608 :ひゅうが:2011/12/10(土) 01:05:22

→590 支援というか、ネタですw


――西暦20XX年 12月8日 「平成世界」東シナ海

「結局こうなるのか・・・」

「まぁ・・・あの国ですから。」

超大型原子力空母「大鳳(Ⅱ)」の艦橋で嶋田繁太郎元帥は溜息をついた。

はじまりは、あの時空のトンネル連結だった。
東京湾の庭先に繋がった時空トンネルの向こう――平成世界は、嶋田たちのいる21世紀の「昭和世界」の存在によって大混乱に陥った。

それはそうだろう。アメリカ合衆国とソ連、そしてロシアという超大国は第2次世界大戦の結果崩壊。中華人民共和国などという存在は影も形もなく中華世界は実に7つに分かれて慢性的な内乱状態である。
世界人口も21世紀を迎えながらも30億で横ばい状態であった。

これを見た人口問題に悩み、経済的混乱から戒厳令寸前の状況だった某大国は「日帝には我々を援助する義務がある」という軍部や民間の圧力に抗しえず、屈服を迫った。
彼らとしては、人口希薄地帯である旧合衆国や中華大陸への入植に加え、経済援助を要求するつもりだったのだろう。

が、それに平成日本の左派市民団体と、相も変わらず邪魔ばかりする某半島国家が加わったことで事態は混乱を極めた。
ここに至って、同じく経済的混乱状態の米国も消極的な賛成(自国を滅ぼした連中は少しは苦労すればいいのだ)のもとで平成日本列島に軍事圧力をかけはじめた。
条件は、「時空ゲートの国連管理」、そして「平行世界に関し日本国が有する道義的責任に基づく関与」。
要するに、お前らが矢面にたって向こうの大日本帝国を何とかしろというものである。

肝心の平成日本はというと――ねじれ国会のもとで暴走する与野党の間で怒鳴りあいが続き、一応の挙国一致内閣が成立。
結局、対処を「昭和世界日本帝国」に丸投げするという有る意味納得な対応をやらかす。


嶋田たちはというと、外務省を通じて発した「遺憾の意」を見た向こうの世界の英国が必死になっている様子を見ながら、

「あーこれは、奴ら来るなぁ」と半ば呆れて事態の推移を見守っていた。
遺憾の意。
昭和日本世界では世界が震え上がる帝国の意思表示手段は――途中で交代した中国共産党や某半島国家を付けあがらせた。
やる気のない米軍の監視のもと、宮古水道を抜けた人民解放軍と某国軍の連合艦隊は、
「この際だあいつら屈服させとこう。ついでに時空ゲート確保。平成日本を人質にすれば日帝も言うこと聞くだろ」という希望的観測のもとで日本列島沿岸を北上していたのだった。

東シナ海には60隻あまりの通常動力潜水艦と核弾道ミサイル原潜、攻撃型原潜が展開していたが、平成日本は「宣戦布告をされていないから」という理由で攻撃ができない。
憲法解釈の努力を放置した結果がこれだった。
まだ海上警備行動の発令しかなされていない。

誰もが思った。これは終わった、日本帝国もやはり日本みたいな弱腰だと。

609 :ひゅうが:2011/12/10(土) 01:05:53
だが――彼らは忘れていた。
日本帝国という名の国家がどんな存在であったのかを。
まして列強筆頭ともなれば、舐められるわけにはいかない。

――大神軍港を、原子力空母を含む巨大な空母機動部隊が出撃。
核ミサイルを搭載した弾道ミサイル原潜や、世界最大ともいわれる戦略爆撃兵団が出動。
さらには、海外展開を見越して編成された緊急展開部隊が日本本土各所に飛来する。

南西諸島では、自称市民団体を「排除」し、容赦なく憲兵隊に検挙させながら(日日安全保障協定という急きょ締結された日米安保の類似形を遠慮なく彼らは行使した)強力な戦車部隊と陸上部隊が展開している。

そして・・・日本沿岸には、帝国海軍の象徴とされる巨大戦艦を含む水上戦闘部隊が展開していた。
10年あまり前に崩壊したドイツ第3帝国を打ち破るべく作り上げられた強力なステルス戦闘機群はすでに九州や中国地方、日本海沿岸に待機している。


ゲートを見守っていた米軍は戦慄する。

「これは――何の冗談だ?」と。正面決戦をやったら、軍の半壊を覚悟しなければならないのだ。
こうして、米国は態度を決する。

「閣下!在日米軍より通告。吉林省通化基地よりミサイル発射を確認!」

CDCで嶋田は頷く。なるほど、舐めた真似を――

「政府声明発表。『極めて遺憾であると言わざるを得ない』と。

「はい。」

通信回線の向こうの辻が頷く。平成世界の首相官邸は、今や彼らの雰囲気にのまれているらしい。怒号が聞こえる。

「全艦、対弾道弾迎撃戦はじめ。」

――戦端は開かれた。

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最終更新:2012年01月04日 09:08