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支援2_名無し三流さま_雑誌、新聞のスクラップ・軍事雑誌編
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名無し三流
2011/08/04(木) 22:13:51
憂鬱日本では言論に関する締め付けが必要以上には厳しくなかったこと、
また出版界、報道界の統合による大規模化、寡占、独占化を極力防いでいたことから、
実に多種多様な雑誌や新聞が産まれている。
今回は、そんな雑誌の中から1つの雑誌の、1つの記事を切り抜いて紹介しよう。
提督たちの憂鬱 支援SS 〜雑誌、新聞のスクラップ・軍事雑誌編〜
月刊『矛盾総論』より『本田田中の徹夜対談 第四拾九夜 世界の液冷戦闘機編』
編集者「では本誌恒例の徹夜対談、今回は世界の液冷戦闘機(注壱)についてです。
本田さん、田中さん、今晩もよろしくお願いします」
本田・田中「よろしくお願いします」
田中「いや、私は空冷の方が好きなんですけどねぇ(笑)」
編集者「(苦笑)いや、それじゃ仕事にならないんですが」
本田「それじゃ本題に入りますか。まずこの表(図壱)を見てみましょう。
左側が現在、世界各国で使用されている液冷戦闘機とその性能表ですね。
左からイギリスのスピットファイア、アメリカのP−40、そしてドイツのBf−109です。」
田中「右端のが、我が国の戦闘機……通称『飛燕』ですか。」
本田「それにしてもすごいなぁ(笑)速度なんか何ですか、もう次元が違ってますよ、コレ」
田中「一見して、一撃離脱(注弐)に適したデザインだと分かります。元々液冷機は空気抵抗(注参)を少なく出来、
それにより空冷よりも速度的、デザイン的に洗練させる事ができますが……」
本田「この機はその利点を突き詰めていった、言わば液冷戦闘機の完成形ですね。」
(〜中略〜)
編集者「さて、この飛燕ですが、スペックや技術的な要素だけでも極めて強力である事が分かります。」
田中「そうですね、事実この飛燕は零式や九七式と共に、
日米戦争(注四)においてP−40を始めとするアメリカ製戦闘機を圧倒してきました。」
本田「飛燕はその美しさのため、『空の芸術品』という別名もあります。
切手の図案(図弐)として使われている事も有名な話で…」
田中「なぜか零式や九七式の方(図参)が人気ないんですよねぇ(苦笑)」
編集者「話を進めましょうか。この飛燕の他国とは隔絶した性能ですが、
欧州の戦闘機がその差を埋めるにはどのぐらいの時間がかかると思いますか?」
田中「まぁ、短く見積もったとしても2年と半分くらいはかかるでしょう。
世界恐慌(注伍)や大西洋大津波(注六)によって欧州の戦略的体力は大きく減衰しており、
これは同地域の航空産業にも少なからぬ悪影響を及ぼしています。」
本田「特にドイツはソ連と戦争をしていますからねぇ。
暫くはBf109シリーズ(図四)の改修版が関の山ではないでしょうか。」
401.
名無し三流
2011/08/04(木) 22:14:50
田中「イギリス辺りは財布を逆さにして振ってでも飛燕を買いたがりそうですね。
技術を進化させるのには実物を見るのが一番でしょうから……」
本田「しかしきっと、我が国の国民感情(注七)はそれを許しませんね。
これを輸出できるとしたら、フィンランド(図伍)ぐらいなものでは?」
田中「ああ、確かにフィンランドは日本の戦略上極めて重要な国ですからね。
特にフィンランド人技師の能力(注八)は日本のそれに勝るとも劣らないと専らの評判です。
整備の難しさに定評のある水冷式(図六)でも使いこなす事ができるでしょう。」
(〜中略〜)
編集者「それでは田中さん、本田さん、今回の対談を踏まえての感想をお願いします。」
本田「はい、では私から行きたいと思います。えー、今回の対談では、
今後日本が取るべき国際戦略の一端が見えたような気がします。」
編集者「国際戦略、と言いますと?」
本田「そうですね、まず日本は列強の中でもずば抜けた技術力・開発力を保有しています。
我が国はこの優位によって開発された兵器やノウハウをフィンランドなどの友好国や、
福建(図七)などの近隣国へ与え、協力関係を強めるべきではないかという事です。」
田中「成る程、北欧圏、アジア圏と連帯してドイツ、イギリスを中心とした欧州圏や、
ソビエト連邦(図八)に対抗していくという事ですね?」
本田「まぁそんな所です。日本がいくら技術的に優れていても、
生産力を見れば往年のアメリカ等とは比べるべくもありません。
ですから、日本はリサーチ&ディベロップ(注九)に専念し、
その利益を連帯国家で共有していくのが理想です。」
編集者「そういう事ですか。確かにこの飛燕は優れた技術力に支えられた兵器。
日本の国際的地位を重視する本田さんらしい意見ですね。」
田中「それじゃあ次は私の感想ですか。うーん……
私は以前から、空冷の無骨でいかにも機械然としたデザイン(図九)が大好きなもんで、
それとは対極の流麗な芸術性を持った液冷戦闘機はですねぇ……」
編集者「まだ言いますか、それ(笑)」
田中「(苦笑)」
402.
