運命の少女と異界の悪魔


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聖杯戦争。
「万能の釜」また「願望機」とも呼ばれる、手にした者の望みをかなえる存在である聖杯をかけ、7人のマスターたちがそれぞれサーヴァントと呼ばれる英霊を従えて競い合う戦い。
サーヴァントのクラスはそれぞれ「セイバー」、「アーチャー」、「ランサー」、「ライダー」、「キャスター」、「アサシン」、「バーサーカー」に分かれる。
サーヴァントを使役し、その中で最後まで生き残った者が勝者となる。
来る時節である今宵もその戦いの火蓋が切って落とされようとしている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「勝ったわ・・・!コイツなら・・・!」

古手神社の祭具殿の中、「コイツ」の召喚に成功し、私はようやく希望を持つ事が出来た。
今までが本当に散々であった。
私はその前後を知覚していないが、ひたすらに殺され続けるだけであった。
珍しい時は、私よりも先に圭一が死んでしまったか。
とにかく、私は永遠の6月を繰り返し続けていた。
誰も不幸にならず、誰も死なない、そんな世界を目指して。
しかし、そんな幸せな結末はいくら繰り返せどもそうそう来てくれるものではなかった。
だから、私は・・・!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・ハッ!」

私は、まるで悪い夢を見た後のようにいきなり起き上がる。
      • いや、実際に悪夢であったのだ。
何があったかは分からない。
だが、殺されたらしい事はわかった。
冷や汗が滴った。

「大丈夫ですか、梨花?」

呼び声のした方を振り返ると、そこに羽入がいた。
私を心底心配そうに見ている、余程酷い顔でもしていたのだろう。
少し自分を落ちつけて周囲を見渡す。
      • どうやらいつもの倉庫の中らしい。隣で沙都子がスヤスヤと寝息を立てている。
外は早朝の明るさを示していた。
カレンダーはいつもながらに6月のままだ。
一通り確認を終えると羽入に返事を返す。

「・・・ええ、大丈夫よ。」
「・・・」
「また、失敗した。もう何度目なのかさえ数えるのも飽きるくらいに起きるいつものパターンだったわ。」
「梨花、とても言いにくい事なのですが・・・。」
「・・・何?」
「もう、梨花の望むカケラを探す為の余力が残り少ないのです・・・。」
「何ですって!?」
「だから・・・あと数回のうちに梨花の望むカケラが見つからなければ―――」
「終わり、って事ね。」

私は出来るだけ冷静なフリをしていたが、内心は完全に焦っていた。
今まで何度も「死ぬ」経験をしてきたのに私が生きているのは、私にカケラを探して「世界」を飛び回る力があるからだ。
でも、その力の余力も残りが少ない。
つまり、あと何回かのうちに私の望むカケラが見つからなければ力が尽きた時点でゲームオーバー。
二度と幸せな未来を迎える事が出来ないのだ。

「・・・さて、今度はどうしようかしら?」
「梨花、わかっているとは思いますが―――」
「迂闊な行動は出来ない、って言いたいのでしょう?もちろんよ。」
「・・・」
「さあ、行きましょう。今度はどんな展開からなのかしら?」

そう言って布団から起き上がり、朝食の準備に取り掛かろうとしたその時、羽入が驚くべき事を喋り始めた。

「・・・これはどうしても話したくなかった事なのですが、今度ばかりは話そうかと思うのです。」
「・・・何?」
「僕がこのカケラに飛ぶ間に見たとあるカケラの話なのです。そこでは、7人の人間が生き残りを賭け、それぞれ一体ずつ自らの従者――サーヴァントとかいう存在を戦い合わせてなんでも望みが叶うという物体を手に入れるために殺し合いをしていたのです。」
「・・・何ですって?それは本当なの!?」
「はい、本当なのです。思いっきり別の世界なのですが、確かにそのようなカケラが存在していたのです。」

何てことなの・・・
まさか、そんな世界が存在するなんて・・・!
私は羽入に詰め寄り、質問攻めにし始めた。

「何で今まで黙っていたの!?」
「はぅあぅ!?そんなに怒らないでほしいのです!この世界は雛見沢とは違って、常識的には考えられない事がたくさん起こっていたのです!もしこんな世界に試しに梨花を送ったりしたら絶対あっさり殺されていたのです!」
「あっさり殺されるですって!?そんな訳ないじゃない!その従者さえいれば大丈夫なのでしょう!?」
「その従者を呼ぶのにある条件が必要なのです!梨花にはそれがなかったから、そこに連れて行っても何もできずに殺されると思ったのです!」

なるほど、そんな理由があったのか。
確かに、そんなチャンスがあってもあっさり殺されるようでは意味がないし、力の無駄だ。
私はそう思うと、少し息を落ちつけて再度質問しだした。

「その条件って何なの?」
「はぅ、確かあの世界の人たちは令呪とか言っていたのです。」
「それは何なの?」
「手の甲についた訳のわからない模様なのです。」
「どうやったら手に入れられるの?」
「わからないのです。そこの人たちは聖杯――あらゆる願いを叶える存在が選ぶとか言っていたのです。」
「つまり、それに選ばれればいいのね?」
「多分そうだと思うのです。」
「それに選ばれる方法については何か話してなかった?」
「確か、強い願望を持つ者を選ぶとか言っていたのです。」
「それだけ?」
「そういえば、何か変な図形みたいなのを描いてからその模様が現れた人もいたのです。・・・あっ!あと、何か呪文みたいなものも唱えていたのです。」

