561: 影響を受ける人 :2018/05/08(火) 21:51:01
提督憂鬱 戦後夢幻会 yukikaze様支援SS

注意事項
※ご都合主義です。
※資材・燃料・時間都合なんて、ネタの前では無駄無駄!!
※yukikaze様の戦後夢幻会ネタを使用した作品となっています。
※戦艦武蔵が、何とか帰還できて修復が済んだ状態となっています。
※アメリカにもご都合主義が起きております。
※大艦巨砲は好きか? 私は大好きだ!!

【史上最大の砲撃戦。もしくは凶龍共の宴‐Ⅲ】

【ミズーリ】はその砲門を全て【陸奥】に向けて発砲した。牽制ではなく、全力の殺意をもって。
初弾は外れたものの、すぐに修正して発砲する。
御互いに殺意を叩きつけ合うなか、【ミズーリ】の砲撃はレーダー照準も相まって正確になっていく。
それは接近している【陸奥】にしても当てはまる。
弾道計算距離が短くなればなるほど、命中率が上がっていくのは道理だからだ。

更に【ミズーリ】は【長門】から離れる様にして、全砲門を向けようと努力する。
そうすれば、【長門】の砲撃を気にしなくていいし、【陸奥】に集中できる。
だが・・・【陸奥】接近は止まらない。止る事が無い。そのまま突撃してくるではないか。
訝しむ【ミズーリ】であったが、速力の差は埋めがたい。余裕をもって間合いを取る。
同時に【ウィスコンシン】に通信を繋げ、【長門】を押し付けた。

ルーチンを破壊される事を嫌った【ウィスコンシン】だが、【アイオワ】が回避に専念して牽制する事を伝える。
上層部の決定に逆らえない彼女は、了解の旨を伝えてそのまま減速。【長門】に対して砲門を向けた。
アメリカ海軍が高速戦艦をそろえた結果が、日本海軍が見出した起死回生チャンスを押し潰す。
アメリカ軍とて此処で見逃すわけにはいかないのだ。レイテの二の舞は避けなければならない。
だが、【武蔵】は【ウィスコンシン】が下がった瞬間を見逃さなかった。

【アイオワ】に対して砲撃をして斉装填の為に砲門を下げつつ、砲塔をすぐさま【モンタナ】に向ける。
更に【武蔵】は【モンタナ】に向かって突撃し始めた。
【アイオワ】【ウィスコンシン】に良い様に叩かれていた【武蔵】は、所々で火災に見舞われていたが幸運な事に速力に影響はない。
後部砲塔こそ砲身を破壊されてしまったが、まだ前部砲塔二基は全て健在だ。
後の世で言われる事がある。この時、【モンタナ】が正式スペック通り水密扉と排水システムが配備されていたら話は違っていたのかもしれない・・・と。

確かに【モンタナ】は突貫工事の割には、耐久力があった。火災の原因となる可燃物も無い。
しかし、思った以上に【大和】の砲撃は響いていた。大穴を空ける激震は、突貫工事の装甲の繋ぎを緩くしていく。
そんな事情は知る由もない【武蔵】は、【アイオワ】の挑発を無視して【モンタナ】を狙い撃つ。
悠著に修正などしない。全力砲撃だ。傷だらけの姉妹艦の姿を目にして怒らないはずがない。

「叩き潰せ!」

号令は怒号ともいうべきモノになっていたが、誰もが気にせずに激しい感情をぶつけた。
その甲斐あってか三斉射目には狭差。四斉射目には一発直撃を得る。
変則的な2対1。いかに【大和】【武蔵】共々損傷して戦闘力が減っているとはいえ、高火力相手には無茶が過ぎる。

「いかん! すぐにでも沈めねば!?」
「し、しかし。 接近する相手を無視するわけには・・・」
「すでに浸水が対処機能を上回り始めている。此処は・・・我々も賭けに出るぞ。」
「・・・お供します。」

【モンタナ】は【大和】に向かって舵を切った。
この少し前に命中した砲弾が水中を突き進み、【モンタナ】の前部に大穴が開けていたのも決断の要因となっている。
前部に命中したために慌てて速力落としたが、浸水は未だに止まらない。
水密扉を締め切り、傾斜を直すために別の個所に流していたが、それも限界にきている。
これ以上の耐久値がもう、【モンタナ】には無かった。
余裕の無い大日本帝国が生み出した怪物戦艦が、物量を誇るアメリカ合衆国の欠陥戦艦を追いつめていた。

