学園都市には7人の超能力者(レベル5)が存在する。
その超能力者の集う学園都市内にて最強である超能力者。
未だ存在していない絶対能力(レベル6)に到達出来る者は1人。
その唯一絶対能力に辿り着ける者を『一方通行』と呼ぶ。
「くだらねェ」
漆黒の暗闇を染める建物、どうやら学校らしき施設で目を覚ました細身で髪は全てを白に染まった青年の一言であった。
「殺し合いねェ。まさか連中がこんな最終手段を使うなんてなァ」
妹達。
一方通行が虐殺を続けて自分が無敵(レベル6)になる為の進化実験が続けられていた。
だが彼は今年の夏、最弱(レベル0)である上条当麻との戦いにて負けたのである。
やがて一方通行の敗北により絶対能力進化実験は凍結したのであった。
彼自身、もう実験が進められる事はないだろうと思った矢先にこの殺し合いに参加をさせられた。
強制的にである。
「参加者は100人なァ」
一方通行の握る薄っぺらい紙の参加者名簿。
『超電磁砲』と『最弱』の名前が刻まれていた。
「これなら確かに有り得ない話じゃねェなァ……」
一方通行は1つの推測をたてていた。
この殺し合いは『絶対能力進化実験の再開』なのではないかと。
考えられない話ではない。
見せしめとして殺された少女は決め手に欠けるが3番目に殺された青年の事であった。
彼には肉体変化の能力があった。
それなりに強そうな能力であったし、最低でも妹達よりは強かったであろう。
それで彼は思ったのだ。
もしかしたらここのバトルロワイアルは別世界の強い能力者達を集めさせ、最終的に無敵に進化させる為のバトルロワイアル実験なのではないのかと。
その絶対能力に進化出来る者を判断したのは自分だけか、もしくは別に判断したのかはわからない。
もしかしたら御坂美琴、上条当麻も絶対能力に成れる見込みがあるから呼ばれたのかもしれないし、他何十人も集めたのかもしれない。
「能力制限とやらでデフォにしている反射は無くなっているしなァ」
銃の弾丸すら跳ね返す『向き』変換も多用出来なくなっている。
この制限も彼にとって、力を大幅に下げる事による経験の向上として100人殺すだけで絶対能力に成れる計算結果だと思い至った。
「まァ、それは連中が絡んだらの話。一般人のみのバトルロワイアルなら俺は進化なんか出来ねぇだろうしなァ」
だから一方通行は参加者を待つ。
- もし能力者集いのバトルロワイアルなら自分はその実験に従う。
- もし一般人集いのバトルロワイアルならむかつく主催者共を叩きのめす。
やがて、一方通行の前に参加者が現れる。
左肩を銃かなにかで撃たれた様な怪我をしていて、つらそうに顔を歪める青年。
その青年の名前は古泉一樹である。
●●●
「なんですか、あなた……?僕の邪魔をしないで、いただきたい」
古泉は一方通行に話かける。
が、一方通行はなんの反応を見せない。
互いと互いが睨み合う。
一方通行は出方を伺う為。
古泉は今はあまり戦いたくない為。
無言のままただ時間が流れる。
「(このままじゃ拉致があかねェなァ)」
一方通行が先に見せた退屈の表情が始まった。
その表情の変化に古泉が一層警戒心を強める。
「お前、……能力者か?」
はじめて古泉に発した言葉であった。
古泉は顔を強張る。
Noという強張りか?
Yesという強張りか?
「さっき僕は青年と少女と争いました。その戦いをあなたは見ていましたか?」
「見てねェ」
古泉は普段通りの丁寧語のままその答えを一方通行に見せた。
「ならあなたもその類の人間なのですね」
彼の所属する機関にこの様な男は居ない。
おそらく涼宮ハルヒを狙う勢力だろうと古泉は敵と判断する。
「涼宮さんに手は出させませんよ」
古泉の手に光球が浮かび上がる。
本来は閉鎖空間内でしか扱えない超能力。
疑問を持っていた古泉であったがその能力を古泉は使用する。
「はぁっ!」
一方通行に向かう光球。
先ほどの2人は逃がしたが今回は命中させられる。
逃げようともしない相手に古泉は勝ちを確信していた。
「確かにつえェ能力かもしれんがレベル4止まりだろォが!」
演算能力をほぼ一瞬で終えた一方通行は命中の寸前光球を反射させた。
その反射された光球は当然古泉に跳ね返ってくる。
「なにぃ!?」
このまま何もしないと命中する。
だが逃げる瞬間に命中にするかもしれない。
古泉もほぼ反射的にもう一発の光球を右手から放って相殺させた。
辺りに煙が上がる。
古泉と一方通行の視界が見えなくなり、その間にお互いがこのバトルロワイアルの考察をするのであった。
「(涼宮さんを狙う奴らまでバトルロワイアルに参加しているのかっ!?)」
「(やっぱりこいつは絶対能力進化実験!?)」
お互いが大きな誤解をしながら、煙はゆっくりと晴れていくのであった。
●●●
「はァン!」
一方通行は廊下に設置されていた消火器を手にし、それを下に落として地面落下の直前に蹴り出し、古泉目掛けて消火器が変に曲がりながら襲う。
「その程度まだまだですっ!」
光球を放ち消火器を破壊する。
すると辺り一面に消火器の粉が散らばる。
「はははははァァァァ!」
一方通行は狙っていたとばかりにその粉が散らばったところに駆けつける。
あとは彼に触れて血の向きを逆流させればそれで終わりであった。
「ァン?消えただァ?」
だがそこには人影らしき人影がない。
そんな一方通行の目をすり抜ける様に一粒の光球がこの場を離れていた。
●●●
「上手くいきましたね……」
古泉の予想通り一方通行は粉が舞い散った瞬間攻撃を仕掛けてきた。
古泉はその間に自ら光球となり逃げ出したのだった。
「まさか神人を倒す為に使われる能力が逃走用に使われるとは皮肉ですね」
古泉は目的地の保健室に辿り着く。
そこで自分の怪我やこれからの怪我の事を考えてたくさんの量の薬や包帯をデイパックに仕舞い込む。
「ここでは敵が多すぎます。この学校から逃げましょう」
棗恭介、伊吹風子、一方通行。
名も知らない3人と既に敵対しては逃がしてばかりいるのだから。
古泉はこの学校から逃げ出す為、そして誰も居ない民家に隠れる為、また自ら光球になって窓から飛び出したのであった。
【G-5 中学校、保健室付近/黎明】
【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×2】
【状態:疲労(小)、左肩に銃創】
【思考・行動】
1:涼宮さんを優勝させる。
2:対主催思想持ちの強者は上手く利用していきたい。
3:民家に逃げる。
【備考】
※『涼宮ハルヒの暴走』終了後からの参加です。
※超能力は使えますが、威力が抑えられています。
「ちィッ、まァつまんねェ間引きだがしゃァねェなぁ……」
頭をボリボリと掻きながらつまらなそうに呟く最強。
まるでいつだって殺せるという様な余裕が彼からは見える。
「まずは、この建物を出てから参加者を殺していくか」
自らが最強のレベル5から無敵のレベル6になる為。
一方通行は実験を続けるのであった。
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×3】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:不本意だがこの実験に付き合う。
2:レベル6になる?
【備考】
※このバトルロワイアルを絶対能力進化実験だと思い込んでおります。
※能力は制限されています。反射はデフォルトは出来ません。また向きの変化能力も制限されていますが、どのくらい制限されているかは次以降の書き手さんにお任せします。
最終更新:2012年06月09日 23:40