973 :earth:2011/12/11(日) 19:37:35
アメリカの動きについてのネタです。


 平成日本は並行世界の覇権国家である日本帝国と平成世界の覇者であるアメリカ合衆国という二つの有力国を
味方にしていた。このため在日日本帝国軍、在日米軍の2つが共存するという事態になっていた。

「帝国本国と直結する時空ゲートがある以上、日本列島、最低限ゲート周辺は守りを固めなければならない」

 日本帝国政府は時空ゲートの死守を掲げていた。
 だがそれは有力な海軍国家が日本列島に陣取ることに他ならず、平成世界のアメリカは神経を尖らせていた。
 ホワイトハウスやペンタゴンでは連日会議が開かれて、帝国への対策に頭を痛めていた。

「昭和世界の日本帝国軍は、総数では我が軍よりも少数です。しかしその質は侮れません。
 戦えば我が軍の勝利は揺るぎませんが、引き換えに我が軍も大きな打撃を受け、我が国の世界戦略に悪影響が生じます」
「むむむ……」

 アメリカ政府高官は軍人の報告を聞いて頭を抱えた。
 自国に再び挑戦できる海洋国家の出現は彼らにとって大きな痛手だった。加えて現在、アメリカは経済的に苦境に
立たされている。中国が日本帝国軍の反撃で大打撃を受けて政情と経済がさらに悪化したことも経済の低迷に拍車を掛けた。
現状では軍事費の増大は避けたいというのがアメリカ政府の本音だった。

「だが必要以上に日本帝国の影響力が拡大するのは好ましくない。
 ただでさえ日本帝国の姿を見て、鼻息を荒くする者もいる。日本人が再び自立すれば面倒なことになる」
「我々は前世紀の太平洋戦争の歴史を繰り返す愚は犯したくない」 

 彼らは日本を侮っては居ない。むしろ日本が太平洋におけるライバルとして復活することを恐れていた。

「とりあえずこの世界の日本と、昭和世界の日本が本格的に手を組む事態は避けなければならない」
「マスコミを使った離間工作は必要でしょう。CIAを使って日本政府への工作も進めます」
「あとは日本帝国との関係強化だ。彼らが欲しているゲートの安全確保が成されれば妥協の余地もある」
「それにあの並行世界は人口も少なく、資源地帯としての価値も高い。日本帝国と友好関係を樹立する価値はある。
 たとえ、並行世界の合衆国を滅ぼした国であってもだ」

 超大国アメリカは色々な陰謀と並行して日本帝国との関係構築を進める。

990 :ひゅうが:2011/12/11(日) 20:16:13
――西暦20XX(昭和XX)年8月 日本帝国 相模湾


「それでは、皆さま、前方をご覧ください!・・・連合艦隊第1艦隊の受閲艦艇群です!
先頭は、先ごろ改装が完了した戦艦『大和』!!
上空を通過しますのは、厚木基地所属の超音速「戦略」攻撃機『天山』編隊です!!」

親閲部隊の旗艦をつとめる超大型空母「大鳳」の艦上から歓声が起こる。
基準排水量8万トンを超える巨大な空母の艦上では、第1種軍装に身を包んだ帝国の国家元首と、それに説明をする嶋田首相の姿が見える。

それを取り巻くように、一般から公募された観客と、各国の軍人が甲板には並んでいた。
甲板に係留された最新鋭の超音速ステルス戦闘機「陣風」や多目的攻撃機「惑星」を前に記念写真を撮る家族連れも多い。

しかし、その中にあって顔色が悪い人々がいた。

「おい見ろよ・・・F23のような高性能機が量産されて艦載化されてるぞ・・・」

「最大速度はマッハ3.5以上か――どこのSR71だよ。」

「おい、今上空を通ったのって・・・」

「デルタ無尾翼で最大搭載量25トン・・・戦略爆撃機なみか。一機あたり12発の超音速対艦ミサイルを搭載して対艦攻撃?対艦弾道弾搭載も可能?――悪夢だ。」

「しかもB2もどき安価に量産して100機以上も保有か。哨戒機という名の攻撃機だぞこれは――」

男たちは、観艦式に招待された「向こうの世界」の米軍軍人たちである。
それを知ってか、周囲の目は厳しい。
それがこちらの日本人たちの向こうの米国への見方だった。
それはそうだろう。誰だって、祖国に核を投下した挙句さんざんやりたい放題をしている国に好感を抱くはずがない。

「続きまして、対弾道弾迎撃演習に移ります!想定状況は上空から落下してくる対艦弾道弾16発と、500キロ彼方から発射された対艦ミサイル780発が全方位から五月雨式に飛来するものです!なお、特別にレーザー砲には着色を施してあります。本来はレーザー砲は一発あたり200ミリ秒の照射でありますが――」

「戦術レーザー砲が標準装備?何の冗談だ?」

「弾頭は高速機動?対艦弾道弾?・・・ズムウォルト級でも対応できるか?」

「無理だな・・・それにあのアンテナ見てみろ。あれはアクティブステルスだ。早い話、この巨大空母もそれを取り巻くあの2万トン級超大型イージス巡洋艦も、冗談のような巨大戦艦も・・・ステルス艦ってことだ。」

「しかもこれを惜しげもなく公開・・・か。これが原潜などの秘密兵器になったら――」

男たちの顔が土気色になる。

「大統領に伝えよう。――軍事的オプションを利用した解決は、日本帝国海軍に限っても不可能です・・・と。」


彼らの視界の隅で、技術供与が為されると知って無邪気に喜ぶ旧自衛隊の将官たちを、男たちは殺意をこめて睨みつけた。

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最終更新:2012年01月04日 09:46