「終焉」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

終焉」(2006/11/23 (木) 00:37:42) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

少女の剣は強く大きく、どうあっても勝ち目は無かった。 ここまでの体力の消耗の激しさに、つい腰を地に付けてしまう。 「どうする…」 剣を持ってジリジリと近づいて来る少女に、ローティスは手を上に上げた。 「降参ですよ…"燐"…」 「やっぱりそうなのか…」 「私は卿に付いていけなくなったんです。それだけの事。 どっちにいても目的は変わりません」 言いながら、ローティスは銃弾を抜く。 「一つ聞いても良いですか?」 「…なんだ」 「もし私が降参しなければ、貴女は私を殺しましたか?」 「……」 「…殺しはしないけど、動けなくはさせましたよね?  私が死んだら、戒が可哀相だ…と思って」 「…適わんな。相変わらず良い勘をお持ちじゃないか」 「お褒めに預かり光栄です」 会話をしながら別の銃弾を詰めて、上に3発発砲する。 -帰還の合図-。 「これで完全に貴女と私が殺し合う必要はなくなりました。 あの坊やも無事に帰しますよ。私が保証します」 「坊やって…アンタはよく知ってるだろ?師匠なんだから」 「…さあ?何の事だか」 ローティスは悪戯っ子のように笑って、近くの木に捕まりながら立った。 「でも…成長しましたね。弾筋が鋭い上にスピードも出て来てます。 …それだけ、想いが強いんですね、"帆希様"は」 「炉都…」 「私はそこまでの想いはありませんから。ただ…」 「ただ?」 「技術と度胸は、私の方がまだ上ですよ」 そう言ったローティスの顔は、とても穏やかだった。 入り口付近に戻ると、黒龍と一流が駆け寄ってくる。 「もう終わりかよ」 「…つまらない」 「私が負けを認めてしまったので。すみませんね」 彼らに笑ってそう言いながら、視線は帆希へ。 護衛の手当てをしながら、見知らぬ少女と言葉を交わす彼を見ていると、 なんだかとても可哀相な気持ちが出てくる。 彼はただ取り戻したいだけなのだ…蝶という名の少女を。 それだけなのに、道はこうも険しい。 「「…どうした(の)?」」 「いいえ。何でもありませんよ」 一瞬でも自分の思考が昔に戻っていた事に気付き、 ローティスは誰にも気付かれない程度に苦笑いした。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: