798: 635 :2019/04/26(金) 07:22:54 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
銀河連合日本×神崎島 ifネタ ラーメンとジャガイモとキムチが大惨事世界大戦前夜


ベトナム社会主義共和国近海 ”カンムス・ステーション” ジェラルド・R・フォード級航空母艦『エンタープライズ』戦闘指揮所


「現在の状況は?」

「現時点において特に変化はありません。海南島の潜水艦は騒がしいですが中越国境は大人しいものです。」

ジェラルド・R・フォード級航空母艦三番艦『エンタープライズ』艦長ニコラス・A・アンダーセンは通信員に問うた。
現在エンタープライズは大陸の動きへの警戒と対応の為にこの地へと進出していた。
無論ベトナムの許可を得ているので問題はない。

「冷戦が終結して三十年近く経つのに第三次世界大戦開戦なんぞ笑い話にもならんぞ。」

「全くその通りですな。」

副長もアンダーセンの言葉に同意する。

「幸いなのは愛すべき我らが同盟国達が裏切り者共よりも優秀で頼れることぐらいか。」

「同意します。」

アンダーセンはCICの大画面に映る友軍を示す光点を見つめた。
戦後初の他国への作戦行動の為に展開した海上自衛隊の艦艇と共に映る二つの光点。

「しかし艦長、Big-Eの名を継ぐ艦がかつてヤンキー・ステーションと呼ばれた場所で彼女たちと行動するとは、これもイゼイランの言う因果ですかな。」

「そうだな。だが彼女達、空母『ショウカク』と『ズイカク』の存在は本当にありがたい。」

今回のエンタープライズの作戦行動には神崎島の翔鶴と瑞鶴も同行していた。
両艦は現在、現代化大改修が完了して米原子力空母に匹敵するスーパー・キャリアー(超大型航空母艦)となっている。
全世界で全原子力空母が作戦行動中の現在、彼女達の存在は非常にありがたい。

「そういえば艦長、現在この場所はマスコミにカンムス・ステーションと呼ばれているそうですよ。」

「話題では彼女達が上だからな仕方ないだろう。」


海上自衛隊と翔鶴、瑞鶴がこの場にいる理由、それはエンタープライズがここにいる理由と無関係ではなかった。



「中華民族の偉大なる復興と人民の夢の達成を行う。」

中国共産党のスポークスマンより発せられたそれの裏などどの国も理解していた。

張徳懐国家主席が病気を理由に表舞台から姿を消し、人民解放軍出身の熱烈な愛国主義者が国家主席の地位に着くと事は動き始めた。
米韓同盟の破棄、ドイツのヨーロッパ連合と北大西洋条約機構からの脱退、一部の国に牛耳られた国際連合からの日本陣営への一方的な武装解除命令、中韓独による同盟。
そして、米国のいなくなった半島への人民解放軍の進駐。
全ては七十年前を想起させるには十分過ぎる事態であった。


「作業の手順が複数個あって、その内破局に至るものがあるなら、誰かがそれを実行する」


マーフィーの法則の如く破滅へのカウントダウンが開始されることとなった。

人民解放軍の戦艦、空母の東シナ海での遊弋と戦略原潜の活発化、爆撃機の出撃の増加。衛星が捉えた各種弾道弾の慌ただしい動き。
韓国による中国への核シェアリング要請と日本領海への巡航、弾道ミサイルの発射による日本への圧力。
ドイツの戦艦の大西洋での遊弋と国境への陸上兵力の移動と中国からの核提供疑惑。

これに対し、アメリカ海軍は空母機動部隊とエイブラハム・リンカーン級戦艦が相次いで出撃し、戦略原潜の活動を活発化、
空軍では戦略爆撃機による核パトロール復活、陸軍でも予備役兵力の動員と前線となりうる地域への移動が開始された。

イギリスもアメリカに追随して虎の子のクイーン・エリザベス級航空母艦とロイヤル・サブリン級戦艦を動員、
イタリアのナポリ級戦艦やフィンランドのイルマリネン級巡洋艦と艦隊を組み北海での遊弋を開始した。