羽入の話から大体は把握できた。
聖杯が選ぶような強い願望を持ち、さらにその変な図形を描いて呪文を唱えればその従者を呼べて、聖杯を賭けた戦いに参加できるのね。

「その呪文は思い出せるの?」
「あぅ~、ダメなのです。あの人は途切れ途切れに、しかも時々呪文を間違えては訂正をしていたので何が何やらサッパリなのです。・・・!」
「どうしたの?」
「別の人の呪文なのですが、思い出したのです!」
「よくやったわ!で、どんなのなの?」
「え~っと、確か―――」

そう言って、羽入は呪文を唱えだした。
私はその言葉を一言一句漏らさず聞きとり、早速そのサーヴァントを呼ぶ準備を始めた。

その世界の人間曰く、サーヴァントは霊的な場所・神聖な場所で呼ぶのがいいらしい。
私は、羽入が見てきたそのままの図形を祭具殿の床を大きく使って描いた。
完成したものを見てみると、確かにそれっぽさが溢れている。
そして、触媒と言われる物体を近くに置いて準備完了。
あとは、呪文を唱えるだけ。
ちなみに触媒は重要な物らしいので、強いサーヴァントを手に入れるため、羽入に様々な世界を渡って探してきてもらった。
羽入はその手にピンク色の光に包まれたカケラを持っていた。

「始めるわよ?」
「いつでもいいのですよ。」

それを聞いて、私は呪文を唱え始めた。

「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に、我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

その瞬間、周囲は目が眩むほどの光に包まれ、図形の中心に何かが現れた。
光が収まったのを確認して、図形の中心を見る。
そいつは青いパーカーを着て、背中に剣を一振りと機関銃を装備していた。
そしてそいつは何もしゃべらず、私の目をただじっと見ていた。
その瞳は赤く、とてもギラギラしていた。

「・・・成功、したの?」
「おそらく成功なのです。こんな感じで呼ばれていたのです。」

私はそいつを見て確信し、そして言った――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
私は気分が高揚していた。
右手を見ると、そこには何かわからない模様が浮かび上がっていた。
さらに気分が上がる。
これでようやく聖杯を賭けた戦いに参加できる・・・!
こいつの名前くらいは聞かなければいけないと思い、ひとまずその気持ちを落ちつけて尋ねた。

「あんた、名前はなんていうの?」
「・・・・・・・・・」
「ちょっと、聞いてるの?」
「・・・・・・・・・」

無反応だ。
訳が分からない。
もしかして、どこかに失敗があったのだろうか?
そう思ってそいつを触ろうと近寄ると、いきなり剣が鞘から少し抜けてカタカタと動き始めた。

「ダメだぜ、嬢ちゃん。俺の相棒は嬢ちゃんのせいで言葉を失ってるんだ。」
「はぅ!?」
「何!?」

羽入も私も本気で驚き、一歩退く。
もしかして、今のは剣が喋ったのだろうか?
私たちの驚きを軽くスルーしながらその剣は話し始めた。

「あんた、今さっき俺達を呼ぶときに呪文を唱えていたな?」
「・・・え、ええ。それが何?」
「そいつはサーヴァントを狂化するために唱える呪文なんだ。だから相棒は言葉を喋れなくなっちまった。」
「つ、つまりどういう事なの?」
「バカみてえな力は手に入れられるが、反面理性のある行動がとれなくなる。ほんとにとんでもねえ事してくれたな、嬢ちゃん。こいつを普通に呼んでいればもっとマシなサーヴァントになったのによう。」
「・・・私は何か間違ったの?」
「いんや、別に。ただ俺から言わせてもらうならば、こいつはあんたの判断ミスだということだ。」

とりあえず、なんともないらしい事だけは理解できた。
さっきの驚きから回復し、私は今度は剣に尋ねる。

「あんた達は何者なの?」
「俺達っつーか、俺の相棒だな。俺の相棒はバーサーカー、真名は平賀才人。神の左手、ガンダールヴさ。そして俺はデルフリンガー、デルフって呼んでくれ。」
「強いのね?」
「それはあんたが確かめな。俺から言う事は特にないね。」

一通りの事は確認したと思い、今度は羽入に尋ねる。

「どうやらサーヴァントの召喚には成功したみたいよ。次はどうすればいいの?」
「・・・あ!ちょっと待つのです。」

今更さっきの剣が喋るショックから立ち直ったらしい。メンタルの弱い神様だ。
羽入は立ち直ると、目を瞑って祈る仕草をした。
すると、また図形が光りだした。今度は赤くうすぼんやりとした光だった。

「さあ梨花、その図形の中に入るのです。」
「何をしたの?」
「あの戦いが起きようとしているカケラの時点に飛べるようにしたのです。」

これでようやくピースは整った。
あとはあの戦いを勝ち抜くだけ・・・!

「行くわよ、平賀才人、デルフリンガー!」
「おうよ!」

その返事を聞いて私は図形の中へ飛び込んだ。
私の強固な運命を打ち破って、幸せな未来を手に入れるために・・・!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――冬木市へ飛ぶ最中――
「羽入、あんた何であんな呪文を私に教えたの?」
「はぅ!でもでも、間違ってはいなかったのですよ?」
「でも、本来ならそのままで強いサーヴァントを無駄に狂化してしまったのよ?」
「あぅあぅ~、梨花、そんなに怒らないでほしいのです~。」
「・・・あっちについたら、とっても辛いものが食べたいわね。」
「はぅ!やめてほしいのです、梨花!そんな事をしたら僕の舌が――」
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