260: ham ◆sneo5SWWRw :2018/07/17(火) 22:20:48
提督たちの憂鬱×日本国召喚クロスネタ


中央歴1639年4月12日早朝 ロウリア・クワトイネ国境から20kmのギムの町


クワトイネ侵攻軍の副将アデムは意気揚々と進軍を進めていた。
此度の侵略において先鋒を務められるだけでなく、手始めに占領するギムの町の戦利品を自由にできる許可を頂けた。
彼の頭の中にはどのように忌々しい亜人ども殲滅し嬲り倒すかということでいっぱいであった。
しかし、彼の想像は想像のままで終わる。
敵の国境警戒のワイバーンを墜とし、クワトイネまで5kmまで迫っていたその時。
突如としてロウリア軍は紅蓮の炎に包まれた。


西部方面騎士団長モイジは呆然としていた。
これまで強大な敵であったロウリア軍がいともたやすく殲滅されていく。
最初、「当方の武器のほうが貴国軍の武器よりもはるかに射程が長く、威力も大きいため、射程に入り次第攻撃する許可を頂きたい」と言われた時はムッとしたものだが、なるほどその通りだ。
事実、こちらの射程に入っていない上、彼らはロウリア軍とはギムの町を挟んで反対側のはるか後方だ。
にもかかわらず、ロウリア軍は彼らの武器の射程圏内にいた。
しかもあれほどの威力の爆裂魔法・・・我々の手出しはかえって邪魔になる。

彼らと国交を結んで2ヵ月。
武器の輸出は彼の国としても旧式兵器であること等の様々な条件により限定的となっているが、細々とした輸出は行われている。
この戦争が終わったら彼らの戦術・・・それ以外にも色々と学ばないかもいけないな。
彼ら・・・大日本帝国のことを。



「ギムの町における戦闘報告が来ました。
 ロウリア軍3万の壊滅に成功、ワイバーンも150騎の全て・・・とはいきませんでしたが、ほとんどが撃墜。
 残りは壊走か不時着したことを確認していますが、集計が合いません。
 とはいえ、レーダーでクワトイネ公国内に侵入したワイバーン全ての反転を確認しているので、引き返したのは間違いないでしょう」

杉山の報告に一同は安堵のため息を吐く。

「ロウリアの戦列艦に対しても数日以内には長門、陸奥が相手をするでしょう。
 万が一に備え、大鳳以下機動部隊による航空支援も可能です。
 グラ・バルカス帝国の大和モドキほどではありませんが、武力で外交を語る連中にはいい薬になるだろう」
「既にパーパルディアには松岡君が現地入りしている。
 連中は文明圏外だのという下らぬ固定観念で鼻から知ろうともせず、数回の問答であの始末だ。
 原作を知る松岡さんなら、上手くふるまえるだろう」
「まぁ、我が国を怒らせるならば、神の審判を下すだけですが。
 しかし、日本国召喚世界とは・・・神様は余程衝号が許せないらしいですね」

261: ham ◆sneo5SWWRw :2018/07/17(火) 22:21:20
古賀の報告、近衛の言に続き、嶋田の言葉に一同はなんともいえない顔になる。
そう、我らが夢幻会を擁する憂鬱日本こと大日本帝国は、日本国召喚世界に召喚されてしまったのだ。
原作の日本国と違い、小作農や貧乏農家対策のために国内の農業に力を注いできたので、食料自給率は高かったが、鉱物資源だけはどうしようもなかった。
そのため、転生者たちはクワトイネ公国との接触もだが、クイラ王国との接触にも力を入れた。

両国に合弁企業を設立し、クイラ王国は日本に資源を売り、その金でクワトイネの農作物を買い、クワトイネは農作物を売った金で日本から各種技術及びインフラ、そして武器を買い、日本はその金でクイラから資源を買うという三角貿易を形成していた。
また日本から輸出されたインフラにクイラ王国の資源が必要であることから、クワトイネは日本に農作物を売り、その金でクイラから資源を買い、クイラはその金で日本から各種技術及びインフラ、そして武器を買い、日本はその金でクワトイネから農作物を買うという逆回りの三角貿易も成立し、三国での経済発展はかなり飛躍していた。

そんな状況の中、クワトイネとクイラの隣国ロウリアの軍事侵攻の気配が発生した。
原作とは違い、軍の派遣に制約が厳しくない憂鬱日本は安全保障条約を締結して、国境に各歩兵1個旅団+1個砲兵団+1個飛行団規模の戦力を派遣していた。
憂鬱日本の行動からしてもう少し戦力は出ていると思われただろうが、これには事情があった。

「日本本土、台湾、海南島、南洋諸島・・・そして、カムチャッカとアラスカ、ハワイまで転移ですか。
 東南アジアや西海岸、こいつらは絶対来てほしくないが朝鮮や満州が転移しなかったため、現地に派遣していた戦力を失ってしまいましたが、予備役や後備役まで動員して再建を急いだ甲斐がありました」

太平洋の覇者となり、派遣国家となった憂鬱日本は勢力圏同士の境界線に近い友好国に戦力を派遣していた。
テキサスと対立する西海岸、動乱続く中華大陸、独立を目前にした民族対立がくすぶる東南アジア、英ソ日独の利権・勢力争い・現地人の独立運動が複雑に絡まった魔女の大釜インドに近いビルマ。
各地に派遣されていた戦力は少なくなく、転移によりそれを失ったのは大きな痛手であった。
そこで復員していた予備役兵や後備役兵を緊急で招集し、なんとか25師団体制を再建しつつあった。

またこの他にも東條や木村などの現地に派遣していた高級幹部の転生者を失ったのも大きな痛手であり、夢幻会は新たな転生者・派閥構成員の獲得に躍起になっていた。
転移による苦難の中、なんとかロウリアとの初戦に勝利した憂鬱日本がどうなるかは、誰にもわからない。
ただ一つ分かることは・・・

「ところで、陸軍さん?総理やりませんか?」
「陸軍としては海軍の提案に反対である!」
「・・・・・・・・・・・」

我らが嶋田さんは、総理を辞めることができないということであろう。



続かない

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最終更新:2018年07月20日 10:31