968. ひゅうが 2011/12/01(木) 22:22:20
提督たちの憂鬱支援SS  中編版――「リバティベルが鳴る日には」

プロローグ

――西暦1962年4月  日本帝国  帝都東京  日比谷公園

「老けましたね。嶋田さん。」

「そういうお前もな。辻。」

帝都東京。
この地球でも最強といわれる国家の中心は、杜である。
鬼門に靖国神社を配し、かつて天海大僧正が作り上げた霊的な防御機構をも取り込み、恐れ多いところを中心とした衛星軌道を配したこの都市は、発展の真っただ中にあった。

皇居が南面する東京駅の周辺は超高層ビルの建築ラッシュであるし、明治時代以来営々と年を重ねてきた霞が関の官庁街は化粧直しを施され、1930年代のモダニズムから明治時代の赤レンガ街に色彩的には近づきつつある。

しかし、この都市の――世界最大の海洋である太平洋とインド洋をその実質的な支配下におく超大国の中心は微動だにせず、今も日本人の帝国とそれに次いで世界の(当然だろう。日本帝国は「日本人のための」国なのだ)安寧を祈っている。

あの太平洋の戦い以前に比べて主上にかかる負担は減っており、たまにはこうして昔の臣下を呼んで世間話をする時間があるのは結構なことだと嶋田は思った。

その帰りしな、いつも寄る公園の屋台で一服していると、彼の周囲には、何人かの学生が集まり、彼にサインをねだってきた。
先ほどまでは快くそれに応じ、引退したとはいえ帝国の政界に絶大な影響力を持つ嶋田を取り込もうとやってきた野心のある政治家を(わざわざ歩いてきてやったという態度が丸出しだった)面前で一喝し震えあがらせていたが、予定通りそこへ辻がやってきた。

彼は、周囲を騒がせてしまったことをガーデンテラスで談笑する人々に詫び、辻と向き直った。
友邦であるインド連邦産のアッサムにミルクをたっぷり入れた嶋田は、二重橋を横目に一服した。
彼は「神崎将人」だった頃から煙草は苦手であり、こうした紅茶を好んでいたのだった。
その点でドイツのヒトラー元総統から「国際嫌煙学会」への協力を要請されて苦笑いしたりするが、現在の彼は基本的に自由人という扱いだった。

「なに、俺は史実では80年代まで生きるらしいからな。せいぜいお前の目をぬって暇を堪能するさ。」

「それは重畳。この資料をお渡ししても問題ない程度にお暇ということですね?」

嶋田は、にやりと笑う辻に、露骨に溜息をついてみせた。

「お前な・・・。」

口を開きかけた嶋田は、辻の様子が少し変わっていることに気づく。
いつもの黒さが少しだけあせ、何か思いつめているようだ。

この表情を辻が見せたのは、もうずいぶんと前――あの衝号の一件以来だった。


「どうした?帝国は問題多いながらも発展している。核兵器管理体制はしつこいくらいに万全。国際防疫に関しては先日西ナイル熱の封じ込めに成功したばかりだろう?まさか東米で何かあったのか?」

嶋田は、周囲を素早く見渡す。
彼の周囲を固めている特殊警備課の警護官たちはわざわざ自分の彼女と談笑するようにして自然さを演出し、話を聞こえないようにしている。

周囲200メートルのクリーニングは済んでいるはずだ。


「いえ・・・少し昔のことをね。今回お渡しする資料に関することです。」

「お前がその言い方をするということは、俺に昔話を聞かせるつもりなのだろう?」

嶋田はあえておどけてみせた。
やれやれ。これから山本のところに寄るつもりだったが・・・あいつの孫だくさんの相手は少し待ってもらわねばならないらしい。

「では、これを・・・。」

辻が差し出した冊子の表題には、こう書いてあった。

「リバティ・ベル計画に関する調査報告書  閲覧厳禁」。
969. ひゅうが 2011/12/01(木) 22:23:06
――西暦1943年3月  北米大陸  カリフォルニア市

フランクリン・D・ローズヴェルトは、温かな日差しの中ゆっくり深呼吸していた。
元大統領である彼は、崩壊したアメリカ合衆国の様子に心を痛めてはいたが、あの大恐慌の収拾にあたった日々に比べれば体調はすこぶるよかった。

妻のエレノアとはじめたオレンジ農園は紆余曲折の末に軌道に乗りなかなかの評判だったし、だからこそこの混乱する西海岸経済の中にあって彼は安定した老後を過ごせていたのだった。

だが、そんな彼の平穏な日々はつい一昨日唐突に終焉を迎えた。
だからこそ彼は久々にスーツに袖を通してオレンジ園の真ん中で客人を待つということをしていたのだった。

「閣下。」

「グルー君か。」

ローズヴェルトは笑みを浮かべた。
元駐日大使であり、現在はカリフォルニア政権と呼ばれる西海岸諸州のゆるやかな同盟の外相をつとめるジョセフ・P・グルーがそこにいた。

彼の横には、東洋人の男性がいる。
ローズヴェルトに珍しい切手(最近再独立を宣言したタンヌ・トゥヴァのものだった)を送ってきて以来の付き合いである男、岩崎久弥だった。
日本を代表する財閥の総帥である岩崎は、日本政府から特使としてこのカリフォルニアにわたってきていたのだった。

日本人にいささか偏見のあったローズヴェルトが得た、はじめての日本人のペンフレンドでもある。

「やあ。久しぶりですな。」

年上である岩崎をローズヴェルトはにこやかに迎えた。

「閣下。急に御用とは。」

ローズヴェルトの顔が曇った。
あの恐ろしい――計画。
それについて彼に話さねばならない。
でなければ、彼や、彼をはじめとするアメリカ合衆国国民は、永遠にあの悪夢を恐れ続けなければならないのだ。

自由の鐘が鳴らされる時、合衆国は・・・いやその残骸は人類の悪夢を凝縮した存在になってしまうだろう。
それを避けるためには、ローズヴェルトは悪魔とでも手を結ぶ覚悟だった。

それが、実質的な「最後のアメリカ合衆国大統領」となった彼の責務だと、彼は考えていたのだから。



――同日  旧イリノイ州  シカゴ近郊  海軍作戦本部

廊下の落書きを見ながら、ジョセフ・F・エンライト「大佐」は暗儂たる思いにかられていた。
先ごろまでこのシカゴを支配していた旧連邦軍臨時第2軍が実質的に崩壊して2週間あまり。
現在は「五大湖同盟」を称する旧イリノイ州軍の残党がアメリカ合衆国非常事態軍政指揮本部を名乗ってこの都市を維持しているが、その実態たるやごろつきとなんら変わりがない。
春だというのに気温が10度を下回りみぞれが降る天候状況の中で、「連邦陸軍」はケンタッキーへの侵攻とロッキーを越えて西海岸を「併合」する準備にいそしんでいるらしい。
かつては大学の講堂だったこの場所は、現在も続くわけのわからない「内戦(シビル・ウォー?)」の中で爆撃を受け、下卑た落書きを残した同盟の兵士もろともずたずたになった後のままだ。

まったく、一時的にしろノーフォークを回復し、停止されたはずの鉄道網を一部とはいえ掌握しているのが奇跡のようなものだった。
970. ひゅうが 2011/12/01(木) 22:24:22
「ルメイ閣下。いらっしゃいますか?」

「いるとも。でなければ呼んでいない。」

崩壊した講堂の真ん中から声がした。

カーティス・ルメイ「合衆国海軍臨時作戦本部  臨時作戦参謀代理」は、不機嫌な顔を地面に描かれた10メートルほどの巨大な世界地図に向けながらエンライトを手招きした。

「他の方は?」

「ヴァンデンバーグ閣下はテキサス軍と協同するという名目で西海岸へ飛んでいった。ほかの海軍士官も似たり寄ったりだな。戦艦『モンタナ』艦長という名の老人を除けばもう君しか残っていない。」

