793 :名無し三流 ◆Mo8CE2SZ.6:2012/02/06(月) 22:34:22
現実世界においても、憂鬱世界においても、歴史を作っていくのは人である。
何故なら歴史とは人類共用の日記帳のようなものだからだ。誰かの日記に他人が書き込む事が無いように、
人類の日記帳は、やはり人類にしか書き込む事はできない。
今回は、憂鬱世界の歴史を作る多彩な人物達の様々な発言を集めてみたいと思う。
提督たちの憂鬱 支援SS ~憂鬱世界・有名人名言録~
★日本帝国
一国の軍隊を無敵たらしめるのは優れた装備、行き届いた訓練、そして強い向上心です。
己が無敵であると驕り向上する事を止めた軍隊は、その時点でもはや無敵とは呼べないのです。
ですから、近頃国内に、帝国陸海軍を無闇に『無敵』と呼んでもてはやす風潮がある事に、私は強い懸念を抱いています。
――――嶋田繁太郎、日ノ出新報の取材に対して
国家を人体に例えるとすれば、軍事力は腕力であり、経済力は血液です。
強い腕力を持っていても、貧血でふらふらなのであればそれを活かす事はできません。
――――辻政信、大蔵省職員に経済の重要性を語って
まるで盛大な観艦式のようであった
――――宇垣纏、ハワイ攻略部隊の一連の動向を纏めて
敵さんが弱すぎた訳じゃない、こっちが強すぎただけだよ。
まぁ今晩は寝床の中で『兎と亀』の話(注1)でも思い出しているといい。
――――岩本徹三、ハワイ沖海戦の後、敵機は皆雑魚だったと言う寮機パイロットを戒めて
俺達ベテランの立場は一体どうなるんだ?
――――第1艦隊の某ベテラン対空砲手、新人がVT信管入りの弾で次々敵機を撃墜するのを見て
これからの爆撃機ってのは、こういうブツをぶっぱなす仕事が主流になってくるんだろうな
――――野中五郎、二式無線滑空誘導弾を評して
794 :名無し三流 ◆Mo8CE2SZ.6:2012/02/06(月) 22:35:39
★ドイツ第三帝国
日本海軍に対抗するには、少なくとも2000隻のUボートが要るだろう。
500隻は哨戒、500隻は移動、500隻は整備、500隻は補充だ
――――カール・デーニッツ、日本海軍を評して
潜水艦でしか物を考えられないなら、ウンターゼーマリーネ(UnterseeMarine、水中海軍)でも作ってろ!
――――エーリヒ・レーダー、上記の評を聞いて激怒し(注2)
フィンランドを対ソ戦に参戦させるには、
まず日本を参戦させなくてはならないでしょう(注3)
――――ヨアヒム・フォン・リッベントロップ、ヒトラーから芬蘭の対ソ参戦の可能性を尋ねられて
ソ連を完全に屈服させるなど悪夢でしかありません。そうなれば我々は、
"あの"日本帝国との間にある強力な緩衝材を失ってしまう事になります。
むしろソ連はある程度の国力を保ったまま生かしておく(注4)事が、千年帝国の生存に繋がるでしょう
――――ヨアヒム・フォン・リッベントロップ、ソ連との中途半端な講和にためらいを示すヒトラーに対して
兵器の性能差が戦力の決定的差では無い?――敢えて言おう、"まやかし"であると!
今年度の僅かな開発予算を惜しむならば、将来我が国はその何十倍もの財産を失うだろう!
―――――フェルディナント・ポルシェ、日本兵器の性能を危険視して
我が急降下爆撃隊に粉砕できぬものは無い!
――――ヘルマン・ゲーリング、演説の席にて
日本の爆撃隊と我が爆撃隊で同じ目標に、同じ機体で爆撃を行えば、
そのスコアは我が方が30%も高いという分析がある(注5)
――――ヘルマン・ゲーリング、日本の航空隊の実力を危険視する参謀に対して
電力を失ったラジオがただの箱にすぎないように、独創性を失った放送は電波の無駄遣いに過ぎない。
毎日同じ言葉しか流れてこないラジオに、一体誰が進んで耳を傾けようとするだろうか。
―――――ヨーゼフ・ゲッベルス、ラジオ局への訓示にて
日本人とは何と忌々しい民族だろうか!彼らは断じて、頭の固い連中が言っているような模倣民族ではない。
彼らは歴史を、文化を、人物を侵食し、大衆が受け入れやすい形に歪めてしまう―――その歪みにすら気付かせぬままに!
