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――もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ――








時刻は午前八時を少し回った頃、場所はD-4エリアの森の中。
鬱蒼と草木の生い茂る森の中、無言で立っている少女。
そこに居るだけで、他人に少なからず畏敬の念を抱かせる高貴な存在。
セイバーのサーヴァント、騎士王アルトリア・ペンドラゴンはそこにいた。
オルタ化したせいで、平常時とは属性が反転し、柔肌は青白く、碧色の瞳は金色に変化している。
しかし、それでも、少女が相当の実力者であることは、見る人が見ればすぐさま理解できるであろう。
総身から放出される魔力量は、並のサーヴァントでは遠く及ばない。
真っ黒に変色し厳めしい雰囲気を纏った鎧は、並大抵の攻撃ならば、その強靭さをもって跳ね返してしまえそうに思えるほどだ。
“闇に染まった”という形容がこれほど相応しい者は、そういない。
そんな騎士王は、現在、三文芝居をそれと知らずに見てしまった観客と似た顔をしていた。


原因は、つい数分前に島中に響き渡った番外放送に在る。
進行役の郷田真弓が告げた内容如何に興味はなかった。
だが、言葉の端々から、騎士王を見下すかのような印象を受けたのだ。
そもそも、名高き騎士王を、無許可でこの場に召致した時点で、本来ならば許されざる狼藉だ。
しかし、主催者の悪辣な行動はそれ以上だ。
首輪を嵌め、優勝した場合の褒賞を提示し、殺し合いが始まれば、嘲笑うかのように放送を繰り返す。
それらの行動はつまり、騎士王を慰み物扱いしているのと同じこと。
誇り高き王として生きた少女が、怒りを覚えるのは至極当然だった。
例え主催者にそのつもりがなくとも、短時間で二度も、嘲笑を裏に秘めた言葉を聴かせては、騎士王の憤慨は免れなかっただろう。
この世全ての悪に染まろうと、高潔な騎士王としての理想は残っている。
その名を、地位を、力を、道具の如く軽んじるような扱いは許容できない。
主催者はいずれ一刀の元に切り伏せる。
それが、騎士王の出した結論だった。


しかし、それは飽く迄“騎士王”としての結論。
誇りや名誉などの私情を挟んでしまうそれは、理性的な判断とは言い難い。
ただ、聖杯戦争のサーヴァントとして召喚された記憶も存在する彼女は、感情のままに動くことはしなかった。
即ち“セイバー”としての冷静な思考も、同時に行っていたということだ。
セイバーは、英霊として与えられる時空を超えた知識を、諸々の理由から与えられていない。
ただそれでも、現代社会に召喚されてから今までの経験は、この状況を分析することに役立った。
そして判断を下した。
『主催者に自分ひとりで立ち向かうのは困難である』と。


この判断を下したのには原因がある。
それは『主催者は強大な力を有している』と、考察の結果、確信したことだ。
ここでいう力とは、魔力だ。より具体的にいうならば、魔術を行使する力だ。
主催側に『魔術かそれに準ずる力を有する者がいる』のは、まず間違いない。
セイバーの身にも掛けられている、能力制限。
それには確実に魔術的要因が絡んでおり、一般人には不可能だ。
そもそも“サーヴァント”自体、一般人にとっては、全くもって未知の存在である。
英霊を知るのは、神秘を探求する魔術師のような輩だけだ。


成程、百人の人間を集めるだけならば、財力があれば可能だろう。
しかし、その中に英霊が混ざるとなれば、英霊に対応できるエキスパートが必要、というわけだ。
そう考えたときに真っ先に候補となるのが、魔術師。
それも、七騎のサーヴァントを、彼ら全員が気付かない内に一つの島に転移させるなどという、離れ業を行えるほどの実力者。
そう考えれば“魔法使い”と呼ばれる者の可能性もある。
どちらにせよ、強大な力を持つ魔術関係者が主催側にいるということは確実。
よってセイバーは、一人で立ち向かうのは、些か無謀が過ぎる、と考えたのだ。


そこまで考えて、セイバーは自身が弱気になっていることに気付いた。
悪に身を染めた暴君らしからぬ、消極的な思考をしている。
なぜだろうか。
考えても答えはでなかった。
そもそも思考するという行動そのものが自分らしくないと、セイバーは無理矢理に思考を断ち切った。
しかし、胸中に出来たわだかまりは、消えずに残ったままだった。


戦術や軍略とは異なる頭の使い方をしたセイバーは、少々疲れていた。
とはいえそれは、肉体的な疲労ではなく、精神的なもの。
十分な食事を摂り、少しばかり休めば治る程度のものだと考えたセイバーは、デイパックから基本支給品の食料を取り出した。
そして、顔を顰めた。手には質素なパンが一つだけ。
結構な大きさのそれを、セイバーは僅か一分足らずで食べきった。
しかし、到底足りないと不満を漏らすかのように、鎧の下から音がした。
魔力の供給が十分な状態ではないのか、などと考えながら、セイバーは更にデイパックを漁った。
明らかに容量を超えている物でも入るデイパック。
この容器も魔術が絡んでいるな、などとも思いながら、中身を探り、そして発見する。
幾つもの平べったい箱。表面には妙なマーク。
濃厚なチーズの香りが、隙間から漂ってくる。
セイバーは確信した。これは自分の好きなモノだと。
そして、箱のふたを開けるや否や、目を輝かせてそれを食べ始めた。








――もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ――





吹く風にも、ざわめく木々にも、なんら関心を示さず、ただひたすらに食べる少女。
ジャンクフードを愛好するというのもまた、悪に染まったせいなのか。
黒き少女の優雅とはかけ離れた食事の時間は、まだ始まったばかりだ。
そして、バトルロワイアルもまた然り。


「せいぜい優越感に浸っていろ、主催者共。
 この騎士王を慰み物扱いしたこと、その身を以て償わせてやろう」


参加者の威勢がどれだけ良かろうと、まだまだ、終わりはしないのだ。


【D-4 森/午前】

【セイバー(セイバーオルタ)@Fate/stay night】
【装備:浅打@BLEACH】
【所持品:支給品一式(食料を消費)、ピザ×195@コードギアス 反逆のルルーシュ、ランダム支給品×1】
【状態:健康、食事中】
【思考・行動】
0:――もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ――
1:バトルロワイアルを楽しむ。
2:主催者はいずれ切る。
【備考】
※Fate編のギルガメッシュ戦終了後から参戦していました。
※記憶はまだ覚えているかもしれません。
※主催者側に魔術師かそれに近い存在がいると考えています。



【ピザ×200@コードギアス 反逆のルルーシュ】
参加者の一人であるC.C.の好物。200枚セット。
セイバーに支給。


099:零れたカケラ達 時系列 105:*~アスタリスク~
107:CODE:Revise 投下順 109:acceleration
082:光と絶望の境目 セイバー [[]]
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