ロシアにおいても戦略原潜、戦略爆撃機、戦略・中距離等の弾道ミサイルの動きが活発化し、重原子力ラケータ巡洋艦や重航空巡洋艦が米英艦隊に合流するという事態に至った。

中韓独の近隣国も陸軍を国境付近へと移動、海軍の動きも慌ただしくなり不測の事態に備えた。

そして、

「人民解放軍は半島に核兵器を配備せり。」

アメリカより齎されたこの情報に日本は鈍器で頭を殴られたような衝撃を受けた。
日本はまだ何処かでどうにかなると楽観視していたのだろう。
あの冷戦期すらなにもなかったのを理由に幻想を抱いていたのだ。
しかし、日本人の信じるヤルバーンからの情報もその正確さを示していた。

799: 635 :2019/04/26(金) 07:23:58 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp

さて、ここで話は変わるが日本人の傾向を皆さんご存知だろうか?

『極端から極端へ走る』

世界でもよく言われていることである。
そして世界の動き、特に日本人にとって禁忌と言える核の存在が日本人に対してある種覚悟ガンギマリさせてしまうこととなった。

日本人は覚悟を決めたのだ。
ここが分かれ目だと。

そこからの動きはそれまで以上に早かった。
何故か顔ぶれの変わった国会で改憲と国防軍への移行が全会一致で可決され、ハイクァーンを用いた準戦時体制への移行、
各部署の調整と改革、関係国への根回しが急ピッチで進められた。

例を上げれば、臨時防衛費の即時可決、予備役の即時動員、英芬伊等との軍事同盟、ハイクァーンを用いた兵器弾薬の増産、
神崎島に頼み込みアナスタシア王女とスターリンをロシアへ派遣し臨時軍事同盟まで取り付けた。
政財界でも日銀砲に禁輸措置の準備、大陸半島と繋がりの深すぎる政治屋の排除等、本当にあの日本かと思える程の動きであった。

神崎島の先人達は苦笑いをしながらお前らもっと早く本気出せよと苦言を呈していた。
出来の悪い子供の成長を見るような苦笑いだった。


横須賀、佐世保、呉などからふじ型打撃護衛艦や超大型のやしま型等の水上打撃艦、F-35B搭載の改装の完了したいずも型護衛艦を始めとする水上航空戦力が相次いで抜錨。
西日本、南西諸島に展開したF-15J、F-2、F-35Aが二十四時間体制で警戒を続け、海自の哨戒機や空自の支援機が鹿屋航空基地や那覇基地に集結しつつあった。
神崎島から大型飛行艇蒼空とあきつ丸を借り北海道や東日本の機甲戦力を含む陸上部隊を僅か数日で全て西日本へ移動させるという荒業をやってのけた。

この動きをティエルクマスカ連合とイゼイラ・ヤルバーンは呼応、ヤルバーンは準戦闘態勢へ移行、
福島県双葉基地から『かぐや』が出撃し、ティエルクマスカ有志連合及び防衛総省の出撃準備も進められた。
流石に有志連合と防衛総省の所は極端へ走った日本も流石に止めた。

そして神崎島であるが、大和が日米と連合艦隊を組み東シナ海を遊弋し、翔鶴、瑞鶴が米機動部隊と共にベトナムカムラン湾沖に、
大鳳、蒼龍ら機動部隊と長門、武蔵等水上打撃部隊が米露と共に日本海や台湾近海に展開するなどしていた。
遠く欧州ではヤルバーンのデロニカによって緊急展開したウォースパイト率いる機動部隊、水上打撃部隊混合の欧州連合艦隊がNATO艦隊と合流、ドイツ艦隊と睨み合いを続けている。

また基地航空隊が空自同様に西日本、南西諸島に展開、戦闘機やB-49(制式採用の為にYが取れた)や富嶽などの戦略爆撃機だけでなくF-15E、F-111などの戦闘爆撃機の姿もあった。
その中には鹿屋航空基地に展開した野中五郎率いる神崎島、海空自衛隊混成の新生神雷部隊の姿もあった腹に抱えるはもちろん新型重対艦誘導弾である。



