61 :earth:2011/11/16(水) 21:43:33

 ヤマト2199の森雪を見ていて某作品のヒロインを何故か連想してしまったために出来た
 『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSです。


(どうしてこんなことに……というか俺って今、22なんだけど)

 織斑一夏は自分に集中する視線に内心で冷や汗を流した。
 地球防衛軍の宇宙戦士としてガミラス戦役、ガトランティス戦役、デザリアム戦役など有名な戦いを生き抜いた男は
これまでにない絶望感に襲われていた。
 これまで男の組織である防衛軍で過ごしてきた故に、女の園とも言えるIS学園は彼の精神と胃に悪いものだった。

(親父、古代さん、土方教官。いや南部さんや相原さんでも良いから、教えてください。こんな状況に耐えられる方法を……)

 自分が師と仰ぐ人間を脳裏に思い浮かべるが、誰もが(土方除く)『頑張れ』と笑顔でしか言わなかった。

(ち、畜生……)

 一夏は自分をこんな状況に追いやった神に一ダースほど罵詈雑言をぶつけた。
 そして最後に、この『転入』を最終的に承認した『親父』に文句をつけた。

(お、親父~! 帰ったら覚えてろよ!!) 

 彼の脳裏には、元地球防衛軍統合参謀本部議長にして、現地球連邦の大統領の顔が浮かんだ。
 一方、その連邦大統領は首都メガロポリスの大統領府で『義理』の息子となっている一夏が窮地に立っていることを想像して
ニヤリと笑っていた。

「まぁ『主人公』の定めだ。受け入れてくれ」

 そう呟くと元議長、いや大統領は昔のことを思い出していた。

62 :earth:2011/11/16(水) 21:44:15

 長らく続くガミラスの猛攻によって地球人類は地上を追われ、地下都市に避難せざるを得なくなった。
 地上は放射能に覆われ、防衛艦隊は壊滅しつつあった。そんな中でも『参謀』を筆頭にした転生者たちは
活発的に動き回っていた。

「まだだ。まだ負けん」

 ヤマトを建造することで一発逆転を狙う男達はまだ士気を喪失していなかった。
 己に活を入れつつ参謀は防衛軍基地に向かうが、その最中に一人の少年と遭遇した。
 勿論、単なる一般人の少年なら別に参謀が気にする必要も無かっただろう。
 だが残念ながら、少年は一般人ではなかった。

「……まさか織斑一夏?」

 そう、何故か全然年代が違うはずの作品『インフィニット・ストラトス』の主人公・織斑一夏とそっくりの少年が地下都市にいたのだ。
 尤も向こうは状況を全く把握していないようだったが……。

「……確認しておくか。もしも本人だったら野垂れ死にだ」

 こうして参謀と主人公(他作品の)は接触することになる。
 勿論、この織斑一夏の来訪は転生者たちを驚愕させた。

「何故に、あのハーレム作品の主人公がここに居るんだ」
「というか、第2回モンドグロッソ開催中に誘拐されたときに世界転移って」
「本人は誘拐された後に爆発が起きて、気付いたここに居たとしか……」
「というかどうする? まぁISがない一夏なんて大した価値はないだろうが」
「ISがあったとしても、ガミラスには勝てないと思いますが」
「まぁ良い。とりあえず保護者がいるだろう。あのまま地下都市を放浪されて死んだりしたら目覚めが悪い」

 そして紆余曲折の末、織斑一夏は参謀が預かることになる。


65 :earth:2011/11/16(水) 21:47:31

「何か色々とすいません」

 頭を下げる一夏に、参謀は気にするな、と声を掛ける。
 何しろ相手は子供、それもいきなり訳のわからない世界に放り込まれた被害者なのだ。声を荒げることは出来なかった。
 当初は余所余所しかった一夏だったが、回りの人間と少しずつ交流を持つようになるとガミラスと戦うべく防衛軍に志願する。
 そして土方教官の地獄のような訓練を経て戦闘機パイロットとして前線に配備されることになる。
 一夏本人はヤマトに乗ることこそなかったが、地獄のようなガミラス戦役で活躍し、宇宙戦士として頭角を示した。
 続けて起こった戦役でも戦果を挙げ、スピード出世を成し遂げた。或る意味、主人公の面目躍如といったところだろう。
 そして議長は退役後に政治家となり、その功績と軍主流派の支持をバックに連邦大統領にまで上り詰めた。

「次は復活編に備えなければならない」

 大統領になった『元議長』は復活編へ備える一方で、深宇宙の探索を強化した。
 そのときだった。次元回廊ともいうべきものが見つかったのは。
 連邦政府と防衛軍は無人艦を送り込み、この先に広がっている21世紀地球を発見したのだ。そのときの驚愕は筆舌しがたいものだった。
 さらにそれがISのある世界だとわかったときには、冷静沈着と評される大統領が唖然となったほどだ。

「まぁそこからが大変だったがな」

 IS世界と交流をもつようになるには、色々と問題が多かった。
 だがそれをクリアしたら、次に一夏の問題が起こった。
 死亡したと思われた織斑一夏が異世界で軍人として糧を得て、さらに地球連邦の現大統領の義理の息子になっているというのは
IS世界に少なからざる衝撃をもたらした。
 異世界間の交流の一環として一夏を含む地球連邦の人間達がIS学園を訪れた際に、一夏がISを起動させたときの騒動など
思い出したくもないものだった。

66 :earth:2011/11/16(水) 21:48:07

 だがISの存在を知った地球連邦政府や防衛軍はISを利用できないかを考えた。
 そのため色々と面倒ごとを抱えつつも、硬軟あわせた粘り強い交渉を行った。その結果、ISを起動させられる一夏はIS学園に行くことになった。
 一方、23世紀世界にも留学生が来る事になったが。

「ま、冗談抜きで頑張ってもらわないとな」

 大統領は一夏が今後経験するであろう苦難を思い浮かべる。
 何しろ原作と違って、彼は数多の戦役を生き抜いた防衛軍のエースパイロットであり、将来を嘱望されるエリートであり、IS世界を基準に
すれば『大国』である地球連邦大統領の義理の息子でもあるのだ。さらに世評では将来の大統領候補でもある。超VIPとも言えた。   
 IS世界の各国も下手なことは出来ないだろうが、搦め手で攻めてくる可能性は高い。

「ふん……」

 大統領は一夏のクラスメートが記された書類を見る。そこには原作のヒロイン勢が勢ぞろいしている。
 他のクラスメイトの容姿のレベルも高い。高レベルの美少女ばかりで構成されているクラスと言えた。  

「少し遅れたが原作開始、といったところか……やはり『補正』か?」

 何はともあれ、原作よりも能力的にも、立場的にも大幅に強化された織斑一夏の物語が始まる。

67 :earth:2011/11/16(水) 21:51:51
あとがき
ヤマト2199から某ヒロインを連想した結果、何故かこんなSSができてしまいました。
まぁ本編の一夏に色々と思うところがあったのとIS系の最強系SSを読んでいて
それなら主人公を魔改造すれば良いんじゃないかとの考えが浮かんだというのも原因ではありますが。
ちなみに一発ネタです。軽く流していただけると幸いです。

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最終更新:2012年01月04日 10:43