251 :ぽち:2012/10/16(火) 04:50:09
リストラ そして・・・・・・・・・


「どういうことなんですか!」「落ち着け新次郎」
赤レンガと呼ばれる建物の一室において一人の中年男性が雄たけびを上げている。
「軍縮大いに結構、むしろ大いに協力したいくらいです。
 しかしそのリストラ対象第一陣が何故に自分と大神叔父、もとい大神大佐なのですか!
 大佐は新鋭空母大鳳の艦長としてあの戦争を切り抜けました!フネに掠り傷もつけることなく!
 その後もパイロットや後輩の育成などに尋常ならざる手腕を発揮しているのですよ!
 自分も叔父には及ばないといえ「落ち着けといった、大河少佐」

激昂する甥を静かな一言で黙らせる風格は流石である。
「多分その『活躍』とやらが拙いんだろう。
 軍縮をそうはさせじとばかりに気張る一党が存在すると聞く。
 5.15のような騒ぎを起こされるのは拙いし連中が自分や大河少佐を担ぎ上げれば賛同者は
 格段に跳ね上がるだろう。
 その危険性はわかるな大河少佐」
「はい」
「だからといってあっさりクビ、というのは納得しがたいのですが嶋田元帥閣下」

『うん・・・・・・まあ・・・・・はっきりいうとね、キミたちは超優秀にしてスーパーミラクル厄介者なんだよ」
「・・・・・・・・」「事情の説明を要求してもよろしいですか?」
「ぶっちゃけると、霊能力者というのは使い勝手が難しいんだよ。
 高レベルの霊能力者は武人として極めて優秀だったり銃手としてもスゴかったり科学者その他としても物凄い。
 しかし霊能力者の真の、そして最も厄介な能力は、強烈なカリスマだ」
「カリスマ?」「ですか?」
「高レベル霊能力者は本人の望むと望まざるに関わらず他者を魅了することに長けている。
 華撃団が日仏米問わず全てみな人気スターになったのはその要素が大きい、正直な話。
 そしてそれは君達も例外ではないのだ。
 君達にはそんな思考全く無いだろうが既にいくつか、君達を勝手に盟主にしてのクーデターが幾つか計画されている。みな潰してるがね」
「はじめて聞いたです」
「ああ、それらがつぶれたのも殆どが当初意気揚々と参加してたメンバーの中から『大神大佐がこのような話を聞いたら心痛められるに違いない』と
 ホザくやからが現れるという、いわば君達の人望によって粉砕されているのだ」
「それに霊力兵器についても問題が多いというか問題しかない。
 変だとは思わないかね?
 日進月歩な兵器業界において霊子甲冑が全く実線に投入されず、また新規開発もなされていないのは」
「そういえばそうですね。光武から神武は正直パワーが上がっただけですし光武Fにいたっては言わずもがな。
 ニューヨークで僕たちが使ったのは例外的にエラく弄ってありましたが
 それ以降まったく進歩も進化も新規開発も聞きませんね」
「基本山崎少佐が残した基礎設計が優秀すぎたんだ。
 霊子甲冑は光武以来多少のマイナーチェンジを除いて全く進歩していないといっていい。
 あれは精密というか特殊というか・・・・・・進歩発展の余地が全く存在しないぎりぎりタイトな設計だったんだ。
 まあそれを除いても開発はおろか製造にも維持にも無駄かつ無意味なまでに壮絶な費用がかかり
 そのくせその費用に見合うメリットがあったかというと全く無いとしか言いようが無いんだ」
「ないんですか?」
「無い。
 五機分ほどの予算で戦車三個大隊が用意出来てしまう。
 しかもそれだけの予算つぎ込んで出来たのは、全人類を調査対象にして数十年かけて起動させることが出来る人材が
 最大で20人かそこいら、というシロモノ。
 役に立つわけねーだっが!」

252 :ぽち:2012/10/16(火) 04:56:18
「はっきりいって霊子兵器は降魔対策でもない限り無意味どころか有害といってもいい。
 しかし霊力の保持者は有能かつ特殊に便利なので他国に渡すわけにはいかない、っつー厄介な存在。
 ひとつところに幽閉せざるをえないのも理解してもらえるだろ?」 
「まあ・・・・・・・ねぇ?」「たしかに」
「よって君達は軍を退職後はとある山村に一家そろって引っ越してもらう。申し訳ないが拒否権は無いと心得てもらおう。
 大河少佐は帰宅し準備を始めるように。
 大神大佐はついてきてくれたまえ」
「「はっ」」

「そういえば自分達がこれから住むのって一体何処なんですか?」
「ああ、とある山村だよ。
 日露戦争時に結成された霊力特殊部隊、通称らいむ隊が戦後移り住んだ(幽閉された)ところでね。
 名を・・・・・・・雛見沢村というんだ」