名無し三流(このレスでおしまいです)
2011/08/04(木) 22:15:29
本田「いやいや……実際、こういうこだわりが強い人は多いですよ。
こないだの読者投稿欄でも『諸君、私は戦艦が大好きだ』とか、
『イマドキ戦艦とかワロスw時代は空母だろjk』とか、そういうのが沢山ありました。」
編集者「ああ、投稿欄ですか?あれは編集部の採用会議でも随分と荒れました(図拾)よ。
戦艦(注拾)派編集者と空母(注拾壱)派編集者が、各々自分と同じ意見の投稿を推しまして……
かくいう私は軽巡(注拾弐)萌えな訳ですが(笑)」
本田「それはまた随分とマニアックな(笑)」
田中「続けていいですか?(苦笑)」
編集者「あ、どうぞどうぞ(汗)」
田中「……ともかく、液冷戦闘機は整備性をいかに向上させるかが問題でしょう。
空冷と液冷はそれぞれが長所と短所を持っていますが……今後の航空機は、
その短所を先に解決できた方のエンジンに一本化されていくと思います。」
本田「で、自分は一本化されるなら空冷エンジンの方が良いなぁ〜、と」
田中「そりゃそうでしょう(笑)
空冷発動機万歳!!液冷は絶対に認めん(笑)」
編集者「また読者から叩かれても(注拾参)知りませんよ(笑)」
田中「大丈夫です、葉書を受け取るのは編集部ですから」
編集者「(苦笑)」
本田「それでは、日付も変わった事ですし今夜はこれでお開きという事にしましょうか」
編集者「そうですね。それでは相変わらずの雑談・脱線ぶりが売りの徹夜対談、
第四拾九夜はこれにて終了となります。お付き合い下さり有難うございました。」
田中「次回のテーマは、こんにちの日本における最重要課題!シーレーン(注拾四)の防衛です。
そして、第五拾夜記念としてスペシャルゲストも登場します。どうぞお楽しみに〜!」
(完)
※補足
(注壱)液冷戦闘機についての大まかな解説
(注弐)一撃離脱戦法の解説
(注参)空気抵抗の解説
(注四)日米戦争の解説
(注伍)世界恐慌の解説
(注六)大西洋大津波の解説
(注七)日本の国民感情が反英的な理由の解説
(注八)フィンランド人技師の優秀さを示す逸話
(注九)リサーチ&ディベロップの解説
(注拾)戦艦の解説
(注拾壱)空母の解説
(注拾弐)軽巡の解説
(注拾参)以前の対談における田中の『駆逐戦車不要論』に対する読者らの反応の解説
(注拾四)シーレーンの解説
(図壱)スピットファイア、P−40、Bf−109、飛燕の写真とスペックの表
(図弐)小松崎茂の手による飛燕の絵が描かれた切手
(図参)同じく、小松崎茂の手による零式・九七式の切手
(図四)ドイツのメディアから入手した編隊飛行をするBf−109の写真
(図伍)フィンランドの地図と解説
(図六)液冷エンジンの概念と整備が難しい理由の解説
(図七)福建共和国の地図と解説
(図八)ソビエト連邦の地図と解説
(図九)空冷エンジンの概念とデザインが無骨になる理由の解説
(図拾)戦艦好きか空母好きかで反発し合う編集者らによる乱闘の現場写真
404.
名無し三流
2011/08/06(土) 16:35:13
憂鬱日本の新聞や雑誌は、初期から読者との交流に積極的だった。
新聞はもちろん、雑誌にも必ずといって良いほど読者からの手紙を紹介するコーナーがあり、
そこに寄せられる手紙は政治・軍事に関する個人の意見であったり、
また人生の悩みであったり、仕事についての相談であったり実に様々だった。
今回は、そんな読者ハガキの中から珍投稿4つを寄り抜きして掲載しよう。
提督たちの憂鬱 支援SS 〜雑誌、新聞のスクラップ・読者ハガキ編〜
月刊『矛盾総論』読者投稿コーナー『総論広場』 採用ハガキより
H県在住 ペンネーム"打ち出の小槌は実在しないと何度言ったら(以下略)" さん(15)
初めまして。突然ですが私には最近困っている事があります。
私の一番下の弟(5歳)が、世界地図を広げて「太平洋に空母が10隻、戦艦12隻」
「本土には空母が8隻と戦艦が9隻…」と、脳内で海軍戦力の分配をしています。
しかしその数字があまりに無茶なので、「空母や戦艦はお金がかかるからそんなには作れないんだよ」
と諭した所、「お金が足りなかったらおもちゃとおやつを我慢する」とか、
「嶋田総理は偉い人だから何とかしてくれる」とか言って聞きません。
微笑ましいと言えば微笑ましいのですが、こんな事を言ってばかりというのも困ります。
何とか上手く弟を説得する方法は無いものでしょうか。矛盾総論編集部の皆さん、知恵を貸して下さい。
月刊『確認済飛行物体』読者投稿コーナー『翼のつぶやき』 採用ハガキより
K県在住 ペンネーム"かわいそうな九六式" さん(12)
僕は模型作りが趣味で、こないだ九六式戦闘機の模型が完成したので、
友達(ここでは仮に"イ"、"ロ"、"ハ"としておきます)に見せたのですが……
友達イ「すげェな、本物の 九 七 式 爆 撃 機 そっくりだぜ」
九 六 式 戦 闘 機 です。
友達ロ「マジかよ、これがあの九七式か」
九六式ですってば。
友達ハ「やっぱ九七式あっての皇軍だよな」
なんで九七にこだわるんですか。
……彼らとはもう縁を切った方が良いのでしょうか。
405.
