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これは夢だ。蝶の見せる幻夢。

『呼んで…貴方だけの私の名を……』
声が…

「…ぃ…おい…おい、帆希!」
「…奏摩…瑪瑙…」


***********************

帰ってすぐ、白卿の元へ向かった。
「早速だが、仕事だ。これから遠征してもらう」
その後、卿がチャーターしておいたヘリで、瑪瑙、奏摩と共に目的地へ向かった。
着いた場所は、山。少し不思議な感じのする場所だった。
「では、5時間後に迎えに来る」
そう言い残して別の場所へ卿は向かい、僕達3人はそれを敬礼して見送った。
…のだが。
プルルルル
「はい」
『少し手違いが起きた。闇也が数名そちらに向かっているようだ。健闘を祈る。プツッ』
「…とりあえず、手分けして探そう。2時間後にここで。何かあったら合図をしてくれ」
「「了解(しました)」」
そして、そのまま僕は森へ入った…

(薄暗い上に頭が痛い…)
森に入ってすぐ、頭痛がした。
この不思議な雰囲気に、頭が持って行かれそうだ…
その時、何かが目の前を横切った。
「蝶…?」
この時期には飛んでいる訳がない。なぜ蝶が…
魅入られてしまったのか、自然と僕の足は蝶を追いかけていた。


その頃集合地では…
「遅い。何処まで行った?あの坊ちゃんは」
「奏摩」
苛ついている奏摩を宥めるように瑪瑙が呼ぶ。
「分かっている。でも、もうとっくに2時間は経ってるんだ。言い出したのは帆希だろう?何処まで行ってるんだ、まったく…」
「御身に何かあったのでしょうか?」
「待っていても埒があかない。探しに行くぞ」


あの蝶を追いかけていたら泉に出た。
こんな所があったのか、と驚き、ただただ神秘的な光景に目を奪われていた。
「蝶…」
さっきの蝶がまた目の前を横切り、泉の中央に飛んでいった。
そして、水面に触れるか触れないかの所で、輝き出す。
「…っ」
あまりに眩しくて、僕は目を開けていられなかった。
そんな中で声がした。
『帆希……』
「蝶姫?!」
それで夢を…いや、その時、倒れたんだと思う。

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「それで、気がついたら、瑪瑙と奏摩がいたんだ」
「まったく心臓に悪い。瑪瑙なんて、お前が目を覚ますまで、
泣きそうな顔でオロオロしっぱなしだったんだぞ」
「奏摩!…ちゃんと知らせてくださいね。心配ですから」
「すまない…」

「あの…帆希様、さっきから気になっていたのですが、そのペンダントは…?」
「ペンダント?」
胸元を見やると、確かにペンダントが掛かっていた。
銀色をしたシンプルなもので、ロケット式になっている。
中を開けてみる。
「これは…!…このペンダント…蝶姫の物だ」
「「?!」」
―貴方に幸せと平和の祈りを―
扉の裏にはそう書かれていた。
そして、反対側には写真。
瑪瑙も奏摩も、何も言う事は出来なかった。
沈黙が暫く続いた。

が、その沈黙は意外な形で破られる事となる。
「そのペンダント、渡してもらいましょうか」
「……闇也…随分と早い到着だな」
「急がせていただきました。お久しぶりですね、坊や」
「…」
「さあ、渡しますか?渡しませんか?」
「…渡さない」
「でしょうね。では、頑張ってください」
何を頑張れと言うのか。
そう思った瞬間、横から人影が飛び出してきた。
飛んできた刀を瑪瑙が受ける。
その間にも帆希は、紅嵐でローティスを遠ざけながら、入り口まで走る。
「奏摩!」
「ああ!そっちは任せた!」
少し遅れて、奏摩も帆希を追って走り出した。