昨日のうちに無理にでも逃げ出した方がよかったか、とエンライトは内心舌打ちした。
もともと生き残った海軍士官と予備役の連中を集めて作った作戦本部は、シカゴ市街戦時に大ダメージを受け、現在はサンディエゴの太平洋艦隊司令部が機能を代行しているような状態だった。
ここが今維持されているのも、アクロンの海軍航空隊基地やノーフォークの残留小艦隊、そしていくらかの航空機群を指揮するためでしかない。

だからこそ、陸軍航空隊の指揮官だったヴァンデンバーグ「大将」を本部長に据えていたのだった。
そしてエンライトは、サンディエゴからの連絡士官として飛んできたためにここに留め置かれてしまっていたのだった。
それには――

「君の妻子だが。」

ルメイが口を開いた。

「次の定期便でサンディエゴに送るように手配しておいた。」

「ありがとうございます。」

エンライトは素直に礼を言った。
この元陸軍航空隊の指揮官は、得体のしれないところがあるが、時折こうした優しさを見せることがあると彼は知っていた。

「その代わり。」

語調が強まる。

「君には、潜水艦に乗ってもらいたい。」

「はぁ?」

「ノーフォークに、『ノーチラス』が待っている。君はそれに乗り、命令書の航路を目指してもらう。突貫作業だが、改装は完了済みだ。」

「ちょ・・・ちょっと待ってください!」

「なんだ。」

「『ナーワル』級のノーチラスですか!?改装したとはいえそんな旧式艦で何を――」

「機密だ。計画はロング前大統領の頃から進んでいてな。戦局がここまで至ってしまった今となっては、これを実行するしかないのだ。」

ルメイは、暗い笑みを浮かべた。

「君の細君が乗る飛行機のガソリンだって、この計画のために用意されていたものなのだぞ。君は、従う責任と義務があることを忘れるな。」



――1943年4月6日  北米東部軍管区  ノーフォーク軍港


B−17は、そのまま引き返して行った。
鼻をつく悪臭の中、エンライトは顔をしかめた。

滑走路の傍に積み上げられていたのは、大量の瓦礫に加え、おびただしい数の死体だった。
焼却しようとしたらしく黒こげになってはいるが、燃料不足のためかハエや野犬が群がるままになっている。

周囲は見渡す限り無人である。
あの津波が持ってきたらしいヘドロや何やかやが堆積し、かわりにこの町のあらゆるものを持ち去ってしまったためだった。
機内で聞いた説明でも、ここには海軍関係者が500名ほど残っているだけだということだった。

ほかは、皆が押し流されるか寒さで凍え死ぬか、あるいはアパラチア山脈を越えたのだ。

合衆国海軍大西洋艦隊という名の存在は、もはやない。
津波の難を逃れた残存艦はすでに本土決戦準備の一環としてサンディエゴに移動しており、ここには辛うじて哨戒艇数隻と潜水艦が2隻ほどいると聞いている。
書類上は戦艦「モンタナ」が就役しているが、ドック内に巨大な砲塔を据え、半分だけ艦橋構造物が作られた戦艦として鎮座する以外は何もできない。

かつて世界第2の巨大海軍として大西洋を威圧していた合衆国海軍のなれの果ては、このざまだった。
971. ひゅうが 2011/12/01(木) 22:25:47
視界を、土煙が横切った。
ジープだった。

