529 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:37:33.40 発信元:58.85.43.41 (3/11)
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530 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:38:31.47 発信元:58.85.43.41 (4/11)


(;´_ゝ`)「おい! 待てよ弟者!」

(´<_` )「うるさい!」

背後で兄者の声が聞こえたが、そんなものは知るものか。
オレは無条件で兄者のことを信じている部分があった。
だが、それはしかたのないことだったはずだ。

オレと兄者は家族で、兄弟で、双子なんだ。
生まれてからずっと一緒で、結婚すれば離れ離れになるだろうけど、
まだ学生のオレ達には関係のない話しだ。

オレ達兄弟はあまりモテなかったし、まだまだ長い人生を、一緒に歩むんだと、
少なくともオレは信じていた。


なのに、どうして、裏切ったんだ。兄者。



531 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:40:15.92 発信元:58.85.43.41 (5/11)


走って、走って、オレは家から少し離れたところにある、小高い丘にきていた。
時期的に、まだ太陽が出ているような時間帯なのだが、あいにくの曇り空だ。

今朝、見た天気予報では、お天気お姉さんが「ところにより、集中的な豪雨が降るでしょう」
なんて言っていた。

喧嘩した兄弟と、強い雨。
まるでドラマみたいな展開だ。


オレと兄者はそっくりな双子だけど、当然ながら個性がある。
少しだけオレの方が運動ができて、少しだけ兄者の方が頭がいい。
だから、兄者がオレに追いつくのには時間がかかる。
別に待っている気はなかったんだが、こんな丘の上にきて、他に逃げ場もないと思った。

まあ、ここなら誰かにオレ達の言いあいを聞かれることも、止められることもないだろう。
ドラマチックな展開でもある。
ちょっとだけwktkしてしまう展開だ。

ポツリ。と、オレの頬に雨がかかる。

(;´_ゝ`)「弟者……」

ナイスタイミングだ兄者。流石だな。

(´<_` )「何だよ。兄者」



532 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:41:29.54 発信元:58.85.43.41 (6/11)


ゆっくりと振り返る。
強くなってきた風に、周りの木々がざわざわとうるさい。

(;´_ゝ`)「あれは……。その……。違うんだ」

(´<_` )「ほう。何が違うんだろうなぁ?」

この後におよんで言い訳とは見苦しいぞ兄者。

遠くの方で、雷が鳴っている。
これは集中豪雨というよりは、嵐のような気もする。

(;´_ゝ`)「オレは何もしていない!」

(´<_` )「だが、黙って見てはいたんだろ?」

(;´_ゝ`)「それは……」

オレの言葉に兄者は口を閉ざし、地面を見る。
空から降ってくる雨の量は時間が増すごとに増えていた。
今となっては、多少の呟きなど、この雨の音によってかき消されてしまうほどだ。

(´<_`#)「兄者は! オレを! 裏切った!
       それがただ一つの真実だろ!」

雨の音にかき消されないよう、オレは腹の底から声を張り上げた。



533 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:42:27.28 発信元:58.85.43.41 (7/11)


兄者が弾かれるように顔を上げる。
雨のカーテン越しだが、その顔が酷く情けないものだということはハッキリとわかった。

(´<_`#)「オレは! 兄者のことを信じていた!
       苦しいことも、悲しいことも、嬉しいことも、全部わけあってきた!」

雨よりも強く、兄者にこの言葉がぶつかればいい。
その一心で、ありったけの思いを言葉に乗せる。

(´<_`#)「だけど! 兄者は違ったんだ!
       オレが一方的に信じてただけだったんだ! そうだろ?!」

(;´_ゝ`)「弟者……! 違うんだ! 聞いてくれ!」

(´<_`#)「言ってみろよ!」

(;´_ゝ`)「オレはお前を裏切ったわけじゃない。
       オレは何もしていない。やったのはドクオだ!」

(´<_`#)「だが! 兄者はドクオの行為を黙って見ていた!」

(;´_ゝ`)「そ、それは……」

(´<_`#)「……それってあいつとどう違うわけ?」



534 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:43:34.56 発信元:58.85.43.41 (8/11)


オレの冷たい声は、雨音に負けなかっただろう。
その証拠に、兄者がゆっくりと首を下げる。

(  _ゝ )「違わない……」

絞りだすような声の後、兄者は黙って頭を下げた。

(  _ゝ )「すまない」

(´<_` )「……それで、オレの気が済むとでも思ってんの?」

( ´_ゝ`)「お前が、それほど怒るとは思っていなかった。この謝罪は、心の底からのものだ。
       だが、わかって欲しい。オレだって、お前を怒らせたいわけでも、傷つけたいわけでもなかった」

真剣な声は、雨を通り抜けて、オレへ真っ直ぐと突き進んでくる。

( ´_ゝ`)「オレは、お前の家族として、兄弟として、双子の兄として、お前のことをわかって欲しいと。
       その一心だったんだ」

そうだろうさ。
わかってるよ兄者。オレ達双子じゃないか。
でもさ、だからこそ、オレは兄者だってわかってくれてると思っていたんだ。

(´<_`#)「オレは美少女戦士オタクであることを隠し続けていたかった!!」



535 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:44:40.45 発信元:58.85.43.41 (9/11)

兄者よりちょっとだけ運動ができるオレは、小学生のときヒーローだった。
バスケでも、サッカーでも、中当てでも!
そんな風に小学校も、中学校も過ごしてきたオレは、高校生になっても似たようなものだった。

運動系の部活に入り、ちょっとチャライ奴らと友人になった。
オレは学校生活でオタクの側面など見せなかった!

兄者は昔からガリ勉風だったし、オタクであることをネタに、友人も多かった。
オレと兄者は学校では違った人種だった。
それは、兄者もわかってたし、暗黙の了解という奴で、お互いあまり仲が良くないフリだってした。

だけど、そうだよ!
それは仮初だ。
オレは美少女戦士ハインたん☆が大好きだ!
前作のしぃたんvも大好きだ!

兄者と一晩中語り合い、次の練習試合で大ミスを犯すくらいには大好きだ!
いや、愛してる!
ハインたん可愛いよ! ハインたん!
しぃたんも可愛いよ! ボクを踏んでくださいしぃたん!!



536 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:45:36.33 発信元:58.85.43.41 (10/11)


(´<_`#)「兄者は! オレの部屋をあさるドクオを止めなかった!」

( ´_ゝ`)「いやぁ……。まさか、あんなにドンピシャでエロ同人『おしおきなのですぅ! はいんたん☆』
       を引き当てるとは……。流石ドクオだ」

(´<_`#)「流石じゃねーよ!
       オレが帰ってきたときのあいつの顔! 思い出しただけでも腹が立つ!」

::('-`):: 

(´<_`#)「明らかに笑いを堪えてたじゃねーか!
       明日には学校中に広まってそうな勢いだったぞ!」

(;´_ゝ`)「うん。本当にすまんかった。
       ドクオもハインたんが好きだったから、いい話相手になると思っただけなんだ」

(´<_`#)「この数年のオレの努力を返せ馬鹿ヤロー!!」


オレの声が丘に響き渡る。
気がつけば雨はやんでいた。



(´<_` )は怒っているようです



537 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね [↓] :2012/07/08(日) 16:46:35.68 発信元:58.85.43.41

久々に書いたけど楽しかった

お題は>>523-525

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最終更新:2012年07月14日 04:57