695: 第三帝国 :2018/06/25(月) 01:38:09
銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――「記者会見Ⅱ」


世界初の地球外生命体の婚約、タコ型宇宙人の登場。
止めに天皇陛下からのお言葉と短時間の間に詰め込まれた展開に記者たちは誰もがグロッキー状態となっていた。

とはいえ、それでも記者の端くれ。
質疑応答時間では真面目で面白みに欠ける公的な記者会見にも関わらず、
続々と挙手が上がり、熱気に満ちた空気と時間で満たされた。

特に大半が政治的な質問を投げる中、
「あの火星人・・・もといタコ型宇宙人の特徴を教えてください!」
と質問したわくわく動画の質問に対する応答が大いに話題を沸騰させた。


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

いやーまさかテレパスでコミュニケーションをとるなんて・・・


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

しかもああも「らしい」姿なんて・・・胸が暑いなぁ


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

おまけに「今マイブームはカレーだそうです」とかわけ分かんねぇwww


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

???「カレーは大正義、異論は認めない」


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

尻カレー先輩おっすおっす!!


名前: 名無しさん@T督たちの憂鬱投稿日:~

アニメ版死すべし、慈悲はない(スパゲティ並感)


相も変わらず脱線しまくるネットはまあ平常運転である。

696: 第三帝国 :2018/06/25(月) 01:38:54
「続きまして柏木真人、政府特派大使。
 及び神崎吹雪、神崎黒雨(こくう)の記者会見を行います」

いよいよ話題の渦中にある人物たちが登場する。
という司会者のアナウンスに会場は事前に聞いていなかったため慌てると同時に色めき立つ。

「さあ、いよいよ私たちの出番ですよ柏木さん!黒雨ちゃん!」

「ウン、ワカッタ。吹雪チャン」

「ははは、元気だねぇ、吹雪ちゃん。
 俺なんてもう色んな意味でグロッキーだよ・・・。
 ・・・まさかジェネラルソフトのプレゼンより緊張するなんて」

「ふぁいとデス、マサトサン!」

フェルの応援の下、
控えから会場へ3人揃って登場する。
柏木は勝負下着的に普段より良いスーツを羽織っている。
吹雪と黒雨、もとい駆逐棲姫は旧日本海軍の第三種軍装に近い軍服を纏っている。

登場した瞬間それはもうフラッシュ音がバシバシと鳴り響き、
リポーターは口泡を飛ばしながら実況しアナウンサーも興奮気味に解説している。

「はじめまして吹雪です!
 どうぞよろしくお願いします」

「駆逐棲姫、
 改メテ大雨ヲ意味スル『黒雨』ノ名ヲ頂イタ神崎黒雨デス。本日ハ宜シクオ願イシマス。」

「政府特派大使に任命されました柏木真人と申します。
 一部の人間からクソゲー売りと呼ばれてます、みなさんよろしくお願い申しあげます」

騒ぎが収まったのを見計らって三者それぞれ自己紹介する。
柏木の自己紹介に記者が思わずクスリと笑いを誘う。
それに場の空気を掴んだことを確信した柏木は事前の打ち合わせ通り記者会見をリードする。

「私の前職業については既にご存知ですから、
 ジェネラルソフトのプレゼン云々といった話は辞めましょう。
 代わりに皆さんの好奇心を満たすネタとして・・・そうですね、
 神崎島へ政府特務交渉官として来訪した時のお話をしましょう。
 私自身実は「艦隊こ〇くしょん」のT督として遊んでいたので初期艦の電ちゃんに会える!
 と興奮しましたが、いざ合えば全員神崎提督とケッコンカッコカリ済みというわけで正直ショックを受けました・・・」

柏木の正直すぎる告白に記者たちは爆笑する。
流れを完全に把握した中、柏木はさらにフェルとの婚約について実はフェルからアタックされた話や、
時計を渡したのが実は向こう習慣的に「私と付き合ってください」という意思表示だったことやらネタを散りばめる。

記者たちは記事のネタに使える話がポンポン出るので、
一語一句聞き逃さまいと真剣に聞きつつ時に笑いを誘う話に笑う。

「・・・そんなこんなで、私はイゼイラ星間共和国へ向かうことになります。
 しかし人生山あり谷あり、という言葉がありますがまさか自分が人類初の異星国家へ赴く上に外交特使として行き、
 鳥さんを起源とする宇宙人を嫁にして、二次元のキャラクターと認識していた存在と一緒に行く日が来るとは思いもよらなかった次第であります」

そう話を締めくくった柏木。
そして始まる質疑応答時間で続々と記者が挙手するが、

「中華新報の楊と申します」

指名もしていない上に、
席から離れて前の方に来ている。
正直邪魔で進行係が注意するが完全に無視している。
それどころから逆に「中国13億の人民を愚弄している!」と逆切れを起こしている。

(・・・怪しいな、このままだと他の人の質問ができないし聞いてやるか)

柏木は進行係に噛みついている中華新報の記者に質問を聞くことを表明する。

697: 第三帝国 :2018/06/25(月) 01:39:50
「大使はイゼイラに対して地球へ過度な干渉を控えるように説得すべきであり、
 安全保障に関する議論を一切行わない事を良心があるならば今すぐこの場で表明する義務があると考えます。
 加えて我が国固有の領土である蓬莱島(神崎島の中国側名称)について真の民主主義を成立させるために何らかの努力をすべきと助言します」

この言葉に柏木は思わず呆れ、
今の大陸の余裕の無さを感じ取る。

(義務がある、助言しますか、
 相も変わらず謎な上から目線だな~。
 つーか、神崎島を我が国固有の領土と言える神経の図太さはどこから来てるのやら。
 しかも真の民主主義とかジョークか?ブラックジョークの類なのか自虐なのか判断に迷うな・・・)

答えようによって政治利用されることまったなしな話だが、
この程度の質問をあしらうなど柏木にとって簡単であり、

「私は兎も角イゼイラに来てほしい。
 それだけしか言われていないので、そういった質問にはお応え致しかねます」

ぶっちゃけその通りな話なのだが、相手が悪かった。

『・・・やはり、おまえには良心がない!!東洋鬼は亡ぶべきである!』

突然その記者はそう中国語で叫ぶと懐からこぶし大の石を取り出し柏木に投げつける。
PVMCGで自動的に守られるとはいえ、突然の蛮行に身構えるが。

「大丈夫ですか?」

いつの間にか柏木の前に吹雪がいた。
手には投げつけられた石を握っており咄嗟に掴んだのだろう。

「あ、ああ大丈夫だよ、吹雪ちゃん・・・」

至近距離から投げつけられた石を掴む。
しかも隣にいてそれに反応できる運動神経に柏木はつくつぐ艦娘は人間と違うことを実感する。

で、当の記者は警備に人間に取り押さえられている。
「軍国主義者!」だの「このままで済むと思うか!」など叫んでいる。

「・・・どうして、こうなったんだ?」

柏木が無意識に呟く。

「提督が言ってました。
 『人間は貧すれば鈍する』と」

1930年代の日本のように、と付け加える。

「・・・貧すれば鈍するか、名言だね」

経済不安を発端とする海外進出。
自己正当化のために極端な思想を振り回す。

歴史は繰り返す。
というがまさかこうなるとは。

吹雪の回答に柏木は乾いた笑いを漏らした。






おわり

698: 第三帝国 :2018/06/25(月) 01:44:12
以上です。
おやすみなさい

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最終更新:2018年06月25日 12:08