875 :ぽち:2012/06/19(火) 00:22:54
奥様がたの憂鬱
「「「「かんぱーい」」」」
数多くのお猪口が一斉に空けられる。
「戦争の終結を祝って」
「わたしたちのダンナの無事を祝って」
「われらの子供達が出生する前に戦争が終わったことを祝って」
狂気じみた速度で徳利やビンビールが空けられていく。
「しかし、女性が30人近く居て全員主婦なのに、夫はただ二人だけというのも凄いですわね」
「なんだぁ、今更離婚でもしたいのかよすみれ」
「馬鹿な事仰らないでくださいなカンナさん!今更大神一郎以外の男の手をとるですって?
あなたが同じ事を他人に言われたら正気を保てますの?」
「・・・・・・・アタイが悪かった。もしンな事言われたら、アタイそいつを生かしておく自信ねーや」
「戦争は終わりました、一応。でも・・・・・・・・」
「その先は口にしないでくださいエリカさん」
「さくらさん・・・・・・でも・・・・・・」
「アナタの言いたい事はわかってイマース でもソレは海軍大佐大神一郎の妻としてはクチにしてはいけないことデース」
「貴様に何が分かる!」
「落ち着いてグリシーヌ」
「落ち付けだと?よくそのような事が言えるな花火!パリは・・・・・我らが愛しきパリは今」
「黙りなさい」
「マリア!貴様は良いだろうな皇帝一家は日本に保護され最低限とはいえ祖国の誇りは守られている!」
「黙りなさい」
「織姫!貴様の祖国にいたっては真っ先にあのペンキ塗りに尻尾振ったおかげでいまや「黙りなさいと言った!!!」
「せやでグリシーヌはん。ジェミニはんたちやウチが堪えとるんや。
それとも伍長はんの手下になるくらいなら故郷なんぞいっそ滅んでしまえとでもいうんかいな」
故郷がいまや地上の地獄と化している紅蘭の言葉に、さすがに押し黙るグリシーヌ。
「でも・・・・・・・「黙りなさいといったでしょうエリカ」
「でもわたしはパリをヒトラーから開放して欲しいんです!日本に!
ニューヨークを助けて欲しいってジェミニさんたちだって思ってるは「その言葉を口にするということがどういうことか理解しているの?エリカ・フォンティーヌ・大神」
「どういうことかって・・・・・・」
「日本にパリを開放してもらうという事は大日本帝国にドイツに対して戦争を仕掛けろと言ってる事なのよ?
あなたはもう一度一郎さんや新次郎さんを戦争に送り出したいの?」
「そ・・・・そんなこと」
「しかもパリはベルリンのすぐそば。それをドイツから『開放』するとなると徹底的に、ドイツを滅ぼすくらいのつもりで
相応の戦力を地球の裏側に送り込むことになるわ。
それが日本の軍事的経済的その他諸々においてどれほど致命的か、理解出来ない訳でもないでしょう
しかもその戦争の結果何百万、下手すると何億という死者を出すことになると言うのに」
「それに」ダイアナ・大神が後を継いで答える。
「ニューヨークだってそうです。確かに今すぐにでも駆けつけてあの故郷を救いたい。
しかし『アメリカ風邪』は未だ治療法の見出せない疫病。
強力すぎる感染力は研究する事すら危険極まりないのです。
そんな病が交通機関の発達した現代に解き放たれたらどうなるか・・・・・・
正直申し訳ないとは思いますがわたしはジュリアと耕介の身に危険が及ぶのなら
アメリカなど滅んでもかまいません」
「分かっているさ」ぽふ、とサジータは座椅子の背凭れに体を預ける。
「新次郎は申し訳ない、と 自分も第二の故郷であるニューヨークを救いたいのだと時折あたしに言ってくれる。
でも、それを口にするということは日本がニューヨークを救う可能性などほぼゼロであり
新次郎も日本がニューヨークを救うなどありえないのだ、と認めてしまってるってことさ
パンデミックをこれ以上広げないためには感染源の生命全てが死に尽くすまで待ち、その後焼き払うのが確実なんだと分かっちゃいる
でも・・・・・・ね
理屈じゃないんだ
弁護士のあたしが言うのもなんだけどさ、法も正義も正しいって事すらどうでもいい
故郷が愛しい
あたしのサムとオミツをハーレムの兄弟達に抱いてもらいたい・・・・・・
いまの日本にとってパリも東アメリカもパンドラの箱(しかも底には何も無い)に等しいってわかってる
分かっちゃ・・・・・・・いるんだ・・・・・・
でも・・・・・・あたしは・・・・・・」
876 :ぽち:2012/06/19(火) 00:26:47
はい帝国歌劇団 八名+三名
巴里歌劇団 五名+二名
紐育歌劇団 五名+二名
合計二十五人の慰安旅行、夜の場面です
妻曰く「自分で作らない料理ってサイコー」
ちみっと思いついたので書いてみました
「憂鬱西南戦争」第三話執筆中
一番書きたかった場面入れられそうです
期待しないで待っててくれさい
最終更新:2012年06月24日 16:04