名無し三流
2011/08/06(土) 16:35:43
月刊『矛盾総論』読者投稿コーナー『総論広場』 不採用ハガキより
S県在住 匿名希望 さん(年齢不詳)
先月号掲載の徹夜対談、『徹底討論。戦車の大型化はアリなのか?』について、一言言わせて下さい。
この対談において、田中氏は「駆逐戦車のアイデアは全くの大失敗」「旋回できない砲は、ただの物干し竿だ」
などと発言しておられましたが、私はこれには全く納得できません。
近年話題となっている独ソ戦では、その過程で独ソ両軍の戦車がより重武装化、重装甲化されていると聞きます。
特にドイツでは100粍超の主砲を搭載し、同等の砲弾の直撃に耐え得る新戦車が開発されているらしいと専らの噂です。
これは貿易会社に勤める友人から聞いた話ですのでかなりの信頼性があるかと思われます。
こうした状況下では、皇軍もこれらに対し1つでも多くの対抗策を模索していかなければなりません。
それなのに、貴重なアイデアの1つである駆逐戦車案を実際に試されてもいないのに扱き下ろし、
あまつさえ戦車の魂である主砲に、ただ旋回できないからといって、
"物干し竿"などという侮辱的なレッテルを貼るのは真に許しがたい事であります。
駆逐戦車を考案した方々の事を考えてもみて下さい。
彼らは御国を守るために精一杯の知恵を絞ってこのような案を考え出したのです。
それを"大失敗"だの何だのと叩くとは一体何事ですか。それでも軍事評論家の端くれでしょうか。
田中氏は一体何故、計画を見ただけでこのように激しく拒絶するのでしょうか。
確かに概要を見ても奇抜な所はありますが、だからといってそういった新しい物を否定していては進歩は有り得ません。
次号では田中氏本人の見解を是非ともお聞きしたい所です。以上、長文失礼いたしました。
406.
名無し三流
2011/08/06(土) 16:36:50
月刊『無限軌道』読者投稿コーナー『ぼくのかんがえたさいきょうのせんしゃ』 金賞獲得ハガキより
K県在住 ペンネーム"東方は赤く燃えている" さん(69)
(イラストは省略)
名称…馬背羅攻撃車
全長…10.2m
全高…6m
重量…62t
武装…175ミリ無反動砲
3連装33ミリ機関砲
解説…砲塔は図の通り極めて高い位置にあり、旋回はできない。
遠距離砲撃による歩兵部隊の火力支援が主任務である。
装填や照準などの大部分が自動化されており、操作は一人でも可能。
最大の特徴…砲塔部は車体部から分離し、独立して飛行する事が可能で、
175ミリ無反動砲は飛行中でも発射できる。
主に敵戦車のトップアタックなどに使うが、緊急脱出用として使う事もできる。
一言コメント…車体なんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのです
選者評…70歳も近いというのにこの想像力。脱帽しました。お仕事は一体何でしょうか?
特に砲塔の分離飛行というのは当コーナーでも初めて見る機構で、大変興味を惹かれました。
そこまで来るともう戦車では無く航空機では…という疑問もありますが、持つだけ野暮でしょう。
主砲は175ミリという事で砲塔そのものの重量と、砲塔を支える部分の細さがやや心配ですが、
ここまで来るともはや当戦車のユニークさとさえ感じられます。名前も独創的ですね。
『"馬"の"背"に乗った修"羅"』という事でしょうか。"攻撃車"という肩書きも素敵です。
これこそ今回の金賞に相応しい作品と、選考部の意見も全会一致でした。
今回は素晴らしい作品を有難うございました。
407.
名無し三流
2011/08/06(土) 16:37:23
今回の投下はこれで終了です。"馬背羅攻撃車"の元ネタが分からないという(゚Д゚;)な人はこちら(↓)
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BC%E3%83%A9%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF
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