864 :taka:2013/01/13(日) 13:06:37

ベルカ空軍第2航空師団第52戦闘飛行隊 『ロト隊』隊長。

デトレフ・フレイジャー。通称、赤いツバメ。

その容姿と腕から軍の広告塔として利用された男。


あの戦争時の私は誇りに満ちていた。
ベルカの威信をかけ、不当な侵攻を仕掛けたオーシアとの戦争を勝利へと導くために。

基地のデスクや教導隊などの暖かいところにいては何の解決にもならない。

南ベルカの防衛ラインにおける反攻作戦が開始された時、私の隊の任務は反撃が行われるエリアの制空権維持。
そう、オーシアへの反撃の一歩。汚すことは許されない重要な空域。
名だたるベルカのエース部隊が結集し、その中に我がロト隊が含まれている事に誇りを感じていた。

反転攻勢が開始されたあの日、軍本部からの増援報告を聞いて私は怒りを覚えた。
我が隊が戦う空域に傭兵が加わるというのだ。
国の為ではなく金の為に飛ぶ傭兵、それもたった2機。

ディレクタス条約機構諸国からの兵士やエルジア及びエストバキアの義勇兵も戦場に居た。
彼らはオーシアの暴挙に憤り我等ベルカと共に立ち上がった勇士達だ。
だが、その2人は金で雇われた連中。金で飛び、金で殺す。
正統なベルカ空軍がそんな傭兵風情の助力など受けずとも負けるわけがない。
そう、私は考えていた。

だが、私のベルカ軍人としての誇りもあの日の蒼空も、あの2人は飛び越えていった。
片羽の妖精、そしてサイファーと呼ばれた男。一体、私と何が違ったのだろうか。

まあ、どうであろうとあの2人のおかげで随分違う人生を歩むことになった。



国とは何か君は考えたことがあるか? 
そこに生きる者一人一人が国を成しているのだ。

線をまたぎ戦争をする傭兵に守るべき国などない。
背負う責任も、大義も存在しない。
そんな相手になぜ私は負けたのだ。
味方で有るはずの片羽の妖精とサイファーにあの空で私は負けた。
いや、あの日、あの空を飛んでいた全ての者があの2人に敗れた。
たった二機の傭兵部隊が、戦場の空を支配し生殺与奪を欲しいままにしていた。

その後の異名を借りて言えば、まさに戦場の『鬼神』だった。

国を背負わねば速く飛べるとでもいうのか。
何も背負わずただ強さだけを求めていけばああなれると言うのだろうか。
今でも私は空を飛ぶ度に彼らの事を考えている。


デトレフ・フレイジャーのインタビューより抜粋

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最終更新:2013年01月13日 23:00