彼女が親友を見つけるのにそう時間がかからなかった。

竜宮レナ。
少し変な子でいつもぼーっとしている女の子。
行動も少し変で、近所のゴミ山で本人曰わく『かぁいい』物が好きなのだがセンスが良くわからない。
でも普通に可愛い物も好きで、毎日毎日お持ち帰りしようとしては周りに止められる。

「レナ……。良かった……」

親友の無事な姿が見えて安心する。
園崎魅音は同じ仲間であった北条沙都子を見せしめで失っている。
命に変えても前原圭一、竜宮レナ、古手梨花、そして双子の妹の園崎詩音を護らなくてはいけない。

一番の年上で、部活動の部長である自分園崎魅音が、と……。

だが安心出来たのもレナを見つけて10秒のみ。
声をかける暇すらない。

レナに弓を向ける赤い外套の男の姿が見える。

アーチャーの赤原猟犬の一撃が竜宮レナのその心臓を一直線に狙うが、本人が気付かぬまま。

また親友を失うのか?
また何も出来ないまま……。
ただ見ているだけか?

「レェェェナアアアァァァァァ」

無我夢中。
今ほどこの言葉が相応しかった体験は始めてであった。

グチャリ……。

盾となった魅音の体を赤原猟犬が突き破り、先端にぐちゃぐちゃになった心臓と一緒に背中から剣が貫通した。

地面のアスファルトは水が染み込んでいく様に血を吸っていく。
そんな残酷な絵なのにどこか風情が感じる。

腹に小さな貫通した穴の開いた体の少女は動く事もしゃべる事も笑う事もなかった。
ただ死んだだけであった。


【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に  死亡】


―――――

なんだこれは?
どうして魅ぃちゃんが私の目の前で、飛んできた剣に突き刺さって死んでいる?

周りを見渡しても犯人らしき奴はいない。

『天気予報では剣が降ります』
ふざけんな……。

私に怯えて逃げ出したんだろ、ゴミがっ!

どうして私はまたこんなに早く親友を失ってしまう。

魅ぃちゃんが……、沙都子ちゃんが……。
殺された理由は何?

神様に問いたい。
「どうして毎日、毎日、私の大事な物ばかりを盗んでいくのか?」

答えは……、決まっているよね?
うん、決まっている。
だってそんなの考えれば当たり前だもん。






「神様なんか居ないんだっ!」





私の声だけで街中が震えているのが聞こえるよ?

何、今更神様が私に脅えちゃったのかな?

――ふゅぅ。
風が弱く吹く。
まるで私に許しを乞う様に。

今更の同情?
要らない!

神様が今からその不幸ぶんを私に幸せにする?
要らない!

「神様はバカなんじゃないかな……?『青い炎』の私はその『青い炎』を触媒に『青鬼』になるよぉ……」

喉の痒みが走る。
うん、この自分の喉を引っ掻いてストレス発散するよ。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

痒い。
痛い。
ストレスが溜まる。

「さぁ、魅ぃちゃんもこのまま負けていられないヨネ、部活動でもよく言うもんね」

『負けたらやり返さないとね』

「魅ぃちゃん、私を見てて。魅ぃちゃんの無念も沙都子ちゃんの無念も晴らさないとね」

魅ぃちゃんの形見になったデイパックをもらい中身だけを私のに移し替える。
魅ぃちゃんのデイパックには何か大切な物を入れておきたいな。

いつも持ち歩いている魅ぃちゃんのバックは当然ない。
いつも入れているモデルガンとかを残したかったんだけど……。

「ん……?」

そういえばアレが消えてるね。
魅ぃちゃんを殺した剣。

「あれは幻?……じゃあ私は魅ぃちゃんが剣で貫いた幻覚を見ていて、本当はただお腹が開いただけなんだ」

あはははははははは。

笑えるね。
笑えないね。

あはははははははは。

「トリックだね。犯人見つければわかるか」

喉を掻き毟りながら魅ぃちゃんの形見を考える。

「魅ぃちゃんに見せたいなー……。私の敵討ち」

じゃあ、あれにしよう。



―――――

「ふぅ……。なかなか島は広いですわね……。お姉さまも見つかりませんし……」

常盤台中学のエース、御坂美琴に恋する乙女、ジャッジメントこと白井黒子ですの。

さっきは戦闘マニアの殿方に負けて少し落胆してましたけど今はそんな事も言ってられませんの。

あれから誰とも出会っていませんし、ずっと歩いていて疲れ始めましたわね。

「おや?」

どうやら人を発見。
同い年ぐらいのデイパックを2つ抱きながら持っていて可愛らしい女の子ですの。

拾ったりしたのかしら?ゲームには多分乗ってないと思いますけど。
もしかしたらお姉さまを知っているかもしれませんの。

「そこの可愛らしいお嬢さん、ちょっと話をしてくださらないかしら」
「お前が魅ぃちゃんを殺した犯人だろ!」

抱いていたデイパックに手を突っ込み刀を向ける少女。
あら?ゲームに乗っている?

