562 :グアンタナモの人:2013/02/15(金) 12:15:22
○とある整備兵の日記 その2

 :1995/4/10

 また三日ほど忙しかった。
 オーシア軍が全戦線で一斉に突破攻撃を仕掛けてきたらしい。これで通算三度目だ。
 一度目は我が古巣、クラード基地を落とした三月二十五日の宣戦布告と同時に行われた四日間に渡る攻撃。
 そして二度目は、四月一日から三日にかけて行われた攻撃。
 一週間も明けずにまた攻撃とは、よく連中の体力が持つものだ。

 とにかく攻められた以上、対処はしなければいけない。
 我がティオンビル基地もフル回転。エースであるゲルプ隊も数度出撃し、撃墜数を重ねてきた。
 とはいえ続々と援軍が到着していたので、前回ほどの過剰労働ではないようなのが救いだ。
 酒保で何度か見かけたアルトマン中尉も、前回のように目の下に隈ができていなかったし。
 エースだって人間。腹も減るし、疲れもするのだ。


 :1995/4/11

 オーシア軍の突破攻撃が破綻したと聞いた。
 北部戦線はエースの見本市と化したらしく、赤い燕やガルムの猟犬に代表される従来エースに加え、黄色の13などのエースが新たに降臨。
 アントン線を突破する一大戦略を戦術で引っ繰り返され、オーシア軍の心が折れてしまったらしい。
 そして南部の戦線に関しても、ハードリアン線突破どころか五大湖からシェーンまで続く第一の対空防衛線すら抜けず、すごすごと尻尾を巻いた。
 やはり度重なる進撃のせいで、連中も見えない息切れを起こしていたようだ。
 どうせならそのままオーシアまで帰ってもらいたい。勿論、ベルカを侵した落とし前はつけてもらうが。
 人類の明日のために貢献しているのにふざけた真似をしたのだから、それくらい当然だろう。

 また南部戦線で海軍のニヨルド戦隊の連中がハッスルしたらしく、フトゥーロ運河確保に押し寄せた敵空母を人工漁礁にしたと聞いた。
 確か名前はヴァルチャーと言ったか。
 でもまだ就役済みの同型艦が五隻あるらしく、七隻目も近場で公試運転中らしい。それは聞きたくなかった。
 ベルカの空母は北海に二隻と、五大湖に件の一隻しかないというのに。

 そういえば今回の防衛戦では、あのワイエルバキアやノースポイントの部隊も活躍したようだ。
 ワイエルバキアの部隊は中部戦線を突破しようとしたオーシアの地上部隊を何度も叩き潰したと聞いた。
 その話を聞く限り、空を飛ぶ腕前は、我がベルカ空軍にも勝るとも劣らないらしい。
 低空を、それこそ地面を舐めるように飛行して敵にロケット弾を見舞うようで、敵からすれば目視と爆死はほぼ同時とのことだ。

 そしてもう一方、ノースポイントの部隊だが……こちらは聞いた時に耳を疑った。
 噂によると部隊のうちの一機が機体不調で離陸が遅れ、後から部隊に合流しようと飛んでいたところ、偶然オーシア軍のステルス戦爆連合とぶつかったらしい。
 おそらく八日に戦線を突破し、スーデントール空襲をやらかした連中の片割れだろう。
 さて、問題はここからである。
 オーシアのステルス戦爆連合といえば、主力はラプターとストライクラプター、後はナイトホークだろう。
 こちらもラプターとはいえ、普通は単機で相手にするもんじゃない。
 しかし、そいつは付近の味方部隊に連中の侵入を警告を促すが早いか、単機で足止めに挑んだとのころだ。
 ここまでで筆を止めれば、そいつは何機か屠った後、落とされたと思うだろう。
 だが実際は違う。
 そいつはすれ違い様にストライクラプター四機を落とし、さらに護衛機をおちょくりながら残る攻撃機も機銃で嘗め回したらしい。
 そして通報を受けた味方が到着する頃には、護衛機を追い回していたようだ。

 一回の出撃で撃墜十機。エースを見慣れたはずの俺でも断言できる。頭おかしい。
 エルジアのエースこと黄色の13も北部で十三機落としたらしいが、これは数回出撃した結果であり、一回の出撃による戦果ではない。
 繰り返す。頭おかしい。

563 :グアンタナモの人:2013/02/15(金) 12:16:05
 :1995/4/12

 先ほど、酒場で揉みくちゃにされている噂の新エースに会った。
 どんな年食った手練かと思いきや、まだ若い男だった。
 話を聞くに、実は今回の戦争が初めてという新兵らしい。
 ノースポイント空軍は一体全体どんな化け物を育成しているんだ。
 実はベルカ空軍以上のヤバイ空軍である可能性がかなりのレベルで存在している

 ちなみにエースの異名は、リボン付きの死神だとか、シュティーアのはぐれリボンだとか、まだ安定していないようである。
 一瞬、マジキチリボンでいいんじゃないかと思ったが、いくらなんでもそれは可哀想だ。


 :1995/4/13

 援軍の到着も日常茶飯事に変わりつつある。
 俺が到着した二週間前にはベルカ軍しかいなかった基地も、今やディレクタス条約機構に属する国家の正規軍やユージア大陸からの義勇軍が闊歩しまくっている。
 基地の格納庫や滑走路付近は、ちょっとした国際航空祭の様相だ。
 戦線が硬直している間に、戦力拡充をしてしまうつもりなのだろう。
 近々、ベルカ側の反攻が始まるという話も流れているのだから。


 :1995/4/15

 反攻開始の噂が現実味を帯びてきた。
 忙しいってレベルじゃねーぞ。


 :1995/4/16

 (何か書こうとしたようだが文字がぐちゃぐちゃで要領を得ない)


(続)

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最終更新:2013年02月16日 21:25