東シナ海 神崎島鎮守府連合艦隊旗艦『大和』艦橋


「提督、本日も異常なく一日が終われば良いですね。」

「ああ…。」

夕陽に赤く染まる海を大和が航行していた。
その前方には『赤城』と『加賀』にアメリカの航空母艦『ジェラルド・R・フォード』が、後方ではヘリ搭載護衛艦『いずも』、
両脇には日本の『やしま』と戦艦『エイブラハム・リンカーン』が航行している。

そして海中にはおびただしい数の深海棲艦達が潜んでいる。

主権こそ保持しているが日本と神崎島は一蓮托生、神崎島は日本の動きを肯定していた。
そのために連合艦隊と神崎提督はここにいるのだ。

神崎島の事は残った妖精達に任せてある。
チャーチルにスターリンにヒトラーに明治の元勲達に戦中戦後の妖怪達もいる、他国から見れば人材の無駄遣いも良いところだろう。

神崎提督と大和がいる艦橋には空中に幾つものゼルモニターが仮想造成されSFの様な光景が広がっている。
ティエルクマスカの技術と日本、神崎島の技術者の努力により神崎提督はCICにいなくても連合艦隊全艦艇の指揮を取ることができるのだ。

800: 635 :2019/04/26(金) 07:24:42 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp

『提督。赤城より入電、空中警戒部隊の収容と次の部隊の発艦許可を願うとのことです。』

「赤城の判断で構わないと伝えてくれ。」

『了解しました。』

神崎提督にゼルモニターに映る通信員が指示を仰ぐ。
現在の神崎提督は神崎島鎮守府の行政の長としての『提督』ではなく、神崎島鎮守府連合艦隊の指揮官としての『提督』だから指示を仰ぐのは当然である。

大和の艦橋からは赤城の甲板で発艦作業が行われているのが見える。
F-35Cだけでなく、F/A-18E/F BlockⅢも搭載している。

その翼に下げられているのはもしもの時の為のティ連より託された『切り札』だ。
大和の主砲にも同じ物が装填されている。

『広域重力子弾頭』

変わっても尚解けぬ核の呪縛の代わりに求められた抑止力。
扱うティエルクマスカも何処から来たのか分からないトーラルの科学が生み出した地球人類が未だ届かぬ遥か遠い未来の技術。

本当ならば日本に託されるべきものだが日本とティエルクマスカ共同で神崎提督へと託された。
人類近代史最大の大戦の写し鏡となった深海棲艦との戦いを乗り越えた神崎提督こそ上手く使ってくれると信じてその権限は委ねられた。


「カンザキ提督、ヤマト艦長夕飯の時間デスヨ!」

「腹が減っては戦は出来ぬと申しますし、夕餉としましょう。」

そこへ我らがフェルさんがナヨ様を伴い艦橋に入って来た。
今回は臨時に大和の主計科に属している。

フェルさんの胸元には何やら鍵っぽいのが光り、後ろには厳重なティ連式セキュリティの施されたアタッシュケースを持つイゼイラ人副官と主計科の人員が続く、
アタッシュケースの中身はティエルクマスカより託された『切り札』の安全装置だ。
その管理も此度一時復帰したフェルフェリア・カシワギ・ナヨクァラグヤティエルクマスカ旧皇資格終生連合議員の仕事だ。
同様のティ連役職者は赤城や加賀、翔鶴達にも搭乗している。

神崎島、日本、アメリカの象徴ともいえる艦艇による連合艦隊と大和に乗り込んだティエルクマスカ連合全主権の名代である旧皇資格終生連合議員、
そしてティ連全体の象徴と言える創造主ナヨクァラグヤ・ヘイル・サーミッサの存在が日本陣営の解答であった。


ちなみに本日の夕飯はフェルさん特製カレーおにぎりだ。
今日は金曜日だから義務なのである。
フェルさんとしてはカレーライスを出したかったが警戒配置なので涙を飲んでおにぎりで妥協した。

