427 :パトラッシュ:2014/02/15(土) 09:06:55

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART43

シャルロット・デュノアSIDE(4)

 僕だけじゃない。セシリアやラウラ、鈴に箒さんも、いや一組の全員がジト目で恨めしげに一点を凝視している――楽しそうに一夏とジュースを飲みながら話す山本さんに。いくら戦友だからって、こんなに見せつけるのはずるいよ。おかげで臨海学校へ向かうバスの車中は、悶々とした異様な空気がたちこめて息苦しい。たまりかねて、まずセシリアが異議を申し立てた。
「織斑先生、なぜIS学園の臨海学校に部外者が参加しているのですか?」
「山本少佐の希望を学園上層部が受け入れたからと説明しただろう。これも地球連邦との友好のためだ。文句をつけるな」
「し、しかし教官、学園の生徒である嫁、いや織斑大尉を独占するのは問題かと」
「そういえば話してなかったが、織斑は山本少佐指揮下の航空隊で副隊長を務めているそうだ。つまり彼らは上官と部下なのだ」
「直属の上官て、つまり二人は向こうでも一緒にいるのが当たり前ってこと?」
「おおおのれ一夏め、よよよくもあんな美人の部下になりおって、ゆゆ許せん!」

 箒さんは錯乱気味だけど、このままじゃ僕たちの精神衛生上よろしくないよ。こわばった顔面筋肉をほぐして笑顔をつくると、二人の席へ向かった。
「あの山本少佐、こんにちは(にこっ)」
「ん、君はデュノアさんだったか。何か用かな?」
「僕たちはまだ少佐や一夏の住んでいる世界について、ほとんど知りません。せっかくの機会なので教えてほしいのですが」
「一夏、あなた何も話してないの?」
「戦争の話題しかないので。誰が死んだり傷ついたのかも、嫌でも思い出してしまうし」
 う、一夏のトラウマに触れる話はマズかったな。だとしたら……。
「じ、じゃあ、そちらでは異星人が当たり前にいるそうですが、それについては」
 とっさに思いついた話題だが、予想以上にうまくいった。主に山本さんがいろいろ話してくれた。向こう側の世界では遺伝子上も地球人と同じ人類が全宇宙に広く(アンドロメダ星雲にまでも!)住んでおり、特にガルマン帝国にボラー連邦という銀河系の大きな部分を支配する二大星間国家が存在し、銀河の覇権を賭けて争っているという。地球はガルマンとボラー双方と等距離外交政策をとっているが、どちらも軍事力に優れる地球を味方にしようと外交攻勢を強めているので苦労しているそうだ。しかも山本さんは火星植民地生まれのマーズノイドで、その白髪と緋眼は火星出身者の特徴だとか。映画か小説の話みたいだけど、加えて地球に駐在武官として赴任して来たガルマン帝国の軍人と友人であり、他にも複数の異星人が地球に住んでいて、地球人と結婚して子供を持つ人もいるなんて信じられないよ。僕たちに話したってことは一般に知られても構わないのだろうけど、世界の科学者やマスコミが発狂するんじゃなかろうか。

 ポカンとしているうちに宿泊予定の旅館「花月荘」に着き、フリータイムとなって海岸に飛び出した。今度こそ一夏を誘うぞと意気込んだけど――全員が絶句した。水着に着替えた一夏は細身だが鍛えられた体格がすごくカッコよかったけど、初めて見る身体には幾つもの傷痕が走っていたんだ。明らかに銃創とわかるのも、ひとつふたつではない。赤と白のビキニの山本さんも、一夏ほどではないが手足や背中に傷や痣が残っている。二人が数知れない実戦をくぐり抜けてきたベテラン軍人なのを思い知らされたよ。
一夏にサンオイルを塗ってもらおうとしていたセシリアは急いで隠したし、ラウラや鈴さんも黙って見ているしかなかった。一夏を攻略するつもりか肌の露出面積が高いビキニを恥ずかしそうに着てきた箒さんは、「武士だ……」とつぶやいて立ち尽くしていたけど。
 にしても、スタイルのいい「大人の女」の山本さんが布地の少ない際どいビキニ姿なのに、隣で平然としている一夏は本物のトーヘンボクなのか。それとも、まさか、いやそんな……。

※イスカンダルの海でメルダと泳ぐ玲を見て、臨海学校に参加させようと考えました。Wiki掲載は自由です。

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最終更新:2014年02月25日 17:35