739 :New ◆QTlJyklQpI:2012/01/19(木) 00:34:53
支援SS  ~復活の翼~

その日、ベルリン近郊の飛行場でとある機体が飛行しようとしていた。
名前はJu290C-1重爆撃機。海軍が長距離哨戒任務用に開発していたJu290に似ているが、爆撃機として設計を根本的に改めた機体である。
居並ぶ将兵の中に1人車椅子に乗っている男が居た。彼の名はヴァルター・ヴェーファー。ルフトヴァッフェの初期から戦略爆撃思想を唱えていた人物である。

ルフトヴァッフェは戦術空軍のイメージが強いが、初期には彼の主導で「ウラル爆撃機計画」としてJu89やDo19など4発の戦略爆撃機を開発していた。
しかし、機体数を揃える事を優先した事、ヒトラー政権が近々戦争を計画している事を知ると研究は中止されることになった。
そしてヴァルターがHe70の事故に遭うことで戦略爆撃思想を受け継ぐ人材はなくなりゲーリングやミルヒの急降下偏重の思想に陥る。
幸い史実と違い滑走路上の事故で命を取り留めた彼であったが半身は麻痺し、とても軍務につく事は出来なかった。
BOBや独ソ戦の戦況を見守るしかなかった彼だが在る転機が訪れる。
BOBや独ソ戦で戦略爆撃機の重要性が高まったのに日本海軍の急降下爆撃機の情報を基にゲーリングが更に偏重し始めたので
ルフトヴァッフェ内部でも問題になり、総統もその問題を聞いたためゲーリングを実権の皆無な名誉職に移すことを決断。
ゲーリングは最期まで渋り抵抗したが空軍の総意の前に無意味な抵抗に終わった。
そして総統から直々にヴァルターは指名され「ウラル爆撃機計画」の責任者として復帰、戦略爆撃機製造計画は始まり今日完成を見た。
ゆっくりと滑走路を走り始めた機体は4発の爆音を轟かせながらふわりと離陸し蒼穹の空へと躍り出て行った。

この日を境にルフトヴァッフェは戦略空軍へと方針転換、長距離護衛機や長距離爆撃機の研究開発に乗り出すことになる。

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最終更新:2012年01月30日 21:45