562: 影響を受ける人 :2018/05/08(火) 21:52:07

【大和】が先に沈むか、【モンタナ】が先に沈むか。御互いの命をかけたチキンラン。
追いすがる【アイオワ】の猛射に耐える【武蔵】は、後部に炎を纏いながら決定打を叩き込むために突き進む。
急速に動き始めた戦場の盤上で、勝利の女神が微笑んだのは・・・日本海軍。

「やったぞ!」

【武蔵】の砲弾が【モンタナ】の第三砲塔を破壊し、大爆発を引き起した事で決まった。
第三砲塔を破壊された【モンタナ】は、機関部にも不調を起こして停電。
対して【モンタナ】がなんとか発射した砲弾は、全弾むなしく海中に没していく。
そこに駄目押しで【大和】の砲弾が殺到してきたから堪らない。
滅茶苦茶に破壊されていく上構物。誘爆する副砲。今までにない大火災。

【モンタナ】の行き足が更に落ち始め、攻撃を受けた反動により【大和】から徐々に離れて行く。
この戦果に思わず歓声をあげそうになった【大和】乗員だが、それは姉妹艦の断末魔によって遮られた。
安全な後部から高速急接近した【アイオワ】の砲弾が後部指揮所を破壊し、後部副砲塔を爆砕し、煙突に大穴をあけ、前部艦橋基部にダメージを与えた。
艦橋にいた人物全員をなぎ倒し、指揮不能状態にした【アイオワ】はなおも砲撃を撃づける。
もはや何も抵抗が出来ない【武蔵】に対し、近距離まで近づいて砲弾を叩き込んだ。

安全な距離から撃つという常識を捨てた近距離攻撃に、さすがの【武蔵】も耐えることは出来ない。
爆発と業火が、船体を包み込む。
もう誰の眼からも助からない事がわかる惨状に、【大和】乗員は茫然としていたがすぐに怒り狂った。
すぐさま回頭して完璧に止めを刺そうとする仇に対し、録に照準もせずに砲弾を叩き込む。
思った以上に接近していた【アイオワ】は、周囲に立った水柱を見て慌てて逃げようとするも相手の方が早かった。

回頭して逃げようとすれば必然的に当たる面積を増やすことになる。
それは同じように回頭している【大和】にも言えることだが、先に射撃を叩き込んでいる分有利。
【大和】の復讐の念を込めた砲弾は、無慈悲に【アイオワ】を襲いかかる。
僅か5斉射目。再び【アイオワ】を水柱が包み込む。そしてその水壁を第一砲塔の誘爆により吹き飛ばした。
艦尾が持ち上がるほどの大爆発。もはや【アイオワ】の運命は決したも同然。

その光景を見た【ウィスコンシン】【ミズーリ】は迷った。なにせ5対4から、2対3に変わったのだから。
離脱するべきか? 戦力を保護するという面で見れば正しい。
しかし、逃げれば陸軍を見捨てることになる。それは・・・出来ない。
二隻はとにかく戦力を削る事を考えて、【大和】に向かう事に決めた。
この際、【長門】【陸奥】は無視するしかない。

速力を生かして相手を翻弄するしか、もう手が残っていなのだから。
速力を増加させて【大和】に突撃して行く。幸い【モンタナ】との戦闘は彼女に大ダメージを与えている。
上手く立ち回れば、すべて倒せるかもしれない。その考えは間違いではないだろう。
ただ彼等は、航空機の登場によって変わったように、様々な要因が集まって戦場が変化する事を忘れていた。

「くそ! 武蔵が!!」
「仇討だ!! 二隻とも戦艦を沈めてやれ!!」

アメリカの戦艦を護衛していた戦力を、なんとか撃滅した日本海軍の水雷戦隊が参入してきたのだ。
【大和】を救援すべく何とか確保していた魚雷を叩きつけるべく突撃して行く。
小さくも、強烈な毒針を持つ艦隊が、怒りを宿して巨獣に群がった。

