151 :New ◆QTlJyklQpI:2012/03/04(日) 00:30:16

銀憂伝ネタSS ~大日本帝國の人工種族について~

自由惑星同盟や銀河帝国から見た大日本帝國の特異性は様々なものが上げられる。それは東洋的とも言える文化や価値観、両国で失われた歴史や書物、
最早次元が違うと言っていいほどの電脳・義体技術や電子知性体など同盟や銀河帝国から見れば今までの価値観、倫理観が文字通り粉砕されることが
多々あった。その中でも問題視されたのは日本内に居る人工的に作られた種族であり、人権に配慮する同盟や人権意識が希薄であろう帝国でも
両国で彼らとの接触の仕方や扱いに関して様々な議論が交わされた。

この人工種族たちは日本が生みだしたわけではない。彼らのほとんどはルドルフの銀河帝国から日本の「大遷都」時に逃れてきたのだ。

人工的な種族を生み出す試みは、地球統合政府による実質的な地球追放による列強の宇宙の過酷な環境下への進出という困難の中で、
日本やその他の列強が過酷な環境に耐えうる方法を随時模索したことから始まる。日本はその結果として今日の高度な電脳技術と義体と
いう回答を得られたわけであるがその過程で遺伝子操作による”種”そのものを改良するという手段も一時期と試みられることになった。

デザインベビーなどの遺伝子技術は地球時代からドイツを中心に研究され、列強が宇宙に進出してからより発達し続けていた。
そして歴史初と言える人工種族としてシリウス政府崩壊後の暗黒時代に”コーディネイター”と言われる身体や知能を強化したものが
生まれた。彼らは修練さえ積めば今までの人間を秀でるスペックを発揮し、新人類として君臨するかに思われたが同種同士の生殖能
力の低下、容貌やスペックが違うことによる捨て子の増加によって問題視され、銀河連邦成立時に遺伝子操作関係の実験の制限によって
彼らは市井に交じってひっそりと自然消滅していった。

その後、銀河連邦内で合法的に(一部灰色も含めて)研究は続けられたが開拓事業などに予算を取られ文字通り日蔭者だった。
しかし、銀河連邦が衰退し、腐敗による法の形骸化がこの研究を再び表舞台に上げた。
安い労働力や危険な仕事を任せるための隷属種族を目的に研究は活発化し始め、後に白鳥腕で遭遇した”アーヴ”などが生み出された。
そして需要はより高まり寿命を大幅に伸ばした種族や娯楽用に”エルフ”や後に”追那人”と呼ばれる猫耳・尻尾の種族など生命倫理の欠片もない
生命の濫造がなされた。

そしてルドルフの台頭と共に彼ら人工種族は危機的な状況に陥る。社会が健全化し始めると不法に人工種族を作ったことを隠蔽するための
虐殺や労働者の職を奪ったとして迫害が起こり、彼らのほとんどは逃亡し、辺境の惑星などで独自のコミニュティを形成していった。
しかし、生きていく上で海賊と協力関係を構築したり、自ら海賊行為に走ったためルドルフが権力を掌握すると犯罪者の温床
として徹底的な弾圧を受けた。そうして弾圧から逃げ、追われる内に彼らは辺境の大日本帝国に流れ着くことになる。

銀河連邦に所属しつつも辺境にあり、独自の内政や有力な戦力を持っていた日本では弾圧の手も伸びてこなかったのだ。
無論日本としては迷惑なことに違いないが「大遷都」を計画してたので対処する暇も惜しく、また世論も独自の文化”萌え”故の
保護の声も大きく最終的に彼らを受け入れる事に決定した。こうして人工種族らは大日本帝国の一員になり「大遷都」時に日本
と共に銀河の中心部へ旅立ち、帝国内で独自の文化圏を築きながら繁栄することになる。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2012年03月06日 21:42