燃料事情がひっ迫している東海岸らしく、車体の後部に薪を燃やす炉をつけてそこから出るガスでエンジンを動かす「ウッド・ジープ」だ。


滑走路を横切ったジープは、エンライトの横につくと止まった。

「お待ちしておりました。エンライト艦長。」

「ああ。君は?」

「『ノーチラス』副長をつとめることになっています、エリ・T・ライヒ少佐です。まぁ、艦長と同じような境遇ですな。人手が足りないので古参連中にこき使われとります。」

20代後半のライヒ青年がにかっと笑った。

「私も含め、乗組員79名はかき集められたクチです。何かよくわからないものを輸送する任務のようですが・・・」

「とりあえず、埠頭へ連れて行ってくれ。艦を見たい。」

「アイアイ・艦長!」



軍港周辺は、悲惨の一言に尽きた。
簡単に片づけられてはいたが、ドックの中では戦艦が横転し、司令部の建物もガラスが割れ、炎上した跡が生々しい。
そして、瓦礫の間には人の死体が点々と横たわっていた。

「メキシコ風邪(東部ではこう言う)にやられた連中です。それに凍死した人々も。」

ハンドルを握るライヒが言った。

「ここで1週も過ごせば、慣れてしまいますが・・・やはりいやなものですね。」

「まぁ・・・どうしようもないがな。」

エンライトはそう言うにとどめた。
かつて展開していた州軍も、今は中西部に食糧を求めて移動しており、生き残った人々はニューヨークなどの大都市に固まるか南部を目指し移動していったらしい。

どこかの軍艦のマストであったらしい旗竿に翻る星条旗の横を曲がると、埠頭に出た。
横転したり着底している艦艇の中で、2隻の船影が正常だった。
近づいてみると、少しかしいだタンカーらしき船と、大型の潜水艦だった。

哨戒艇は見当たらない。

クレーン車を使って何かを後部甲板に下ろしているところらしかった。


「おおい!艦長がお着きになられたぞ!」

ライヒが叫ぶと、手が空いている乗組員たちが整列した。
軍規は維持されているらしい。
だが、後部甲板にいる何人かの白衣の男たちは彼を一瞥しただけだった。

「艦長を任じられたエンライト大佐だ。君らと同じく、何が何やらよく分からん。」

「ここでは皆同じです。艦長。」

にかっと古参の下士官が笑った。

「水雷長のキングです。・・・ああ、キング提督とはまったく関係ありませんが。」

「とすると、あの白衣の連中が全部知っている・・・ということか?キング曹長。」

「そのようです。ですが連中、こっちを実験動物か何かだと思っているらしく一言も口をききやしません。まとめ役の陸軍士官は面白い奴ですが、教える必要はないと口止めされているらしく・・・。」

「ありがとう。では、私は命令書を見ることにしよう。早く仕事をすませてこの気の滅入る場所は後にしたいものだからな。」

「全然同意します。艦長。」

それまで聞いていたライヒも、兵たちと一緒に笑った。
なかなかいい艦のようだった。
972. ひゅうが 2011/12/01(木) 22:26:31


「艦長、おられますか?」

「入れ。」

失礼します、と入ってきたのは、陸軍中佐の階級章をつけた南ドイツ系の男だった。
顔には多くの傷跡が走っているが、顔は愛嬌に富んでおり、その気性のよさを示していた。

「今回の計画の担当者を押しつけられてきました。リカルド・クレメント中佐です。予備役招集のクチでして・・・大学の関係で呼ばれたようです。」

「クレメント中佐。君は、『積み荷』が何か知っているのか?」

エンライトは厳しい表情でクレメントと名乗った中佐に視線を向けた。

「いえ・・・まぁ想像はつきますが。」

「というと?」

「運び込まれたのは、何個かに分けられたコンテナです。いずれも電源を本艦からとり、冷却機能を持っているらしい。そしてわたしは文化財関係の手引書を渡されました。上司いわく『合衆国再興のためにはどうしても安全な場所に置いておかねばならない』とか。」

