50: パトラッシュ :2014/06/21(土) 09:32:40

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART61

更識楯無SIDE(2)

 外部と完全に遮断された地下の特別会議室には織斑先生に山田先生、一夏君、オルコットさん、デュノア君、ボーデヴィッヒさんに凰さん、アメリカ人留学生のダリル・ケイシー、フォルテ・サファイア、それに篠ノ之さんが揃っていた。私が最後のようね。

「揃ったな。諸君らには各国のIS委員会から、私に協力するよう指示が出ているはずだ」
「は、しかし教官、詳細は聞いておりませんが」
「実は弟の所属する地球防衛軍が、日本政府と共同である事業を行うため作業用船舶を送ってくるので、我々が護衛と誘導を担当する」
「つまり、次元回廊を通って宇宙船が地球へ来ると?」
「うむ。目的は東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発と周辺地域の放射能汚染除去だ」
 予想外の言葉に室内はざわめき立ちます。福島第一原発の放射能を取り除くなど、俄かには信じられない話だわ。
「せ、先生、放射能除去なんて可能なのですか?」
「俺が説明するよ、シャル。地球防衛軍はイスカンダル星から供与された環境汚染を浄化するコスモリバースシステムを保有している。地表や地下、大気や海中などに存在するすべての汚染物質を完全に除去できる技術で、放射能はもとより重金属や煤煙などの大半の環境汚染物質を取り除ける。俺たちの世界の地球はガミラスとの戦争で全滅寸前にまで追い込まれたが、このシステムで再生できた」
「い、一夏、イスカンダル星と言ったな。つまりそれは、異星人から手に入れた技術なのか?」
「ああ、地球から約十七万光年彼方の大マゼラン銀河に存在した星だ。戦火に巻き込まれて爆発してしまったが」

 一夏君は悲しそうに話すけど、それどころではないわ。現役軍人のラウラや米軍派遣学生であるダリルとフォルテは顔色を変えているし、軍事教育も受けているオルコット、デュノア、凰さんも絶句している。一夏君の世界はワープ航法を使えるとは聞いていたけど、十七万光年離れた異星人と接触したとは。しかも放射能をはじめとする環境汚染から人類を解放できるシステムとくれば、まさに至高の技術、垂涎の的です。各国が欲しがっていた一夏君のIS技術どころの騒ぎではないわ。
「私は政府の要請で一時的に現役復帰し、『暮桜』に搭乗して護衛部隊の指揮を執る。山田先生は原発に近い福島県いわき市で自衛隊指揮車に乗り、全体の情報収集や連絡にあたってもらう。いいな?」
「わかりました」
「夏休みに食い込むが、日程は七月二十五日午前九時に――」

 その日、織斑先生率いる総勢十機のISは、福島第一原発から東に約百キロの太平洋上で待機していました。立ち入り禁止令が出た周辺海域には海上自衛隊と海上保安庁の艦船に加え、在日米海軍のイージス水上戦闘群三隻も展開しています。本当は第七艦隊の空母戦闘部隊を出そうとしたけど、地球連邦側に「米軍は関係ない」と断られたため、日本政府に強引に要求してイージス戦闘群だけは認めさせたとか。
 それでも海自の護衛艦には各国の駐在武官が鈴なりですし、指定海域外では海自と第七艦隊の哨戒部隊が、さらに海中には日本のみならず米加英仏独ロ豪中印韓の潜水艦がひしめいています。もっとも、各国の専用機持ち代表候補生が参加したこの作戦自体、日本政府が地球連邦との友好関係を世界にアピールする政治ショーの色彩が強いのですが――。

 突然、上空約一万メートル付近で閃光が輝き、大気が渦巻状に歪みました。呆気にとられている間に、渦となった歪みの中心から船の舳先が出てきます。やがて全貌を現したのは大きな船……いえ、艦体を赤と灰色に塗り分けた、巨大な司令塔と無数の兵装を装備した旧日本海軍の戦艦ではありませんか! 洋上艦が悠々と空を飛ぶシュールな姿に、私は急ぎ通信を開きました。
「い、一夏君、あの空飛ぶ船は?」
<あれが宇宙戦艦ヤマトだ。人類が初めて銀河系外に進出した、地球防衛軍の象徴だ!>

 ※最初にearth様の作品を読んだとき、真っ先に「ヤマトがIS世界の地球へやってきて福島第一原発問題をコスモクリーナーで解決する」シーンを思い浮かべました。ここまで60回をかけて、その場面まで帰納法的に書いてきたつもりです。wiki掲載は自由です。

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最終更新:2017年08月27日 09:37