藤岡弘、の一刀両断 平成21年7月16日 「自衛なき民族は滅びる」
気がつくと、今日まで世界100カ国近い国を訪れ、中でもボランティアで訪れたいくつかの紛争地では、滅びゆく国も目の当たりにしてきた。
どこかの国の要人が「30年後には、日本という国は地図から消えてなくなるだろう」と発言したということを新聞で読んだことがある。50年後、いや、30年後、日本という国は存在するのだろうか?
世界各地で国家の興亡をまざまざと見てきた私には、あながちジョークとは見過ごせない言葉なのである。まさに現在、日本は国家存亡の危機が来ている。
昨今、数多くの社会問題等の中にも、税金や年金問題等が取り沙汰されているが、確かに、我々の日々の生活に関わることが改善されるのは必要なことである。
しかし、そもそも、我々の住むこの国を守ることなくして、我々、そして、子供達の希望的な未来はあるのだろうか?
折しも、近隣の国から短距離ミサイルが数発、日本海に向けて発射されたというニュースが流れた。決定的な自衛手段をもたない日本は、一体どうなるのか?
我々が、なんとかなるだろう、と他人事にしている間に、突然、ドッカン! と来ない可能性がないとも言えない状況だろう。
誰かが、我々、我々の子供達、子孫を守ってくれるのだろうか。いや、そんな妄想は、今すぐ捨てるべきだ。
我々の国は、我々が守らなければ、誰も守ってくれない、と今すぐ意識転換が必要だ。
「我々の国は自分達で守る」。自分のルーツを尊び、愛する心から、自衛力、そして、国防のことを心配し、それを最優先として、重点を置いて政策を考え、実行してくれる指導者が、今は必要ではないだろうか。
例えば、数年後、数十年後の日本の状況を考えた時、自給自足できない日本が食糧・資源を世界から運んでくるシーレーンを確保するために手を打つことを考える。
あるいは、やがてやってくるであろう世界的食糧難に備え、独立自尊の精神で、農業、漁業、畜産業、林業において、国内にて自給自足体制を整える等、議論されるべきことはたくさんある。
私の知人が、「目先の生活の安定をうたい文句に、人々を惹きつける。しかし、国防問題は聞こえの良い程度に曖昧にする指導者が、今後選ばれた時には、国民の知らない間に、
海外からの静かなる侵略にまんまとはまり、気づいた時には、主権を奪われ、日本はある国の属国となり、粛清、そして、女性と子供はもてあそばれ、奴隷にされてしまう危険性がある」と言っていたことに、私はハッとした覚えがある。
何をそんな大げさな! とお考えの方もいるかもしれない。しかし、滅びゆく国を見てきた私は、身に迫る危機感を覚えた。そんな危機感を感じているのは、私だけだろうか。
私は海外の紛争地を数多く訪ねたが、海外ではなく、まさに日本は今、静かなる紛争地となっていることを憂いている。
ある方のお言葉を借りれば、今、我が国は、“叩かれっぱなしのサンドバッグ”になって、何も備えず、ただ叩かれるのを待っている状態だという。
今、世界はまさに、サバイバルの時代へと突入したのだ。多くの犠牲を伴いながら先祖が守ってきた我々の国を守ろう。本当の安全、安心、幸せ、子供達の未来を守るため、日本を守る確固たるポリシーをもった指導者を見極めよう。
自衛なき民族は滅びるということを肝に銘ずるべきである。