「・・・重要な文化財・・・か。」

「独立宣言文も混じっているかもしれません。それに憲法の原文も。」

やれやれ、という表情でエンライトは艦長室の椅子に体重を預けた。

「となると、国歌にうたわれたような米英戦争時の星条旗も混じっているかもな。いや、よく津波に飲まれずに残っていたもんだ。」

「重要性は分かりますよ。艦長。でなければ北から装甲車2台に分乗して来てはいませんから。」


「命令書によると、本艦は友軍占領下のアイスランド島に寄港し補給を済ませ、英国諸島へ向かうらしい。そして指示を待てと。」

「スイスあたりで保管するんでしょうかね?」

「いや。英国だろうな。あそこはドイツに近すぎる。色々な意味で。」

まぁそうでしょうな。とクレメントは頬の傷跡をゆがませて苦笑した。

「輸送には、あの白衣の一人も立ち会うそうです。私も同乗させていただきますので勝手はさせないつもりですが・・・ご注意を。彼は気が短い。」

ははっ。とエンライトは苦笑した。
なんだ。話せば分かる男じゃないかこいつは。

「なら、相手は君に任せるよ。合衆国海軍最後の航海だ。なるべく平和裏に終わりたいものだと思うからね。」

「同感です。にしても『リバティ・ベル計画』というのも洒落た名前じゃないですか。自由の鐘ではじまった国がその名を冠した計画を最後に消滅するとは皮肉が利いている。」

くつくつとクレメントがおかしそうに笑った。

「まぁ、な。さて、クレメント中佐。君も仕事にかかってくれ。命令書の日時まで時間がない。我々は2週間で英国諸島沖に達しなければならない。出るのは早い方がいいと思う。」
973. ひゅうが 2011/12/01(木) 22:27:07
――同日  北米大陸東岸  ニューヨーク市近郊

まるで宇宙服のように見える格好をして、男が歩いていた。

廃墟となった施設の中、周囲に同じような格好をした銃を持った護衛を従え、内藤良一は津波に荒らされたままの研究施設の廊下をゆっくり進んでいく。

「ロックフェラー研究所か・・・こうなる前に来たかったが・・・。」

「博士。急いでください。防護服の電池にも限りがあるんですから。」

「分かっている。恐らく冬の寒さで死滅しているだろうがアメリカ風邪の病原体を警戒するに如くはないからな。恐らく発生源であるここでは特に。」

「我々が出た後にモントリオールの『連山』20機がテルミット剤をたらふく積んで施設の『焼却』に来ることになっています。無線の向こうはまだかまだかとせっついていて――」

「もう少し待ってもらうように言ってくれ。」

護衛は少し苛立った様子だった。
地下施設が津波による被害を受け水没したままであることは予想通りであったし、すでにアメリカ風邪関連の資料も手に入れることができていた。
なのに彼らがここにいるのは、数日前にカリフォルニアから発せられた緊急電文が影響していた。

でなければ、カナダからわざわざ実用化されたばかりのヘリコプターで、空挺部隊が確保した平地に降り給油を繰り返しながらニューヨークまで強行軍で来てはいない。

比較的被害の少なかった最上階である3階部分から資料を金庫ごと奪い取った彼らは、内藤の命令で「何か」を見つけるまで待たされていた。
それが何かは内藤しか知らない。


所長室を物色していた内藤の手が止まる。
そして何枚かの資料を見つめていた内藤の手が震え始めた。


「恐ろしい・・・本当にやっていたのか・・・」

「内藤博士?」

「確かにあの学問はドイツだけでなくアメリカが本場だ・・・しかし、まさか、本当にこんな・・・いや南米でペスト菌を使って人体実験をしていたような国だ――ナチスに先んじてあれをやってのけていても・・・。」

「博士!」

内藤は我に返った。

「出よう。ここを焼却しておいてくれ。この所長の遺体も、書類も、欠片も残すな。これは、今この世界に存在していてはいけないものなんだ。」

「どうしたんです?何を――」

「本土の『ドリーマーズ』に最優先で緊急電を。『遺憾ながら想定通り』。・・・くそっ。半世紀以上も早くパンドラの箱を開けやがった!!」

護衛の兵士は、毒付きはじめる内藤の指令をあわてて無線機にがなり立てることしかできなかった。

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最終更新:2012年01月02日 06:53