「で? お話のとおりなら自分も急いで引越しの準備とか始めないといかんのじゃないですか?
 米田さんに花小路伯爵、更にはうちのさくらと生まれたばかりの娘の小萩まで連れてきて、一体何を企んでるんです?」
「その見方に対しては少なからず反論をしたいものだがとりあえずこの部屋に入ってくれたまえ」
一行が招き入れられたのは小さく、薄暗い窓の無い部屋。そしてそこにいたのは・・・・・・
「あなたが大神一郎ですね。一度会いたいと思い朕が嶋田に無理を言って連れてきてもらったのです。
 引越しの準備とかで忙しいのはわかりますが勘弁してください」
「あ、貴方は!!!」
その場の一同が一斉に膝付く。
「大神一郎、これまで三度にわたりこの国を魔から守ってくれたそうですね。
 本来それはこの国の神官たる朕の一族が為さねばならぬこと。
 朕らの力不足を補ってくれた貴方たちには感謝の言葉もありません」
「お・・・・恐れ多いお言葉・・・・・・」
大神は頭を上げることも出来ない。
「そんな状況で貴方にお願いするのも心苦しいのですが、宜しいでしょうか」
「なんなりとお申し付けください」
「今横であなたの妻が抱いている娘さんを花小路の家に養子として貰いたいのです」
「何故でありましょうか!」
「これは、朕たちの力不足なのですが、わが一族は代々霊力が衰えてきているのです。
 神武の世にはその霊力で千軍万馬をひれ伏させたその能力が、いまや見る影も無くなっています。
 近年の降魔復活もそれが原因なのです。
 なので20年後には退魔御三家のひとつ真宮司の血を引きあなたの娘の中でも幼少ながら強大な霊力を持つこの娘さんを
 今度結婚する朕の息子の子の嫁として迎え入れたいのです」

「これが非道なことであるのは理解しています。
 しかしこの国を守る朕たちの使命を果たすために、どうか」
彼が答える前に妻が口を開く。
「陛下が御自分のお言葉を受け入れられるのが当然、という態度をなされてたら
 わたくしは陛下を含めたこの部屋にいる大人全てを切り捨てて逃げ出す所存でした」
え?俺も?と疑問を主張する夫を無視するさくら。
「しかし陛下は本当に心の底からわたくしたちに『お願い』をなされてました。
 故にわたしは陛下を一人の人として信頼させていただきます。
 この子は今日から大神小萩ではなく花小路小萩です」
「申し訳ありません せめてもの償いとしてこの子は花小路の、だけでなく朕もひとりのじじいとして愛しましょう」
「・・・・・・・もったいないお言葉」

253 :ぽち:2012/10/16(火) 04:59:30



「ふ、やっちまったぜ 日本人として決してやってはならぬ事を
 大神一家のみならず、陛下をすら謀ってしまうとは」
「では嶋田さん、養子縁組は無事済んだのですね」
「ああ、     嘘はついちゃいないんだ    ただ本当の事を全て語ったわけではないというだけで」
「都市の、すなわち人の営みの守護者大神一郎と退魔、真宮司の血を引く少女が日の本で最も貴き血の子を生む」
「それは強大な霊力、いや念能力を保持する一族となるだろう しかしそれは将来姿を現す『敵』と戦う事となる大神一族の、いわばバックアップ」
「・・・・・・・まさか中国の山東地区に珍妙な遺跡が見つかったっつーんで冗談半分に調べてみたら本気で龍王機と虎王機が出てくるんだもんなー」
「まあ雀王機と武王機まで発掘できたのは重畳と言っていいでしょう。ところでこの事は」
「既にエリザベス女王には伝えてありますし『太古より歴史の闇に潜む敵と戦う』なんて設定聞いたらあの『オカルト大好き』ヒトラーが食いつかないわけ無いでしょう」
「現状では四機とも封印してあり何者も、そう私たちもアレには触れる事が出来ません。彼ら自身が立ち上がる意思を示さない限り」

「『奴等』が動き出すのは焦るほどすぐではないにしろ安心・・・・・・油断できるほど未来の話ではありません」
「故に偽りのとはいえ世界各国は対立を続ける。悲しいことにやはり戦争と対立こそが最も早く進歩と進化をもたらすのは間違いないのですから・・・・・それがどれほど歪であろうとも」
「見ていろよ『バラル』  我々は・・・・・・人類は負けない」
「その果てに待っているのがムッツリ兄ちゃんがないすばでぃの嫁さん貰う未来かアニオタ野朗のロリっ娘ハーレムってのは納得しがたいけどな!」

254 :ぽち:2012/10/16(火) 05:02:02
はいここまでです
先日本棚から発掘した「龍虎王伝奇」を読んでたら思いついたネタです

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最終更新:2012年10月16日 22:42