538 : いやあ名無しってほんとにいいもんですね : 2010/08/03(火) 02:41:20 発信元:202.229.176.36
投下します
539 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:43:00 発信元:202.229.176.35
lw´‐ _‐ノv「やあ」
(-_-)「どうも」
あの時のシュールさんは、木刀で僕の部屋のドアを叩き割った。
上下灰色のスウェットで、バットケースを背負っていた。
奇遇にも、僕と同じ服装だった。
lw´‐ _‐ノv「いい炊飯日和だね」
(-_-)「とっても青臭いけどね」
lw´‐ _‐ノv「ちょっち世界救わね?」
彼女はバットケースを僕に差し出す。
(-_-)
(-_-)「そうだね」
バットケースのチャックを開けて、釘バットを引きずりだす。
この臭いにも飽きてきた今日この頃。
540 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:44:06 発信元:202.229.176.36
(-_-)「世界を救うのが、夢だったんだ。」
たまには外に出るのも悪くない。
lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-)
542 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:45:16 発信元:202.229.176.36
lw´‐ _‐ノv「おらっ」
シュールさんが木刀を振るう。
飛び掛かってきた人参達が次々ポキンとへし折られていく。
(-_-)「やっ」
僕も負けじと釘バットを振り回す。
ジャストミートした人参が粉々に砕け散る。
破片が僕の顔に命中した。
青臭さか顔中に広がる。
(-_-)「うわっ、ぺっぺっ」
lw´‐ _‐ノv「志村ー、後ろ後ろー」
シュールさんの声に身体が反応した。
ぐるりと身体を回転させて、釘バットを振り回す。
ゴシャッ、という音とともに、二メートル級の人参が伸ばしてきていた根を砕いた。
543 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:46:20 発信元:202.229.176.35
lw´‐ _‐ノv「ほっ」
シュールさんが跳び上がる。
そして僕の頭に着地。
頭を蹴って再び跳び上がる。
(-_-)「いたっ」
lw´‐ _‐ノv「米の研ぎ汁でヘタを洗って出直しなっ」
二メートル人参の頂点に木刀が振り下ろされた。
ぱきりぱきり、とヒビが縦に入る。
シュールさんは木刀の反動を利用して空中をくるくる回っている。
lw´‐ _‐ノv「よっと」
やがて彼女が着地すると同時に、二メートル人参は真っ二つに割れた。
ずうんという音が腹の底に響く。
544 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:47:28 発信元:202.229.176.36
辺りの人参達がにわかに慌てだした。
ここからは僕の出番だ。
(-_-)「ふんふんっ」
釘バットをやたらめったらに振り回す。
右往左往している人参達が、みるみるうちに粉みじんに砕け散っていった。
lw´‐ _‐ノv「引きこもり無双、コーエイより5040円で絶賛発売中」
(-_-)「主人公は?」
lw´‐ _‐ノv「もちドックンオンリー」
(-_-)「半年後にはゲオで500円だね」
545 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:48:41 発信元:202.229.176.36
辺りの人参達はあらかた砕き、残りもどこかへ逃げ出したらしい。
この場には僕とシュールさんと、アスファルトを覆い尽くすほどの橙色の欠片が残った。
青臭さが辺り一面に充満している。
lw´‐ _‐ノv「嫌な臭いだ」
(-_-)「もう慣れたけどね」
lw´‐ _‐ノv「君は阿呆の子だ。こんなのに慣れちゃいけない」
(-_-)「精進します」
シュールさんは木刀を腰におさめる。
僕もバットケースに釘バットをしまった。
lw´‐ _‐ノv「腹減ったぞー」
彼女は高らかに叫んだ。
街に声が響き渡る。
おそらく誰も居ないであろう、この街に。
546 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:49:36 発信元:202.229.176.35
( ´_=`)「へいへいそこのアベック」
と思ったら不審者が出て来た。
(-_-)「アベックじゃないよ」
( ´_=`)「じゃあカッポゥだ」
lw´‐ _‐ノv「米と籾殻のような関係だ」
(-_-)「僕が籾殻?」
lw´‐ _‐ノv「君は米さ」
( ´_=`)「その心は?」
lw´‐ _‐ノv「私は米が好き」
( ´_=`)「アツいねぇ」
不審者は兄者と名乗った。
見るからに不審者ズラをしていて、削げている鼻がそれを更に助長していた。
547 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 02:51:00 発信元:202.229.176.35
(-_-)「まだ生きてる人がいたんですね」
lw´‐ _‐ノv「生きてる人間は山ほどいるさ」
(-_-)「失敬」
彼女は人間を強調した。
( ´_=`)「腹が減ったんならうちにこいよ」
lw´‐ _‐ノv「お母さんが知らない人についていっちゃダメって」
(-_-)「僕人参嫌いなんで」
( ´_=`)「安心しろ、うちはパン屋だ」
lw´‐ _‐ノv「米なさそうだからやだ」
( ´_=`)「米パンもあるぜ」
(-_-)「なんですかそれ」
( ´_=`)「パンの中に米を入れて焼いた」
(-_-)「ザ・炭水化物ですね」
せっかくなら、米の粉を使ったパンを作ればいいのに。
549 : lw´‐ _‐ノv夢を叶えたいようです(-_-) : 2010/08/03(火) 03:04:08 発信元:202.229.176.36
(´<_` )「兄者、何だそのアベック」
(-_-)「アベックじゃないよ」
(´<_` )「じゃあカッポゥだ」
( ´_=`)「村を救った勇者さまさ」
(´<_` )「じゃあ俺達は」
( ´_=`)「助けられた村人達だな」
lw´‐ _‐ノv「丁重に敬えよ」
(´<_` )「ゆうべは おたのしみ でしたね」
(-_-)「まだ会って1時間も経ってません」
兄者さんに連れられて来たパン屋では、彼にそっくりな男性が生地らしきものを伸ばしていた。
名を弟者と言うらしい。
(続きなし?)
最終更新:2011年10月30日 10:53