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支援_名無し三流さま_日本軍大型爆撃機の分析
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839.
名無し三流
2011/02/16(水) 19:06:50
39話最後らへんの記述などを元にして作った小SSです。
あまりに良く分析しすぎじゃないかとも思われますが、
まあ史実で零戦を捕獲したり、分析力もかなりあった国なので。
***
「さて、まずはどこから書いていくか」
米海軍、真珠湾基地の建物の中で1人の士官が書類を作成していく。
彼は日本軍によるハワイへの夜間空襲で辛くも撃墜する事ができた、
日本の大型爆撃機・・・「連山改」の分析を任されていた。
提督たちの憂鬱 支援SS 〜日本軍大型爆撃機の分析〜
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
撃墜された敵爆撃機の内、チームは2機の残骸を回収する事に成功した。
分析によれば1機は右翼側エンジンの至近距離で対空砲弾が炸裂した事により、
バランス及び推進力を失って墜落。もう1機はエンジン部分に被弾を受け出火、
その煙を目印に迎撃機隊が集まってきた事で撃墜されたと考えられる。
幸運な事に残骸の状態はどちらも良好であり、
本土で専門的な機関に分析させればより詳細な結果がでるものと思われる。
では、現時点で判明している事を列挙していく。
まず機体の大きさであるが、全長は約22.0m。
全高は6m強、全幅は31m強ある。かなり大型な機体に分類され、
爆弾倉の大きさから推測すると、少なくとも6,000kg以上の爆弾を
搭載する事が可能であると考えられる。また、軍港の被害状況を鑑みるに、
爆弾自体にも何らかの特殊な仕掛けがあったと予想される。
迎撃機に撃墜された物には、P−38の機銃が跳ね返されたと見られる跡が
十数か所確認されており、墜落しても機体構造が比較的保たれている事から、
機体の強靭性、また操縦士の熟練度は我が方の爆撃機を大きく凌駕していると
報告せざるを得ない。墜落した機体の操縦士らは数名の死亡を確認。生存者も
墜落時の衝撃のためか意識不明の重態となっており、今夜中は回復の見込み無し。
残念ながら現在の所、情報を得る事は不可能だ。
防御火器だが、少なくとも6門の機銃が搭載された跡がある。
我がチーム最大の成果は敵機のエンジン回収に成功した事である。
外観のみではあるが、ある程度復元にも成功した。敵機のエンジンは空冷星型、
28気筒で4基が搭載されている。重要な問題はエンジンの馬力だが、
我が軍のB−17に搭載されている物の2.5倍近くあると見られ、
速度においてB−17を上回っていたという、
迎撃機パイロットらの証言の裏付けにもなると考えられる。
これらの点を総合して、日本軍の大型爆撃機は、
我々の持っているそれを全てにおいて凌駕していると結論付けざるをえない。
対策であるが、現在の所は高高度を高速で可能、且つ高い火力を持つ、
新しい迎撃機の開発と配備が最も有効であると思われる。
また、レーダーに大量のゴーストが発生し、
我が方の通信が継続的に妨害を受けていたという報告であるが、
潜水艦及び小型艦艇の工作の線は(日本にとっての)敵根拠地の至近である事から非現実的であり、
本チームでは一部の敵機の中にこういった工作を専門とする機がいたと考える。
今後の迎撃戦では、それらの機を発見、集中的に排除する事が、
最重要課題になるのではないかと結論する。
以上で報告を終了する。祖国に勝利があらん事を祈る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
840.
名無し三流
2011/02/16(水) 19:07:21
「ふう・・・なんかまとまりが無いが、急造品だし仕方ないか」
そう呟くと、士官は【機密】と捺印された大判の封筒に報告書をしまった。
(やれやれ、あれで護衛戦闘機まで追加されたりしたら堪らないな。
まぁ、護衛機をつけられるって事は、要するにもうジョンストン辺りが落ちてるって事で、
そんな状態になったらどう足掻いても、どうしようもないだろうけどな・・・
あ、回収したエンジンや装甲版のサンプルが無事に本土に届くように、
お偉方に念を押してやらないといけない。日本の潜水艦は優秀だそうだしな)
考えをめぐらせながら席を立ち、報告書を司令部に持っていこうとすると、
静かに部屋のドアをノックする音が聞こえた。
『少々、よろしいですか』
「ああ」
士官が応えると、中年の男が入ってきた。古参の伝令らしい。
「司令部からの命令です」
そう言うと伝令は命令書を手渡した。
「・・・軽巡洋艦、ジュノーに臨時で配属だと?」
「はっ」
伝令の日焼けした顔には深い皺が刻まれている。
おそらく、今まで色々と要らぬ苦労をしてきたに違いない。
何とも言えない、そんな顔で伝令に視線をやると、
伝令は意を決したように口を開いた。
「・・・・・・ここだけの話ですが」
「構わない。この辺りはいつも閑散としている」
「・・・ジュノーのベテラン士官が昨夜、
毒を呷ったそうです。東海岸の出身者らしいのですが・・・
それであなたに代わりに乗り組んで欲しいと」
(ハァ?自殺者が出ただって?おいおい、こんな事で戦えるのか?)
士官は喉まで出かかった疑問を押し殺す。
兵士の上に立つ士官がそのような事を軽々しく口にすれば、
真珠湾の兵達はさらに士気を低下させてしまうだろう。
「・・・私は何も聞いていないし、君は何も話していない。
そして君も、私も、何も知らない・・・・・・いいな?」
「ようく、分かっています」
士官は念のため、伝令にも念を押した。
伝令の仕事はあくまで伝令であって、噂話を広める事ではない。
士官は今更ながら、自軍の現状、もとい惨状を思い知ったのであった・・・
〜 F i n 〜
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