585 :パトラッシュ:2014/03/22(土) 10:25:59

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART48

山田真耶SIDE(2)

 一夏君と篠ノ之さん、オルコットさんにデュノア君、凰さん、ボーデヴィッヒさん。一年生の専用機持ち全員を集めた千冬先輩は、厳しい表情で全員を見回しました。
「先生、何があったのですか」
「これから山田先生が説明する。ただし、米軍の軍事機密絡みなので口外は厳禁だぞ」
 私は携帯型コンソールを開くと、現在までの状況を説明しました。ハワイ沖で試験稼働中だったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型軍用IS「銀の福音」が原因不明の暴走を起こして逃亡、アメリカ第七艦隊と自衛隊のISによる迎撃も失敗し、約五十分後にここから二キロ先の空域を通過する。このため日本政府はIS学園に救援を要請し、学園はこれを受諾した経緯まで。

「なるほど、確かに私たちが呼ばれて当然だな」
「臨海学校の日を狙うなんて無粋ですわね」
「そもそも何が目的なのかな」
「理由なんて後よ。まずその暴走ISを捕まえなくちゃ話にならないんでしょ」
「その通りだ。しかし織斑、お前は地球連邦軍の軍人として、この世界の政治問題に干渉できない立場だ。よって、お前が求めるなら今回の作戦から外すが」
 全員がぎょっとした表情で一夏君を注視します。もし専用機持ち六人が出撃するなら、指揮官は実戦経験豊富な一夏君しかあり得ません。しかし一夏君の参加は、地球防衛軍がこの世界に干渉する前例を作ってしまいます。そういえば学園側から連絡を受けたとき、先輩が一夏君の扱いについて確認を求めても歯切れの悪い対応に終始していました。彼に出てもらいたいけど、面倒ごとに責任をとりたくないのでしょう。姉弟の厳しい視線がぶつかり、火花が散ったような錯覚を覚えます。
「ひとつ確認したいが、俺の出動にアメリカが異議を唱えないかな?」
「いや、今回の件は米軍の大失態だから、一刻も早く終わらせたいはずだ。文句をつける理由も時間もない」
「ならかまわない。軍からも内政干渉にならない限り活動は容認されているし」
「ではお前に作戦立案と指揮を頼む。IS部隊を率いてなら、例の黒いIS乱入事件で経験済みか」
「そうだね……」
 腕を組んだ一夏君は、専用機持ちをひとりずつ検分するように見ていきます。その度にみんな赤くなって――え、一夏君、なぜ私までじっと見るの? いやまさかそんな、こんな人前でモーションをかけなくてもぉ。
「織斑先生、教師用の打鉄に武器は装備していたよな?」
「ああ、フルパワーで動けるが」
「なら箒を除く五人と山田先生で迎撃する」

 え、私も出撃? 思いがけない言葉に驚かされますが、愕然としたのは戦力外通告された篠ノ之さんでした。
「な、なぜだ一夏、どうして私を外すのだ?」
「足手まといだからだ」一夏君は容赦なく切り捨てました。「紅椿を受け取ったのは今日だぞ。性能や限界、機械の癖をどこまで把握している? そもそも紅椿での訓練もまったくしてないだろう。そんなお前より旧型の打鉄でも確実に扱えて、能力も実証済みの山田先生の方が安心して出せる。危険な敵に訓練生をぶつけるなんて自殺行為だ」
「く、訓練生……」
 正面から未熟者呼ばわりされた篠ノ之さんは口から白いものを出していますが、一夏君はもう見向きもしませんでした。
「山田先生、よろしいですか?」
「あ、はい。何とかやります」
「基本的には黒いIS迎撃時と同じく、セシリアとラウラが長距離攻撃を担当、中距離攻撃は山田先生と鈴だ。シャルは近距離から中距離にかけて状況を見ながら様々な武器で翻弄してプレッシャーを与え、俺は全体の指揮と近接戦闘を担当する。無論、場合によっては変わると心得てくれ。あと『銀の福音』の正確なスペックデータを……」
 次々と決定していく一夏君は、たまらなく素敵ですぅ。しかも私を信頼してくれている。やはり教師と生徒が理解しあってこそ理想の教育ですから。あれ、でもこれって一夏君が教師で私が生徒みたいですけど???

 ※作者の知る限り、福音迎撃作戦から箒を外す二次小説は初めてだと思います。

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最終更新:2014年03月23日 13:10