艦橋にカレーの匂いが充満する。
誰かのお腹がなった。
それを聞き神崎提督は苦笑する。

「各員は交替で食べてくれ。」

「「「サーイエッサー!」」」

提督の命令に全員が一斉に応える。

「ドウゾ提督。本日はオニギリだけでなくヴァズラーのおミソ汁もあるのデスヨ!」

配膳を始めたフェルさんは神崎提督におにぎりを渡し、ナヨ様がイゼイラガニ、ヴァズラーの味噌汁を保温容器から用意した。
フェルさん曰く古代イゼイラ人が使って食べて生き延びる原動力となったヴァズラーを使った味噌汁でゲン担ぎなそうな。
口に含むとカニに良く似た風味が広がる。

「ん、美味い。」

「本当に美味しいですね…。」

神崎提督と大和が呟く。
ずっと気を引き締め続けていたのでホット一息といったところだ。

「良かったデスヨ。」

フェルさんもニッコリであった。

801: 635 :2019/04/26(金) 07:25:25 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp

「提督、現在はどの様な状況なのデショウカ?」

食後のイゼイラ茶を入れながらフェルは尋ねた。

「その質問は鎮守府の士官としてかね?それとも連合議員としてかね?」

「両方デスヨ。どちらもワタシですから、その役目のためにワタシはここにいるのデスヨ。」

「妾もイゼイラの創造主の写し身として、大和の国に根を下ろした者として気になります。」

確固たるフェルとナヨの返答を聞き少々意地の悪い質問をしたかと神崎提督は感じた。
そこへ大和が助け舟を出す。

「提督、もうすぐ定時連絡がありますからお二人にはこのまま艦橋にいて頂いたらどうでしょう。」

「そうだな。」


『提督、神崎島司令部より定時連絡です。『ヴィオロンノタメイキハキコエズ』以上になります。』

「全系統で確認はしているな?」

『はい、電波による音声、電文、モールス、量子通信各通信三系統で確認全て同様の内容です。』

「まだ終わりの始まりではないということデスカ…。」

「そのようじゃの…。」

フェルとナヨはぽつりと呟いた。
このまま何事もなく終わればいい、二人はそう思った。

「今頃柏木君達が頑張っている筈だ。彼らに期待しよう。」

「そうです。柏木さんは日本とティ連、神崎島を結びつけた立役者、必ずどうにかしてくれる筈です。」

神崎提督と大和は二人を励ます。突撃バカ責任重大である。



「もう日が落ちマスネ。しかし、キレイな夕陽デスネ…。」

「見事な夕陽じゃ、こんな状況でなければ楽しめたものを。唐の者たちめ…。」

水平線へと落ちる夕陽をフェルとナヨは艦橋から眺めていた。
なんとなく持ち場に戻る気が起きなかったのだ。
ナヨ様は若干呪詛を吐いていた。

そんな二人の背中越しに神崎提督も水平線を眺めていた。
南シナ海、台湾海峡、日本海、遠く欧州。
見つめる水平線の先には『もしもの時』に備え他の連合艦隊が展開している。

その『もしもの時』が訪れない事を願わずにはいられなかった。
メヒカリや三十七時間戦争の再来なぞ御免こうむる。

昭和の妖怪の血を引く日本国内閣総理大臣にティエルクマスカ担当大臣の突撃バカ、
そして今回やらかしたやつらに呪詛を吐きながら対応に追われる神崎島の化物政治家共に任せるしか今はない。

明日も明後日も主砲を撃つ機会が来ない事を願いながら大和は航行を続けるだろう。
無線から秋の日のためいきの聞こえないことを祈りながら。

802: 635 :2019/04/26(金) 07:30:37 HOST:p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp
以上になります。
転載はご自由にどうぞ。
反神崎島が盛大にやらかしたらどうなるのか考えたら全世界が戦後夢幻会の二十世紀末の極東アジアじみた状況になるという考えにいたりました。
大陸影響下の国家とそれ以外が対峙する状況が東アジア、ヨーロッパだけでなく、アラビア、アフリカ、東南アジア等至る所で発生、
どう転んでも日本側圧勝ですが利益のりの字もない状況です。
多分反神崎島の心と経済が折れて終了でしょう。

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最終更新:2019年04月30日 12:20