599: パトラッシュ :2014/04/05(土) 09:23:05

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART50

ダリル・ケイシーSIDE(2)

<ダリル、織斑たちが来たで>
 通信機からフォルテの声がする。モニターに目を凝らすと、予定通り六機のISが急速接近してきた。ただちに「ヘル・ハウンドver2・5」のレーダーが、全機の識別信号を確認した。
 それにしても、ようやく実現した織斑一夏大尉との戦闘訓練が、よりにもよってIS操縦者仲間で一番の親友であるナターシャ・ファイルスの搭乗機「銀の福音」の撃墜任務とは。毎週教会で祈りを欠かさない私も、今日ばかりは大声で神を呪った。

 福音が訓練中にパイロットを乗せたまま暴走したという緊急連絡だけでも信じられなかったが、緊急出撃した第七艦隊や自衛隊のISまであっさり返り討ちにした福音の捕獲要請がIS学園にあり、最も近くにいる臨海学校中の一年生の専用機組が任に当たることになったので私とフォルテも参加しろと在日米軍司令部から指示されたときは、思わず「ナターシャを撃墜せよと言うのですか!」と怒鳴り返していた。
<逆だ。わが軍以外のISばかりでは、容赦なく『銀の福音』を撃墜してしまうだろう。それこそファイルス少尉も危険なのだぞ>
 IS部隊管理官の指示は正しいが、裏に隠された本音が読み取れてしまう。最新鋭の高スペック機体である「銀の福音」の詳細を他国に知られるわけにはいかないし、作戦に米軍所属機がゼロというのは政治的にもまずい。あくまで米軍主体の作戦で回収に成功した形をとらなくては、ペンタゴンと海軍のメンツがなくなる。今回の件で間違いなく福音は国際IS委員会の査問を受けるであろうし、そこにはナターシャも立たされるだろう。その前に少しでも秘密技術などを隠したいのだ。

 ともあれ、拒否を許されない軍の命令に従って、二人は接触予定空域へ大急ぎでISを飛ばしてきたところへ、織斑大尉の「白式」を先頭に六機のISが合流した。
<ケイシー先輩、サファイア先輩、ご苦労さまです>
「大尉、司令部から今回は貴官の命令に従えと言われている。作戦はどうするのだ?」
 遠中近の三方から絶え間なく仕掛けて福音の反撃を許さない「質より量」の飽和攻撃で福音を追い込んで捕獲するという大尉の説明は、私たちも納得できる策であった。戦闘能力の高い福音に対抗するには理にかなっているし、ナターシャを生きて確保するには最善の策だ。
 デュノアとともに近距離から中距離にかけての攻撃を担当するよう指示され、位置についたところでフォルテが話しかけてきた。
<なあダリル、それにしても福音は何で暴走したんかいな>
「今ここで何を言っても無駄だ。とにかく無事にナターシャを救出しなければ」
<結局そうやな――と、来たで!>

 その名にふさわしく全身を銀色に輝かせた福音の姿が、ハイパーセンサーの視覚情報で映し出された。頭部から生えた一対の巨大な翼が、映画に出てくるモンスターのように迫る。私たちの機体など足元にも及ばぬ加速ぶりだ。目標接触まであと十秒……九、八……ゼロ! 零落白夜を展開した白式が瞬時加速で正面からぶつかると両機のエネルギーが激突し、まぶしい閃光が放たれた。
<作戦開始だ!>
 織斑大尉の叫びと同時にボーデヴィッヒが強力なAICを展開して福音の動きを牽制するところへ、オルコットのブルー・ティアーズがレーザーとミサイルの全方位攻撃を浴びせる。連続爆発で動きを止めた福音に凰が≪龍咆≫を容赦なく叩きつけ、山田先生が五十一口径アサルトライフル≪レッドパレット≫の精密射撃を急所へ撃ち込んだ。のけぞる福音にデュノアがグレー・スケールで連続射撃をかけ、織斑大尉と私とフォルテが猛スピードで交互に銃撃したり斬りつけてはエネルギーを削っていく。
 一対八で立て続けの攻撃を繰り返すうちに、さすがに福音の動きが弱まって火花が散った。これでISが強制解除されるか――と思った次の瞬間、予想もしない事態が起こったのだ。

 ※いつの間にか50回。自分でも信じられませんが、そろそろ終わりが見えてきました。wiki掲載は自由です。

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最終更新:2017年08月22日 12:38