いや、言動からすると死んだ友達を見つけてデイパックを受け継ぎ犯人探しといったところかしら。

「私は知りませんわ、殺しなんかしませんの」
「嘘だっ!」

耳を防ぎたくなるくらい大きな声。
怒りの大きさがハンパではありませんの。

「人を殺した奴は殺したとは言うもんか!隠すに決まってる」
「疑っても事実ですわそれは」
「えっと……使い方……確か……」

何かの呪文かしら?

「咆えろ『蛇尾丸』」
「え……?」

刀が分断し、伸び始め、私目掛けて蛇の様に不規則に私を襲ってきましたの。

「交渉どころか会話すら無理ですのね」

私は刀が届かなくなる位置までテレポートで逃げ出す。

「罪から逃げるなっ!」

だから罪なんておかしてませんの。

「がああぁぁぁ」

彼女の怒りの叫びが、空気の振動がわかってしまうくらいに強く、憎しみがわかる。
彼女には構えないですわ。
テレポートで逃げますの。

―――――

「さっきから私はロクな目に逢いませんのね」

雲雀恭弥。
竜宮レナ。

今日の白井黒子には人物運が低い様だ。
これから彼女はどんな人物に会えるのか。

「おや、人が倒れていますの?」

と、すぐに人と出会った。
いや見つけてしまった。

周りにデイパックはない。
恐らく先程の少女が持っていた物であるのは容易に推理出来る。

だが、そんな事はどうでも良い。
人が死んでいるのだ。

「な、……なんなんですの……これは……」

ただ人が倒れて死んでいるだけなら彼女はこんなに怯えなかっただろう。
今や彼女に竜宮レナを軽くあしらった冷静さはもうない。
床にビンを落とした様にそんな余裕さはバラバラに元に戻らない様に砕けてしまった。

「……ぁぁぁ」

悲鳴にすらならない。

白井黒子の目に映ったのは、倒れていて腹に穴が貫通していて、首より上がない死体だった。

周りのどこにも首がない。

――月明かりが首輪をキラリと照らした。



【G-6 街/未明】

【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×3】
【状態:動揺、精神的大ダメージ】
【思考・行動】
1:お姉様を捜す……。
2:なんですのこれ……。
【備考】
※夏休み終了後からの参戦です。
※『空間移動』は制限されています。移動は10メートル以内で連続の使用は体に負担が大きくなり、また物を体内や柱に入れる事は出来ません。



―――――

「今の人逃げ足速かったなー。まぁあの人が犯人って決まったわけじゃないし追う意味はあまりなさそうだね、まぁ挫けないで頑張ろうね、魅ぃちゃん」

魅音から受け継いだデイパックに魅音の形見を入れたレナはその形見に顔を向けていて、まるで形見と話しているみたいだ。

何故かその形見の入っているデイパックは赤く染まり、血が滲み、地面に点々と水滴の様に垂れて地面を染めていた。



【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
【装備:蛇尾丸@BLEACH】
【支給品:支給品一式、ランダム支給品×5】
【状態:精神不安定、喉元に掻き毟った痕、雛見沢症候群】
【思考・行動】
1:魅ぃちゃんを殺した犯人を、形見の目の前で残酷に殺す。
2:魅ぃちゃん、沙都子ちゃんの仇を討つためにこのゲームを潰す。
3:圭一くんたちを探す。
※『皆殺し編』、綿流し祭開始直後からの参加です
※魅音のデイパックを受け継ぎました。
※雛見沢症候群L3末期〜4に発症しました。



【雛見沢症候群について】
L3末期で幻覚や幻聴を見聞きしてしまいます。
L4では、まだ理性は残っている。異常な行動、極度な疑心暗鬼、人間不信が目立ちはじめる為圭一、梨花、詩音ですら信じられないかもしれません。



【蛇尾丸@BLEACH】
阿散井恋次の斬魄刀。刀が分断して伸びて蛇の様に不規則な動きで相手を斬りつける。解放は「咆えろ『蛇尾丸』」。



034:するがの法則 時系列 059:ぜんきちタイガー
028:少女の戦 投下順 030:こわしや勇治
012:皆の世界をまもるヒト 竜宮レナ 109:acceleration
002:ジャッジメントですの! 白井黒子 093:騎神咆哮バーサーカー
START 園崎魅音 DEAD END

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最終更新:2013年07月15日 20:25