日本人のハニートラップは狡猾極まりない。彼らのハニートラップは社交界や売春宿の中ではなく、
彼らの本の中に存在する。そしてそれは、全ての題材が読者に与える印象を容易く捻じ曲げる!
――――ヨーゼフ・ゲッベルス、日本の某同人誌内に自分をモデルにした(としか思えない)美少女が登場しているのに愕然として
795 :名無し三流 ◆Mo8CE2SZ.6:2012/02/06(月) 22:36:18
★大英帝国
今や彼ら(日本海軍)が『ロイヤルネイビー』だ
――――アンドリュー・カニンガム、『無敵艦隊』の詳報を聞いて絶望し(注6)
全ての歯車は狂ってしまったのです、あの時(大西洋大津波)から…
――――ハリファックス、自国の現状を嘆くジョージ6世に
今や大英帝国全体を暗雲が覆っている。そしてその暗雲はやがて暗黒となろう。
あらゆる手を尽くしてそれを防ぎ、帝国とその民の未来を守る事こそがそなた達に与えられた使命だ
―――――ジョージ6世、ハリファックスら閣僚を激励して
『足らぬ足らぬは工夫が足らぬ』と言うが、彼らの航空技術は我々の工夫を苦も無く捻り潰してしまう
―――――アーチボルド・シンクレア、日英の技術格差を嘆いて
メキシコ人から見た我々とは、我々から見た日本人のようなものなのだろうな
――――ジョン・トーヴィー、呆気なく壊滅するメキシコ海軍を見て
実際のところ、民主制は最悪の政治形態と言う事ができる。
これから試みられるであろう、他のあらゆる政治形態と比べれば、だが
――――オズワルド・モズリー、チャーチルの発言を皮肉り
★ソビエト連邦
絶対に降伏してはならない。絶対に、絶対に、絶対に、絶対に
――――ヨシフ・スターリン、前線の将兵への訓示文書の中に
ろくでなしのボンボンがくたばりやがった
――――ヨシフ・スターリン、張学良暗殺事件の報告を受けて
良い労働者なら悪い武器は作らない。赤軍に悪い武器は不要だ。悪い労働者もだ
――――ヨシフ・スターリン、NKVDへ軍需工場の工員三十余名の逮捕命令を出した理由を尋ねられて(注7)
雄弁な男どもよりも、美麗な少女の方が人間を奮い立たせることもあるのだよ
――――ラヴレンチー・ベリヤ、美少女写真の有用性を語って(注8)
この反動主義者め!
――――ラヴレンチー・ベリヤ、写真モデルの少女へ"暴行"したNKVD局員を激しく罵って(注9)
こんなボロトラックに赤軍の兵站を預けねばならんとは!
――――ゲオルギー・ジューコフ、前線視察中に瀕死状態でコキ使われる年代物のトラックを発見して
ドイツ人が戦車をトーチカにするのは石油が無いからだ、我が軍にはそれがたっぷりある
――――ゲオルギー・ジューコフ、「敵の防御は頑強で攻勢は無茶です」と言う参謀を宥めようとして(注10)
~Part2に続く……かもしれないし続かないかもしれない~
796 :名無し三流 ◆Mo8CE2SZ.6:2012/02/06(月) 22:36:54
(注1)『兎と亀』の話は日本軍人なら必ず叩き込まれる寓話の1つである。その意味する所は説明するまでもないだろう。
(注2)ストレスから来た暴言ではないかと言われているが、幸運にもこの発言がデーニッツらの元へ届く事は無かった。
(注3)フィンランドの国民感情を考えると、万が一日本が対ソ宣戦を決意した場合、それに追従する可能性は大いにあった。
(注4)偶然か、日本政府にも同じような事を考える者が一定数いたという。
彼らの言によると「ルーデル津浪がソビエト防波堤を超えてくるなんて悪夢でしかない」との事だ。
(注5)この分析の出所は不明である。
(注6)イギリス人の気質を考えると本気でこのような事を言うとは思えないので、おそらくジョークであろう。
(注7)証言によるとこの発言の数日前に銃殺隊の銃が暴発を起こす事件が起こっており、
これがスターリンの軍需工場への不信感を煽ったのではないかとされている。
(注8)『雄弁な男ども』とはヒトラーやゲッベルスなどナチスの重鎮を暗に示しているという解釈もある。
(注9)この『写真モデル暴行事件』後、NKVD内では『女性に対し問題行動を起こした』とされた者達が次々と消えていった。
(注10)本人の回顧録によればジューコフ自身も個人的に、あまりに拙速な攻勢には乗り気ではなかったという。
最終更新:2012年07月05日 14:07