきた一夏さんが、ずっと大人になるのも当然か。きっと山本さんも、長い戦いを経験してきたのだろう。IS学園にも美人がたくさんいるらしいし、私だけ取り残されている気分だ。
(……ううう、なんかみんなずるく思えてきた)

 一夏さんがトイレではずした間、思い切って山本さんに話しかけようとしたが、見るからに「遊び人」といった風体の男二人と視線がぶつかってしまった。
「ねえねえカーノジョたち♪」
「今ヒマ? どっか行こうよ~」
「五反田さん、こいつらは何だ?」
「あのその、私たちをナンパしてるんです」
「こんな程度の低い連中に誘われて、ついていく奴がいるのか?」
「おいおい、女だからってそりゃねーだろ。俺たちゃ真面目な紳士だぜ。にしても、その制服は見たことないけど、どこの学校なのぉ?」
「ふ、私は……地球防衛軍のパイロットだ!」
 肩に手を置こうとしたチャラ男Aの腕を、山本さんが素早くねじ上げる。私も格闘技術に自信はあるけど、目にもとまらぬ素早さだ。
「いででででっ!」
 悲鳴を上げる相方を助けようとしたチャラ男Bは、横からのパンチに思い切り吹っ飛んだ。
「俺の連れに何してんだ?」
「い、一夏さん!」
 颯爽と現れた一夏さんの雄姿にぼおっとなりかけたところへ、この世で一番聞きたくない声が響いた。
「あー蘭、やっと見つけたぞ! パンツ買うんじゃなかったのか、って――お、一夏か。し、しかもすげー美人と一緒に! だ、誰なんだ、紹介しろよ」
 ……お兄のバカは死ななきゃ治らないってわかったわ。それほど死にたいのなら覚悟しなさいよね……。

※兄妹と姉弟のどちらが、男として幸福なのか。ISを読んでいると歪んだ結末しかないようですけど。Wiki掲載は自由です。

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最終更新:2014年02月25日 17:34