―――――

【ウィスコンシン】【ミズーリ】は、生き残った水雷戦隊の攻撃を避けることは出来なかった。
【ミズーリ】は魚雷を叩き込まれて速力を低下させて、【長門】【陸奥】に袋叩きにされて沈んだ。
だが、損傷が激しかった【陸奥】に攻撃を集中し、同艦を撃沈する相打ちに持ち込んでいる。
【ウィスコンシン】は【大和】【長門】に挟まれ、【大和】の第二砲塔を損傷させるも力尽き、波間に沈んでいった。
海戦が終わり、まだ元気な駆逐艦に救助を頼みそして、【武蔵】の自沈が決定した

浮いているのが不思議なくらい【武蔵】は損傷しており、曳航する余裕もない。
敵の手に渡るくらいならば、味方の手で沈めた方が良い。そう言ったのは宇垣纏であったという。
そして、介錯をする艦艇は【大和】。もうこの時点で、水雷戦隊に魚雷は残っていなかったのだ。
救助できる乗員を全て駆逐艦に移し、いまだ燃え盛る【武蔵】を全員が悲しみで見上げる。
救助を完了して離れ始めていた駆逐艦の乗員が、いち早く異変に気が付いた。

563: 影響を受ける人 :2018/05/08(火) 21:52:54

「・・・おい。傾いていないか?」
「本当だ! 急いで離れろ!!」

大慌てで退避する駆逐艦を尻目に、【武蔵】は姉の介錯を断るかのように横倒しとなった。
そして、煙突から流入してきたか椅子が入り、水蒸気爆発を起こして海底に沈んでいく。
レイテで生き残った【武蔵】は、最後の砲撃戦で姉を助け、満足して沈んでいった。
その光景を見ていた全員が、そう思ったという。
まだ流れ出る涙を拭き、生き残った艦艇は宜野湾に突撃して行く。

【大和】と【長門】は別々の場所に座礁して砲撃を続行し、一身に航空攻撃を受けつつも最後まで攻撃を続けて、残存部隊も同様に暴れた。
ある艦は、敵の旧式軽巡洋艦と刺し違え。
ある艦は、自分も座礁して目標と定められた地点に向け、ありったけの砲撃を加え続け。
ある艦は、輸送船団に襲い掛かり。

ある艦は、港に無数に存在していた補給物資を粉砕していく。
彼等は約束を守った。陸軍にチャンスをもたらし、アメリカに痛撃を与えた。
後に舵を何とか直した【ニュージャージー】がやってきたが後の祭り。
もう、どうにもならなかった。
こうして、最大最高の砲撃戦は幕を閉じたのだった。

――エピローグ――

後に【モンタナ】は何とか浮いている所を見つけられ、曳航するも回航途中で沈没してしまう。
そしてアメリカ合衆国にていろいろあり【オハイオ】が改修を受ける事になり、モンタナ級戦艦3番艦【メイン】が改めて建造された。
完成と同時に【モンタナⅡ】に改名する事になった。
改修と建造の資材に大和型戦艦の資材を流用し、異母姉妹の誕生である。

【大和】が集中的に狙われていたせいか、損傷がそうでも無かった【長門】はそのまま離岸し、ソ連の戦艦を一方的に撃沈する事になる。
【大和】の司令部も大多数が生き残ったが、宇垣纏は「最後の奉公が出来た。もう、思い残す事は無い。」と言って収容所にて病没した。
その脇には、彼が書いたと思しき書物があったという。
付け加えるなら、後の首相やら重要人物がちゃっかり生き残っていたりするが・・・それは関係ないだろう。



以上です。
【モンタナ】は機関部も突貫工事の影響を受けおり、27ノットしか出せませんです。
SSも突貫工事の上、打ち切り終了みたいになってしまいました。
申しわけなかったとです。
損害の方は細かく想定できなかったので書きません。yukikaze様の時より若干多いと思ってください。
※加筆修正を行いました。多大なご迷惑等をお掛けしました事を、御詫び申し上げます。

603: 影響を受ける人 :2018/05/09(水) 21:05:45
まず誤字報告です・・・(;; )
以下の文章を、掲載時に差し替えて下さい。お願いします。
そして、煙突から流入してきたか椅子が入り、水蒸気爆発を起こして海底に沈んでいく。
そして、煙突から流入してきた海水が入り、水蒸気爆発を起こして海底に沈んでいく。

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最終更新:2018年05月11日 13:14